連載:〜ScottGu氏のブログより〜

スターター・プロジェクト・テンプレート(VS 2010&.NET 4シリーズ)

Scott Guthrie 著/Chica
2009/09/01

 本記事は、Microsoftの本社副社長であり、ASP.NETやSilverlightなどの開発チームを率いるScott Guthrie氏のブログを翻訳したものです。氏の許可を得て転載しています。

 これは、VS 2010および.NET 4リリースに向けたブログ投稿シリーズの第2弾になります。

 本日の投稿も、小さいけれども素晴らしいと思っている点ですが、ASP.NET Web プロジェクトを新規作成したときのVS 2010およびASP.NET 4での変更です。これは、“空のプロジェクト”および、すでにいくつかのレイアウトや共通機能が含まれたプロジェクトの両方を作成できる機能で、これにより新しいアプリケーション構築が容易になります。

新規プロジェクトの作成

 ファイル->新規プロジェクトまたはファイル->新規Webサイトメニュー・コマンドをVS 2010で使用したときには、以下のような“新規プロジェクト”ダイアログが表示され(図1)、言語やアプリケーションのタイプでフィルターをかけたり、新規プロジェクトの作成時に使用するさまざまなプロジェクト・テンプレートを選択したりすることができます。


図1

 VS 2010は、新規ASP.NETアプリケーションを作成する“空の”プロジェクト・テンプレートと一緒に出荷されますが、これは必要なものだけが含まれた最低限のプロジェクトを作成します。前回の投稿には、それを使用して新しいアプリケーションを開始するときに、“空のASP.NET Webアプリケーション”プロジェクト・テンプレートが何を作成するのかを表示したスクリーンショットが含まれています。

スターター・テンプレートを使用した新規プロジェクトの作成

 またVS 2010では、いくつかのレイアウト/CSS構造および共通機能がすでにその中に実装されている、新しいASP.NETアプリケーションを作成するためのスターター・テンプレート・プロジェクトも一緒に出荷されます。

 このコンセプトはASP.NET MVC 1.0でまず試みており、プロジェクト・テンプレートは、すでに接続され実装された、マスター・ページ、CSSファイル、JavaScriptライブラリ、ログイン・システム、“ホーム”および“About”ページを提供します。VS 2010は、新しいASP.NET Webフォーム・プロジェクトを作成する際にも、この考えをサポートしています。

 このデフォルトの“ASP.NET Web アプリケーション”プロジェクト・テンプレートを選択すると、作成されるASP.NET Webフォーム・プロジェクトには、すでにいくつかのディレクトリとファイルが含まれていることが分かります(図2)。


図2

 これにはSite.Masterマスター・ページ・ファイルが含まれており、サイトに対する全体のレイアウト(ヘッダ、フッタなどを含む)を提供し、すべてのスタイルでCSSスタイルシートを使用します。“Scripts”ディレクトリがあり、その中にはjQueryが含まれています(ASP.NET AJAXはスクリプト・マネージャ・コントロールを通じて利用できます)。ルート・ディレクトリには、マスター・ページをベースとし、いくつかのお決まりのコンテンツが含まれた“default.aspx”と“about.aspx”ページがあります。また“Account” ディレクトリもあり、そこにはユーザーのログイン、登録、パスワード変更ができるフォーム形式の認証システムが実装されたページがいくつか含まれています(図3)。


図3

 プロジェクトは、コードを一切書かず、何の構成もせずに実行でき、スムーズに起動する素晴らしいサイトが得られます(図4)。


図4

 サイトではセキュリティ認証をベースとするフォームが完全サポートされており、パスワード管理にはASP.NETメンバーシップ・システムが使用されるように、あらかじめ設計されています(図5)。


図5

 サイト内のすべてのスタイルやコンテンツはCSSを使用して構成されており、クリーンなクライアントサイドの“id”名(ctrl_で管理された名前ではなく、ASP.NET 4では完全にクライアントIDを制御できます)や、ビルトインされたサーバ・コントロールに対して、テーブル・ベースでの描画ではなくCSSベースでの描画を行うなどのASP.NET 4のWebフォームの新機能をいくつか利用しています。これらの新しいWebフォーム機能は(追加されたほかの多くの機能とともに)、このシリーズの後半の投稿で、もっと深くお話しするつもりです。

オンライン・テンプレート・ギャラリー

 ビルトインされたプロジェクト・テンプレート以外に、VS 2010では“新規プロジェクト”や“項目の追加”を行うダイアログ内で、利用できるテンプレートをオンライン・ギャラリーにて検索する機能もサポートしています。自分のテンプレートをギャラリーに投稿したり、ほかの人の投稿の評価やレビューをしたり、プロジェクトのタイプやキーワード、コミュニティ評価によるプロジェクトの検索やフィルタリングが可能です。その後、そのダイアログ内で直接ローカルへすべてのテンプレートのダウンロードおよびインストールが簡単にできます(図6)。


図6

 これにより、誰もがソリューションの構築時に素早く利用できるよう、簡単に検索でき使用できる便利なプロジェクトのスターターキット(Webだけでなく、すべてのタイプのプロジェクト)が数多く作成されることにつながればと思っています。

 Hope this helps,

 Scott

 P.S. ブログに加え、Twitterを使った素早い投稿やリンクの共有も行っています。http://www.twitter.com/scottguにて、わたしをTwitterでフォローできます(@scottguがわたしのtwitter名です)。End of Article

   
 
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