機能ばかりに注目するからシステム導入に失敗する
2013/1/29
●著=内野宏信
●発行=TechTarget ジャパン ●2013年1月 |
アイティメディア運営 TechTargetジャパンが2011年7月に行った「情報共有に関するアンケート調査」(調査対象:TechTargetジャパン会員/調査期間:2011年7月12日〜21日/有効回答数:200件)でも、電子メール、ファイルサーバ、グループウェアがほとんどの企業で導入されているにもかかわらず、情報共有環境に「満足している」と答えた企業はわずか10%。「不満を感じている」企業が37.5%にも上った。
だが近年は、以上のツールは機能が強化されている他、スマートデバイスの導入も進むなど、情報共有基盤は年々充実している。にもかかわらず、「不満を感じている」企業が多い理由はどこにあるのだろうか?――
@IT情報マネジメントの記事から有用なコンテンツをピックアップ、再編集してお届けする「TechTargetジャパン プレミアム」。その第2弾となる『だから、ITツールを生かせない』は、新しいタイプの情報共有ツール「Salesforce Chatter」(以下、Chatter)の企業導入事例を通じて、情報共有ツールに限らない、ITツール導入・活用の要件を探る。
そもそもシステムを導入する目的は何か
2010年6 月にリリースされたChatterは、TwitterやFacebookに似たUIを持ち、自分の発言やフォローしたユーザーの発言がタイムライン上に表示される社内SNS。Chatterの場合、フォロー対象が人だけではなく、商談や見積もり、プロジェクトの進ちょくなど、刻々と変化し続ける社内の「情報」をフォローでき、情報が更新されるたびにタイムラインに表示可能な点が特徴だ。これにより、同僚や上司の発言はもちろん、業務に有益な情報を部門を超えて共有できるというメリットが得られる。
本コンテンツに登場する2つの導入企業も、「Chatterの活用によって会議にかける時間が削減された」「日常的にナレッジを交換、共有できるようになった」「確度の低かった商談もクロージングできた」など、数々の導入効果を挙げる。だが、新しいITツールを組織に浸透させるのは難しいのが常だ。特に情報共有ツールは日常的に使うものだけに、例えシステムのわずかな変更でも従業員の抵抗が大きくなりがちだ。Chatterも例外ではなく、両社とも新規導入には数々の課題が懸念されたという。
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だが、両社はその解決策をChatterの機能ではなく、「自社が情報共有ツールを導入する目的はそもそも何だったのか」という導入プロジェクトの根幹に求めた。
「ツールの導入は、単なる情報共有が目的ではなかった。営業スタッフに活力を与え、売り上げを向上させることが最終目的だったはずだ」「日報も単に活動を報告すれば良いというものではない。それを基に業務効率化や収益向上につなげることが目的であるはずだ」――。
こうした観点から、両社は情報共有の在り方そのものを問い直す。そして、「単に業務上の情報を全てツールに入力するのではなく、同僚や上司はどんな情報を必要としているのか、“求められている情報”を考えることが大切なのではないか」といった考えを導き出す。これによって、Chatterのメリットを引き出すポイントだけではなく、自社における情報共有の課題と、業務を活性化させるさまざまな可能性が見えてきたのだという。
ツールの機能ではなく「自社では何がしたいのか」という目的起点で考える――本コンテンツでは、このアプローチでスマートデバイスの導入に成功したガリバーインターナショナルの導入プロジェクト担当者の声も収録。“使ってもらえるシステム”にするための、ITツール全般にあてはまる導入・活用の鉄則を紹介する。経営への貢献と、システムのお守りからの脱却が求められているIT部門の今後の在り方を考える上でも、参考になるのではないだろうか。
仮想化、クラウドの浸透に伴い、今、情報システム部門には「攻めのIT活用」と同時に、「複雑化したシステム基盤の効率的な運用」という課題も突きつけられている。この2つの背反するテーマをどのように両立していけばよいのか?――「TechTargetジャパン プレミアム」では、多忙な情シス部員に向けて、他社のエンタープライズ系ニュースサイトよりも一歩突っ込んだ情報をピックアップしてコンパクトに提供していく。ぜひ日々の業務の参考にしてほしい。
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