連載:〜ScottGu氏のブログより〜Silverlight 4 Tools for VS 2010およびWCF RIA ServicesがリリースScott Guthrie 著/Chica 訳2010/05/28 |
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最終リリース版のSilverlight 4 Tools for Visual Studio 2010およびWCF RIA Servicesがダウンロード可能です。
ダウンロードとインストール
すでにVisual Studio 2010(または無償のVisual Web Developer 2010 Express)をインストールされている場合、このセットアップ・パッケージをダウンロードして起動すると、Silverlight 4のツール・サポートとWCF RIA Servicesのどちらもインストールできます(注:もし以前にSilverlight 4 Tools for VS 2010のプレビュー・リリースをインストールしている場合は、必ずアンインストールしてください)。
Silverlight 4 Tools for VS 2010パッケージはVisual Studio 2010に組み込み、Silverlightのサポートを拡張するもので、Silverlight 4アプリケーションのサポートも可能になりました。また、WCF RIA Servicesアプリケーションのテンプレートやライブラリもインストールします。
図1 |
本日のリリースにはSilverlight 4用ツールの英語版が含まれています。ほかのVisual Studio言語向けのローカライズ版は来月利用可能になります。
Silverlightのツール・サポート
Visual Studio 2010にはSilverlightおよびWPFアプリケーションを構築するためのリッチなツールのサポートも含まれています。
WYSIWYGデザイナ画面も含まれており、レイアウト用コンテナの利用や、スタイルやリソースの適用など、簡単にUIを構築するコントロールが利用できます。
図2 |
VS 2010デザイナでは、SilverlightやWPFでリッチなデータ・バインディングが有効利用でき、コントロール上に簡単に接続してバインディングできます。Silverlightプロジェクトのデータ・ソース・ウィンドウは、POCOオブジェクト(plain old CLR object)、WCF サービス、WCF RIA Servicesのクライアント・プロキシ、SharePointリストなどを参照するのに使用できます。
例えば、“Person”クラスを、プロジェクトに以下のように追加すると仮定しましょう。
図3 |
その後、データ・ソース・ウィンドウに追加すると、IDEでは以下のように表示されます。
図4 |
オプションでオブジェクト上の各プロパティに関連付けられたデフォルトのUIコントロールの型をカスタマイズできます。例えば以下では、BirthDateプロパティを“DatePicker”コントロールで表示することをデフォルトにしています。
図5 |
その後、デザイン画面上のデータ・ソースからPersonの型をドラッグ/ドロップすると、自動的にPersonクラスのプロパティにバインドされたUIコントロールが作成されます。
図6 |
VS 2010では、コントロールを選択して、プロパティ・グリッド内のいずれかのプロパティを右クリックし、“バインディングの適用”ダイアログを表示することで、各UIバインディングをさらにカスタマイズできます。
図7 |
これによりフローティングのデータ・バインディング・ダイアログが表示され、データ・ソース・オブジェクト上のバインディング・パスなどの項目を構成したり、フォーマット変換を指定したり、文字列フォーマットの設定を指定したり、検証エラーの処理方法を指定したりするなどが簡単にできます。
図8 |
WPFやSilverlightアプリケーション用のWYSIWYGデザイナを提供するほか、VS 2010はリッチなソース編集環境を可能にする、リッチなXAML用のIntelliSenseやコード編集サポートも提供しています。
Silverlight 4ツールの改善
今回のVS 2010のSilverlight 4ツール・リリースには、数多くの素晴らしい新機能が含まれています。その中には以下のものがあります。
■Silverlightアウト・オブ・ブラウザ・アプリケーションや信頼済みアプリケーションのサポート
Silverlightアプリケーションのプロジェクトのプロパティ・ウィンドウを開いて、“Enable Running Application Out of Browser(アウト・オブ・ブラウザでアプリケーションの起動を有効化)”チェック・ボックスをクリックすると、オフライン版であるアウト・オブ・ブラウザSilverlight 4アプリケーションをインストール可能にできます。その後、Visual Studioでアプリケーションのいくつかの“アウト・オブ・ブラウザ”設定をカスタマイズできます。
図9 |
上記では、信頼済みとするか、ハードウェア・グラフィックス・アクセラレーションを使用するか、またアプリケーションのウィンドウ・スタイルのような項目をカスタマイズするかなどを設定できます(コンシューマ向けアプリケーションに対して、素晴らしく洗練されたウィンドウ・スタイルを構築できます)。
