連載:世界のWebサービス
第1回 Web Services for Smart Searching

1.Webサービスはここで探せ!

田口景介
2001/01/31


 まず最初は、Webサービスの見つけ方について、最も基本となるUDDIについて説明しよう。

 Microsoftは、開発者が目的のWebサービスを検索したり、登録したりする場として、uddi.microsoft.com(http://uddi.microsoft.com)を提供している。UDDI(Universal Description, Discovery and Integration)は、Web サービスに関する情報を広く公開し、それらが提供する機能などを検索可能にするためのしくみで、Microsoft、IBM、そしてAribaなどが共同で仕様を策定中である。このUDDIによりプログラマは、自分が必要とする機能を提供してくれる未知のWebサービスを広くインターネットから検索し、それを呼び出せるようになる。またUDDIでは、ユーザーが閲覧してWebサービスを検索する機能に加え、ソフトウェアによる自動検索機能も提供する予定である。この検索プログラム(UDDIクライアント)はまだお目見えしていないが、これを利用すれば、プログラムから指定した条件で自動的に目的とするWebサービスを発見できるようになる。なお、UDDIは現在ドラフト仕様が公開された段階にあり、MicrosoftからUDDI SDKのベータ版を入手することができる。

 サイトを訪れてみると、まだ“BETA”マーク付きながら、すでにWebサービスの登録は開始されていて、ここではそれらがYahooのようにサービスのジャンルごとに分類され、格納されている(下の画面)。ただし、サービスが登録されていても、そのサービスの開発元の連絡先が公開されているだけというものが圧倒的に多く、実際に利用できる状態にあるサービスはまだ少ないようだ。興味があれば、のぞいてみるといいだろう。

Microsoft UDDI

Microsoftは開発者が目的のWebサービスを検索したり、登録したりする場として、Webサービスのためのディレクトリを提供している。

 このサイトで実際に利用可能な状態にあるWebサービスは、asmxファイル(Webサービスを実装するファイル。直接コードを記述することも、DLLなどの別ファイルに格納されたWebサービスへのリンクを記述することもできる)へのURLが記述されているので、これをブラウザで表示すれば、そのWebサービスで提供されるサービスのインターフェイスを確認できる仕組みになっている。また、後述するように、Visual Studio.NETで「Web参照の追加」を行えば、自身のプロジェクトにWebサービスを組み込み、サービスを呼び出し可能になる。イメージとしては、C/C++のソースコードに#includeディレクティブを記述するようなものだ。

Web Services for Smart Searching

 とは言ったものの、時期が時期だけにまだ実践的なWebサービスが立ち上がっているわけではない。そこで今回はMicrosoftから公開されているごく簡単なWebサービス(しかもベータ版)を紹介し、このWebサービスを呼び出す簡単なクライアント(Webアプリケーション)を作成してみよう。Webアプリケーションの開発には、そろそろ一般ユーザーへの配布が始まる「Visual Studio.NET ベータ1日本語版」を使用する。すでに公開済みの.NET Framework SDKだけでも、.NETアプリケーションの開発は可能だが、Visual Studio.NETがあって初めて本腰を入れて.NETに取り組めるというものだ。やればできるのと、簡単にできるのでは大きく違う。PCを理解するために、CPUの構造から学ぶ人はいまい。Visual Studio.NETを使えば、最小限の知識と作業でWebサービスのエッセンスに触れることができるのだから、これを使わない手はない。

 今回見つけてきたのは、「Web Services for Smart Serching」と名付けられたWebサービスで、ミスタイプされたURLから、正しいと思われるURLをリストアップするために役に立つ機能を持つ。「役に立つ」というのは、このWebサービス自体には正しいと思われるURLをリストアップする機能がないからだ。できることは、入力された単語によく似た単語をMicrosoftのデータベースから検索し、これをリストアップするだけだ。また、リストアップした単語に関連するURLをリストアップすることもできる。

 ただ、まだ試験運用中らしく(何せベータ版だ)、どんな単語を入れてもたいていの場合は「そんな単語は知りません」という状態なので、実用に足るWebサービスとは言い難いが、何はともあれ現状で利用できる数少ないWebサービスだ。さっそく自作のWebアプリケーションに組み込んでみることにしよう。

関連リンク
Microsoft UDDIのホームページ
Microsoft UDDI SDKのベータ版


 INDEX
[連載]世界のWebサービス―― 究極のWebサービスを求めて ――
  第1回 Web Services for Smart Searching
  1.Webサービスはここで探せ!
    2.とりあえずプロジェクトに組み込んでみる
    3.Webアプリケーションから呼び出してみよう
 
「世界のWebサービス」

 



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