[トライアル版連動企画]
Webアプリケーションの作成が一通り理解できる基礎講座


初めてJavaを使ってWebアプリケーションを構築するプログラマのために、アプリケーションサーバの環境構築からServlet、JSP、さらに踏み込んだところでEJBによるプログラミング、デバッグの方法などを計5回の連載で解説します。
一通り学び終わると、Webアプリケーションプログラミングの全体がすっきり見渡せるようになります。
トライアル版を使って誰にでも実際にトライできます!
藤井 等
ボーランド株式会社
2000/12/8

第1回 サーバサイドの環境をつくる

 今回の内容
学習のためのCD-ROMの入手方法
Inprise Application Server 4.1のインストール

Inprise Application Server 4.1の起動

コンソールを起動してみる

サービスの起動と停止

Web管理ツールを起動してみる

サーブレットが動作することを確認する
コラム:Inprise Application Serverの特徴
コラム:関連情報の入手

 第1回は、サーバサイドでアプリケーションを構築する際に必須となるサーバサイドJavaの環境構築について解説する。ServletやJSP、EJB、CORBAといったサーバサイドのコンポーネントを動作させるためには、エンジンやコンテナと呼ばれるものが必要になってくる。ここでは、これらがすべて統合されたアプリケーションサーバ「Inpirse Application Server 4.1」を使って、サーバサイドの環境を準備する。





 学習のためのCD-ROMの入手方法

 開発環境であるJBuilder 4 EnterpriseとInprise Application Server 4.1のトライアル版を、インプライズのwebサイトから入手できる。60日間の使用期限があること、評価目的以外では使用できないなどの制限があるが、機能的な制限は一切ない。したがって、高性能アプリケーションサーバの機能を完全に評価できるし、フル機能を使った学習が可能だ。

 「JBuilder 4 Startup Kit CD-ROM」には、JBuilder 4 Enterpriseのトライアル版とInprise Application Server 4.1のトライアル版、そしてJBuilder 4 Foundationが含まれている。このCD-ROMは以下のURLから入手できる。また、Inprise Application Server 4.1のトライアル版を単体で入手することもできる。

 なお、Inprise Application Server 4.1は、単体製品として提供されているほかに、JBuilder 4 Enterpriseにもバンドルされているので、購入する際に注意して欲しい。

 Inprise Application Server 4.1のインストール

 Inprise Application Server 4.1をインストールする前に、JDK 1.2.2またはJDK 1.3をインストールしておく必要がある。JBuilder 4をインストールすると、JDKが自動的にインストールされるので、この作業は必要ない。Inprise Application Server 4.1は自己解凍ファイルになっており、これを実行することでインストーラが起動する。

■JBuilder 4 Enterpriseトライアル版CD-ROMからのインストール
 JBuilder 4 Enterpriseトライアル版CD-ROMを使用すると、JBuilder 4 EnterpriseとともにInprise Application Server 4.1をインストールできる。JBuilder 4のインストールが完了すると、最後にInprise Application Server 4.1のインストーラが起動する。

 インストールは、インストーラの指示に従って実行する。インストーラは、ユーザー情報とライセンスキーの入力を求めるが、トライアル版としてインストールするには、[License Key]項目を空白に設定する。

画面1 ライセンスキーの入力   (クリックすると拡大します)

インストーラで指定する設定項目を以下にまとめる。

項目
説明
Name あなたの名前
Company Name 会社名(ライセンスインストールの場合、ライセンスキーに対応するCompany Name)
License Key ライセンスキー(トライアルインストールの場合は空白にする)
Destination Foloder Inprise Application Server 4.1をインストールするディレクトリ
OSAGENT_PORT VisiBroker SmartAgentが使用するポート番号。Inprise Application Serverは、このポート番号を使用して、SmartAgentと通信する(デフォルトは14000)。同じセグメントに属するアプリケーションサーバは、すべて同じポート番号を指定しなければならない

VBROKER_ADM
設定情報を保管する管理ディレクトリ(デフォルトは、インストールディレクトリ下の /adm)
Application Server name アプリケーションサーバ名(任意の名前。半角英数)SmartAgentは、この名前によってアプリケーションサーバを自動検出する

 すべての設定を完了すると、インストールが始まる。インストールが完了すると、Readmeファイルが表示される。

■コンソールのみのインストール
 Inprise Application Serverコンソールは、Inprise Application Serverの稼働状況をモニタするGUIコンソールである。このコンソールは、リモート環境からアプリケーションサーバにアクセスして、情報を表示することができる。リモート環境にコンソールをインストールするには、インストーラの[Select Components]ページで、[Inprise Application Server Console]のみを選択してインストールを実行する。このとき、監視したいアプリケーションサーバのOSAGENT_PORTと同じ値を指定することを忘れてはいけない。

