ちょっと気になる話題

「無料支援プログラムの真相」

2001/1/24

●KDDIと日本IBM、女性起業家を対象とした「e-ビジネス支援プログラム」を開始(2001/1/22)
http://www.kddi.com/kigyouka.html
  KDDIと日本IBMは、女性起業家を対象としてインターネットショップ開設を支援する「e-ビジネス支援プログラム」を共同で行うと発表、同プログラムでは、KDDIの提供するEC(電子決済)サービス「e*Tempo」を活用する。応募の受付は2001年1月24日開始。募集店舗数は30店舗

 新製品をに世に送り出す前に、試験的にある特定の市場でその製品を使ってもらい、その評価などを、本格的に展開する際に役立てる(改良したり、製品の売り上げ予測をたてたりする)ということが、マーケティングにおいてはよく行われる。いわゆる「テスト・マーケティング」と呼ばれるものである。

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 テスト・マーケティングと最初から名乗って行われる場合もあるし、そうでない場合も多い。モニター募集や無料プログラム実施などは、その多くがテスト・マーケティング目的であることは間違いない。今回のリリースもおそらくその一環であろう。

 単純にモニター募集というと、消費者(利用者)にとってはなんとなく胡散臭く、敷居も高い。タダで使わせてくれる代わりに何かを買わなくてはならないのでは?という不安がつきまとう。タダほど高いものはない、といわれるように。

 だが、「支援します」と言われると、なんだかありがたい気がして、つい頼りたくなるのではないだろうか? たとえ、支援の代償として、製品に関するアンケートの回答を求められても、それぐらいは協力しなくちゃ悪いかな、と思うものである。

 本当にそうしたサービスや製品を求めていた消費者にとっては、願ってもみないチャンスが訪れたということだ。誰よりも先に、無料で利用することができ、しかも利用後には、改善して欲しい点や不満な点を意見することができる。いいたいことを言って、感謝されることすらある。そうした自分の意見が反映されて、よいよい製品が世に送り出されるのなら、願ってもないことである。

 街角でターゲットになりそうな人をつかまえては小額の謝礼と引き換えに意見を収集するような調査のように、単なる金品目当ての人を対象とするのではなくて、本当にそうした製品やサービスを必要としている人たちに対して、テスト・マーケティングが行えるというのは、企業にとってもありがたいはずだ。

 EC業界における「無料支援プログラム」により、どのような手段でeビジネスを立ち上げようかと試行錯誤している起業家にとっては、自分のビジネス・アイディアを具現化できるチャンスであり、EC構築のハードルは一段低くなるのではないだろうか。

 特に、今回のような女性を対象とし、ショッピング・モールへの出店を後押ししてくれるような企画であれば、今までネット・ショッピングにおいては買うばかりであった人も、フリー・マーケットに参加するような気持ちで、自分のお店をインターネット上に持ち、独自のアイディアでユニークな品物を販売することができるようになるわけだ。

 なんとなくPCは苦手……と思っていた女性でも、インターネット・ショップが持てたというだけで、立派なeビジネスの起業家になれるし、そうした自信に満ちたユーザーの口コミ効果というのも、このテスト・マーケティングの副産物として、企業側では期待できるだろう。

 今後もこうした、提供側とユーザー側の双方にとってメリットのある「無料支援プログラム」という名のテスト・マーケティングはますます増えるのではないだろうか?

(荒木 直子)

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