Java2 Enterprise Editionの基礎知識 |
|
EJBとは、Enterprise JavaBeansという名称が示すとおり、エンタープライズ向けのコンポーネントを提供するための仕組みです。最近は、Javaの世界に限らず、「コンポーネント」「ソフトウェアの部品化」という言葉をよく耳にします。では、エンタープライズの分野でEJBが注目されているのには、どういった理由があるのでしょう。
優れたビジネスモデルを少しでも早く市場に投入し、高い利益を得たいという要求がエンドユーザーには常にあります。特に、変化の激しいIT業界ではその要求はさらに高いものとなっています。
市場への投入を少しでも早くし、かつ、クオリティの高い製品を提供するためには、新しい案件があるたびに、コードを一から作り直していては、とても対応できません。そのため、個々のロジックや、汎用的なライブラリを再利用することで、開発コストを下げることを考える必要があります。モジュールの再利用を促進するためには、個別のシステムに依存するようなコーディングをなるべく避け、再利用性の高い部品(コンポーネント)を作る必要があります。これらの考え方を、Javaのエンタープライズの分野で実現していくためのモデルが、EJBであるといえるでしょう。
EJBを使用することによって、開発者にもたらされるメリットには、次のようなものがあります。
■システムレベルのサービスを実装しなくて済む
これによってもたらされるメリットは2つあります。まず、システムレベルのサービスが、EJBを動作させるEJBサーバに実装されることから、開発者が製造する個々のEJBには、複雑なシステムレベルの実装をする必要がなくなり、そのための開発コストが削減できます。
また、開発者はビジネスロジックの実装だけに専念することができます。さらに、EJBを使用すると、EJB登場前のアプリケーションサーバに見られた、データベースのプーリングなど、ベンダ依存のコーディングを排除することができます。それによりミドルウェアなどの構成・環境に依存するコーディングの入る余地がなくなり、別のアプリケーションやアプリケーションサーバであっても、容易に再利用することができます。結果として、コンポーネントとしての再利用性が高まります。
■クライアントを限定しない
J2EEのアプリケーションモデルに従うことで、クライアント環境をHTML(Webブラウザ)に限定しません。EJBでは、クライアントに依存しないロジックだけを記述すれば済むため、クライアントが変わっても、EJBに変更を加える必要がありません。
■CORBA準拠
EJBはCORBAに準拠した規格として策定されており、EJBサーバ自体も、CORBAサーバ上で動作させることができます。ベンダにとっては、これまで提供してきたCORBAのミドルウェアを、EJBに適用しやすいというメリットがあります。実際、ベンダの提供するEJBサーバには、CORBAサーバ上で稼働するものが多くあります。
[関連記事]
WebアプリケーションにおけるサーバサイドJavaの役割
(Java Solution)
サーブレットとEJBの連携
(Java Solution)
「Java Solution FAQ」 |
- 実運用の障害対応時間比較に見る、ログ管理基盤の効果 (2017/5/9)
ログ基盤の構築方法や利用方法、実際の案件で使ったときの事例などを紹介する連載。今回は、実案件を事例とし、ログ管理基盤の有用性を、障害対応時間比較も交えて紹介 - Chatwork、LINE、Netflixが進めるリアクティブシステムとは何か (2017/4/27)
「リアクティブ」に関連する幾つかの用語について解説し、リアクティブシステムを実現するためのライブラリを紹介します - Fluentd+Elasticsearch+Kibanaで作るログ基盤の概要と構築方法 (2017/4/6)
ログ基盤を実現するFluentd+Elasticsearch+Kibanaについて、構築方法や利用方法、実際の案件で使ったときの事例などを紹介する連載。初回は、ログ基盤の構築、利用方法について - プログラミングとビルド、Androidアプリ開発、Javaの基礎知識 (2017/4/3)
初心者が、Java言語を使ったAndroidのスマホアプリ開発を通じてプログラミングとは何かを学ぶ連載。初回は、プログラミングとビルド、Androidアプリ開発、Javaに関する基礎知識を解説する。
|
|