コラム:Inprise Application Serverの特徴とは

 Inprise Application Serverは、CORBAとEJBを統合させたアプリケーションサーバである。EJBは、EJBサーバで実行されるが、このEJBサーバに相当するのがInprise Application Serverである。Inprise Application Serverは、EJBサーバの構築にCORBA ORBであるVisiBrokerを使っている。言い換えればVisiBrokerで作られたアプリケーションサーバである。

 CORBAベースでEJBの稼動環境を構築するとは、どういうことだろうか?CORBAは、拡張性や耐障害性、相互運用性をもたらす分散技術の中核として、インターネットアプリケーション構築の分野で高い注目を集めている。しかし、EJBのようなWebアプリケーションを想定したコンポーネントベースのアーキテクチャに比べて、生産性や再利用性が高いとは言い難く、高性能のCORBAに対し、開発が容易で再利用しやすいEJBという技術があるのが現状だ。だが、CORBAをベースにEJBを動かす(つまりEJBすらもCORBAオブジェクトとして動く)ことによって、EJBの高い生産性と再利用性にCORBAアプリケーションの耐障害性や相互運用性といった特徴が加わり、高い性能を発揮できるというわけだ。

  Inprise Application Serverは、CORBA技術の上にEJBサーバ、Webサーバなどが構築されており、インターネットアプリケーションで必要とされる主要な技術を一元的に利用できるという特徴がある。なお、開発については、JBuilder 4との統合によって、効率的に行える。これらの機能は、Startup CD-ROMを入手して実際に試していただきたい。

 Inprise Application Server 4.1の起動

 Inprise Application Server 4.1を起動するには、iasコマンドを実行する(Windows NT/2000では、[スタート]メニューから[Inprise Application Server 4.1]-[Inprise Application Server]を選択する)。iasコマンドは、インストールディレクトリ下の bin ディレクトリにある。
 NTサービスとしてInprise Application Serverを起動するには、次のようにコマンドを実行する。

ias -install "Inprise Application Server 4.1"

 これで、Inprise Application Server 4.1という名前でサービスが登録される。[コントロールパネル]-[サービス]を選択すると、Inprise Application Serverがサービスとして登録されていることが分かる。[開始]ボタンを押すとInprise Application Serverが起動する。

画面2 NTサービスへの登録  (クリックすると拡大します)

 サービスを削除するには、以下のように実行する。

ias -remove "Inprise Application Server 4.1"

 Windowsサービス用の起動オプションは次の通りだ。

-install <サービス名> <コマンドライン>
-remove <サービス名>

 Inprise Application Serverが起動すると、デフォルトで以下のサービスが起動している。

項目
説明
OSAgentサービス
(SmartAgent)
VisiBrokerの動的ロケーションサービス。UDPのブロードキャストを使って、サーバ名やアドレスを指定せずに、アプリケーションサーバへアクセスすることを可能にしている

JNDIサービス
(ネーミングサービス)
CORBAやEJBでは、ネーミングサービスを使ってサーバオブジェクトへの参照を得る。JNDI(Java Naming and Directory Interface)は、そのJ2EEの規格である。Inprise Application Serverは、CORBAとJNDIの両方の仕様に準拠したネーミングサービスを搭載しており、EJBおよびCORBAの双方のアクセスに対応している
Webページサービス いわゆるWebサーバ。Inprise Application ServerのWebサーバには、サンのJWSが使用されており、サーブレット/JSPエンジンも搭載されている
EJBコンテナ EJBは、EJBコンテナで実行される。EJBコンテナは、EJBオブジェクトとアプリケーションサーバの低位のサービスをつなぐ役割をする。Inprise Application ServerのEJBコンテナには、軽量のネーミングサービス、トランザクションサービスが搭載されており、スタンドアロン実行も可能である(JBuilder 4内では、この機能を利用してEJBを実行、デバッグする)
JDataStoreサービス Pure Javaデータベース。アプリケーションサーバ組み込みの軽量データベースサーバとして利用できる

 そのほかには、以下のサービスを起動できる。参考までにご紹介する。

項目
説明
トランザクションサービス 分散トランザクション制御を行うサービス。複数のサーバにわたるコミット、ロールバックをサポートし、処理の信頼性を確保する。Inprise Application Serverのトランザクションサービスは、OTSとJTS/JTAの両方をサポートしており、CORBA/Java双方のトランザクション処理に対応する