■暗黙的なスタイルと“Go to Value Definition”のサポート
Silverlight 4は、アプリケーションに“暗黙的なスタイル”が定義できます。これにより、型ごとにコントロールがスタイル化ができ(例えば、すべてのボタンにデフォルトの外観を持たせる)、各コントロールからスタイルを明示的に参照する必要がなくなります。
デザイナ画面上で暗黙的なスタイルが利用可能なほか、VS 2010はいずれかのコントロール(またはそのいずれかのプロパティ)を右クリックして“Go to Value Definition…(値定義へ移動)”コンテキスト・メニューを選択すると、そのスタイルが定義されているXAMLへジャンプするので、簡単に参照されているリソースにたどり着けます。これにより、“なぜ、ボタンが赤いの?”という質問に、より簡単に回答できるようになります。
図10 |
■スタイルのIntelliSense
VS 2010では、すでにXAMLにあるスタイルを簡単に修正でき、また特定のコントロールのTargetTypeに基づいたスタイル内のプロパティや値に対してIntelliSenseを利用できます。例えば以下では、“Button”型のコントロールに対してスタイルを設定しています(これは、“TargetType”プロパティで示されています)。IntelliSenseがButtonコントロールに対して、(たとえ<Setter>要素の中であっても)どのように自動的にプロパティを表示するのかをご確認ください。
図11 |
Silverlightデザイナ機能を実際の動きで見る素晴らしいビデオ
上記のSilverlight 4 Tools for Visual Studio 2010の機能(および、いくつかの私が触れていないものでクールなもの)はすべて、Channel 9にある20分間のSilverlight.TVビデオで、実際の動作のデモを見られます。
図12 |
WCF RIA Services
本日はWCF RIA ServicesのV1リリースも出荷しました。それはSilverlight 4 Tools for Visual Studio 2010セットアップの一部として自動的にインストールされます。
WCF RIA ServicesはSilverlightによりビジネス・アプリケーションの構築をより簡単にします。通信にはWCFの力を使用して、ASP.NETとSilverlightプラットフォームを統合させることで、伝統的なN層のアプリケーション・パターンを簡素化します。WCF RIA Servicesは、中間層で実行され、問い合わせや変更や独自のオペレーションなどのデータ・アクセスを制御するアプリケーション・ロジックを記述ためのパターンを提供します。また中間層でクライアント上のSilverlightコンポーネントやASP.NETと統合することで、ロールに基づいたデータ検証、認証、承認などの共通のタスクに対して、エンドツーエンドのサポートも提供します。
簡単にいうと、サーバ上に保存されているデータをクライアント・マシンから簡単に検索できるようになり、また必要に応じてクライアント上でデータを操作/修正して、サーバへ再保存できます。検証アーキテクチャをサポートしているので、クライアントおよび中間層の両方において、確実にデータをセキュアに保ち、常にビジネス・ルールが適用されるようにサポートします。
WCF RIA Servicesはクライアントとサーバ間の通信にWCFを使用します。それは、最適化された.NET間でのバイナリ・シリアライズ形式に加えて、ODataとして知られるAtom形式のオープンな拡張一式や、オプションとして、どのクライアントでも使用可能なJavaScript Object Notation(JSON)形式もサポートします。
Nikhil氏とDinesh氏のWCF RIA Servicesについての会談は、この13分間Channel 9ビデオで聞けます。
Silverlight 4トレーニング・キットの統合
Silverlight 4、Visual Studio 2010、WCF RIA Servicesでビジネス・アプリケーションを構築する方法についての詳細は、Silverlight 4トレーニング・キットをご確認ください。
トレーニング・キットには8つのモジュール、25個のビデオ、数個のハンズオン・ラボが含まれており、Silverlight 4およびWCF RIA Services概念を説明し、それらを使って完全なアプリケーションを構築できるように導きます。
図13 |
トレーニング・キットは無償で利用可能で、入門には最適です。
まとめ
本日のリリースでは、Silverlightの開発ストーリーが本当に完結し、アプリケーション構築のための全域にわたるランタイム+ツールのストーリーを提供できたということで、非常に興奮しています。
上記の機能はすべて、VS 2010および無償のVisual Web Developer 2010 Express版のどちらを使用しても利用可能で、優れたソリューションの構築開始を非常に簡単にします。
Hope this helps,
Scott
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「〜ScottGu氏のブログより〜」 |
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