Webの上のポジョ
をステートフルにつなぐJBoss Seam
【特集】Java EE 6のWeb Beansを先取りするオープンソース
株式会社 クロノス
大石宏一
2008/8/28
利点【5】サンプルやツールの充実による導入のしやすさ
JBoss Seamは、開発者にとって導入しやすいようにいくつかの工夫が施されています。JBoss Seamは、こちらのサイトからダウンロードできますので、試しに導入してみてください。
■ サンプル・アプリケーションが充実
導入のしやすさについていうと、例えばサンプル・アプリケーションが充実していることが挙げられます。JBoss Seam(2008年8月の原稿執筆時最新版はjboss-seam-2.1.0.BETA1)を解凍すると、「examples」フォルダに28個のサンプル・アプリケーションが用意されます。それぞれのアプリケーションはホテル予約システムやブログ、Wikiなどの身近なテーマのサンプルからHibernateやSpring Framework、Apache Wicketを利用したサンプルなどの実践的なテーマが取り上げられており、導入しやすくなっています。
■ プロジェクト・ジェネレータ「seam-gen」
次に挙げるのが、「seam-gen」の存在です。seam-genはコマンドラインによるプロジェクト・ジェネレータです。seam-genを使用すると、セッションBeanやエンティティBeanのパッケージを指定したり、DBの種類やJDBCドライバの場所を指定したりすることができます。
また、seam-genで作成したプロジェクトはEclipseやNetBeansなどのIDEにインポートできるため、開発が容易になります。
■ Tomcatにデプロイできる!
最後にJ2EE 1.4のWebアプリケーション・サーバやApache TomcatにデプロイできることもJBoss Seamの導入のしやすさといえます。特にTomcatにデプロイできるという点は、手軽に検証ができ、手を出しやすいのではないでしょうか。
間もなく「JBoss Seam 2.0」がリリース!
つい先日、2008年9月上旬に、メジャー・バージョンアップとなる「JBoss Seam 2.0」のリリースが予定されていると発表がありました(参考:レッドハットがJBoss Seamの最新版、SOAコンポーネント・Java EE6との連携を追加)。
JBoss Seam 2.0では、「JBoss jBPM」「JBoss Rules」「Hibernate」「RichFaces 3.1」との連携を完全にサポートします。
また、Webサービスとの連携を簡単にする機能が新たに実装されます。これにより、BPMやO/Rマッピング、Ajax機能、SOA技術などを用いたJava EEをベースとするWeb 2.0アプリケーションの開発者は、多くの手間を省け、生産性の大幅な向上が図れるのではないでしょうか。
今後、JBoss SeamによってEJB 3.0は普及するのか?
■ なぜ、EJBは3.0になっても敬遠されるのか?
JBoss Seamの普及は、EJB 3.0の普及と切り離して考えることはできません。EJB 2.1が現場では不評だったことから、大幅に改編されたEJB 3.0になってからも多くの技術者は「EJB」と聞くだけで導入を手控えるようになってしまいました。
もう1つ、技術者がEJB 3.0を手控える理由は、EJB 3.0が目新しさに欠けると思われていることが挙げられるかもしれません。確かに、EJB 3.0はEJB 2.1の無駄を省き、良いところを残したうえで、軽量コンテナの良いとこ取りをしたという色合いが強く、これといったEJB 3.0独自の目を引くコンセプトは見られません。
■ EJB 3.0の可能性
しかし、それだけにEJB 3.0は洗練されてきていますし、そもそもEJB 3.0はJava標準化機関であるJCP(Java Community Process)に提案されている仕様です(JSR 220)。
Javaで構築する金融や勘定系のシステムでは、変化に強いシステムを実現するためにEJBコンテナを利用することが多いといったことからも、EJB 3.0はブレイクする可能性を秘めています。
EJB 3.0が使われ、認知され始めれば、JBoss Seamは強力な選択肢となります。逆にJBoss SeamがEJB 3.0の普及に貢献する存在になるかもしれません。今後の流れに注目したいと思います。
前述のように、メジャー・バージョンアップの2.0がリリースされことですし、1度JBoss Seamを使ったことがあるという方も、試してみてはいかがでしょうか。
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Page1 | ||
EJB 2.1って使えましたか? 次期Java EEを先取りする「JBoss Seam」の利点 利点【1】アノテーションでJSFとEJBの統合が簡単に |
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利点【2】O/Rマッピング・DIによるXML地獄からの解放 利点【3】双方向のDI「バイジェクション」が可能 利点【4】ステートフルなWebアプリケーションに最適 コラム 「ポジョだとテストが容易になる?」 |
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利点【5】サンプルやツールの充実による導入のしやすさ 間もなく「JBoss Seam 2.0」がリリース! 今後、JBoss SeamによってEJB 3.0は普及するのか? |
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