JMSサービス
J2EEのJMS仕様に準拠したメッセージサービス。非同期メッセージキューを扱える
セキュリティサービス SSLをサポートする。セキュリティサービスは、Webサーバのセキュリティだけでなく、EJBコンテナのセキュリティにも対応している

 Inprise Application Serverを起動したマシンで、ブラウザを起動して以下のURLを入力すると、Webページサービスにアクセスしてデフォルトのページを表示できる。

http://localhost:8080/

画面3 Inprise Application Serverへの接続 (クリックすると拡大します)


 コンソールを起動してみる

 console/bin/console.shコマンドを実行する(Windows NT/2000では、[スタート]メニューから[Inprise Application Server 4.1|Inprise Application Server Console]を選択する)と、Inprise Application Serverコンソールが起動する。コンソールは、Windows、UNIXで共通のルックアンドフィールとなっており、同じ操作性を提供している。

画面4 Inprise Application Serverコンソール   (クリックすると拡大します)

 [Application Servers]項目をクリックすると、検出したアプリケーションサーバが表示される。アプリケーションサーバの検出方法は、[File]-[Preferences]の[AppServer]ページ[Server Discovery]で変更できる。

画面5 Server Discoveryオプション

 マニュアルでサーバを指定するときは、[Add Server…]ボタンを押して、サーバ名(アプリケーションサーバ名)を指定する。[Explicitly bind to server on host]をチェックすると、ホスト名(またはIPアドレス)を指定して、特定のマシンのアプリケーションサーバを検出するように設定できる。

 サービスの起動と停止

 コンソールを用いると、各サービスを起動、停止できる。例えば、[Transaction Services]内の[visitransact_tm]を選択してマウスの右ボタンを押して[Start]を選択すると、VisiTransactトランザクションマネージャ(JTS/OTSトランザクションサービス)が起動する。同じような操作で[Stop]-[Normal]を選択すると、サービスをシャットダウンできる。

 アプリケーションサーバをシャットダウンするには、アプリケーションサーバ項目を選択して、同じように[Stop]-[Normal]を選択する。アプリケーションサーバの停止は、NTサービスの停止、コマンドラインツールによる停止操作によっても可能だ。

 Web管理ツールを起動してみる

 http://localhost:8080/ によって表示したデフォルトページで[Administration]を選択するか、以下のURLを入力すると、Web管理ツールのログイン画面が表示される。

http://localhost:9090/

 [User Name]、[Password]にadminを入力して[Log in]をクリックすると、管理ツールにアクセスできる。

画面6 Web管理ツール  (クリックすると拡大します)

 [HTTP Web Engine]を選択して[Manage]を押すと、Webページサービスの設定を変更できる。

項目
説明
Setup Webサーバの設定を変更する
Monitor Webサーバのアクセス状況などをモニタできる
Security アクセス制限などの設定を行う
Servlets サーブレットの設定を行う

 Webページサービスは、デフォルトでポート8080を使用するが、Web管理ツールを使って80などに変更可能である。[Setup]-[Network]で、[Port]項目を変更して[Save]ボタンを押す。これで、Webサーバとして使用するポートが更新される。

 サーブレットが動作することを確認する

 今回は、Inprise Application Serverの詳細機能には入らずに、Webページサービスの使用方法のみを簡単に紹介する。Webページサービスのドキュメントディレクトリは、デフォルトで、インストールディレクトリ下のhtml/public_html/ である。また、サーブレットクラスは、servlets/ 下に配置される。また、classes/ 下は、Webページサービス(サーブレットやJSPが稼働する)のクラスパスに追加されており、ここに必要なライブラリを配置すればよい。

 デフォルトでインストールされているHello Worldサーブレットは、次のURLで実行される。

http://localhost:8080/servlet/inpriseexamples.HelloWorldServlet

そのほかのサンプルには、以下のURLから参照できる。

http://localhost:8080/examples/

 以上で、サーバ側の環境構築と、動作の確認が終了した。

コラム: 関連情報の入手

 Inprise Application Serverに関する技術情報は、Webで公開されている。



第2回 JBuilderで学ぶWebアプリケーション構築
「サーブレット、JSPを使った開発」
  サーブレットを使った開発
  サーブレットウィザードを使う
  サーブレットを理解する
  サーブレットを実行してみる
  JSPを使った開発
  Beanを作ってみる
  JSPウィザードを使う
  JSPを実行してみる


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