宮原徹的Linux生活
其の二 Linux Conferenceは酒宴と共に

宮原 徹
2000/12/9

 皆さん、こんにちは。み。です。早いもので、もう2回目の締め切りが来ちゃいました。それだけ先週のLinux生活が濃かったということですね。

11月28日

 トヨタカップを見に行く。毎年の年中行事で、これから年末年始とサッカー三昧の生活が待っている。

 ホーム側コーナーより前から2列目と絶好のポジション。ボカ・ジュニアーズのストライカー、パレルモの素晴らしいゴール2本を目の前で見ることができた。残念ながらロベルト・カルロスのゴールは反対側だったけどね。

 凡戦の多かった最近のトヨタカップの中では特別面白い試合だった。なんといっても、はるばるアルゼンチンからやってきた3000人のボカのサポーター。いままでのトヨタカップとは段違いの人数と迫力。スタンドを覆い尽くす巨大なフラッグ、一体どうやって日本に持ってきたんだろう?

 しかし、冬の平日の夜にやるのは止めてほしいなあ。

11月29日

 Linux Conference 2000 Fall(以下LC)に参加するために京都へ新幹線で移動。4時半起き。前日のトヨタカップのおかげで3時間ぐらいしか寝ていないのに、興奮していたのか新幹線の中でもまったく眠れず、会場入り。

 早速カーネル2.4の新機能解説やフリーソフトウェアのライセンスの話を聞く。後者は特によくまとまっており、たくさんの人に聞いてもらえるといいなあと思う。

 一応、み。的な疑問点として、現在一般的なソフトウェア開発の委託における著作権の発生主義の解釈をどうするのかという点がまずある。原則として、著作権は開発した人自身に自然に発生する権利であって、いくつかの基本的な権利については譲渡不能と解釈されているが、委託開発契約においてはその部分が修正されている。

 もう1つがソフトフェアの無保証性。オープンソースソフトウェアは無保証で、商用ソフトウェアには保証があると思われがちだが、実際にはどんなソフトウェアも基本的にすべて無保証である。対価を払っているのだから動作を保証してくれているのではないかという幻想に陥ってしまうのが人情だと思うが、それをたくさん裏切られているのに気付こうとしない。Windowsっていう実例があるのに……。

 このあたり、来年のメッセージにおいて重要になりそう。

 オムロンソフトウェアの記者発表では、「Wnn」の命名の由来が「わたしのなまえはなかのです」(Watashi no Namae ha Nakano desu)を一発変換するのを目標にしていたと聞く。なるほど。

 LC終了後、市内に出てRuby/Perl飲み会。最初はビールで乾杯だったが、いきなり日本酒の一升瓶が出てきたので鯨飲する。やや遅れてPerlの作者であるLarry Wall氏やRubyの作者のまつもとひろゆき氏、「伽藍とバザール」のEric Raymond氏、PostgreSQLのBruce Momjian氏などが次々と合流。訳の分からない宴会となる。

 2次会は京都名物(?)鴨川を眺めながら語り合う。締めはラーメン(笑)。


11月30日

 二日酔い(笑)。痛い頭を抱えながらLC会場へ。京都の地下鉄は空いていていいなあと思う。

 この日面白かったのは視覚障害者のLinux利用の現状と課題のセッション。講師自身が視覚障害者であり、積極的にLinux利用に取り組んでいる。視覚障害者のコンピュータ利用における障害や点字ピンディスプレイなど、普段目に触れないデバイスの話など非常に興味深いものがあった。み。自身、学生時代に地元の盲学校で校舎管理のアルバイトをしていたこともあって、実は意外な接点があるかもしれない。

 視覚障害者にとっては、GUIよりもCUIの方が楽なのだそうだ。確かに。コマンドライン苦手とかいってGUIにばかり依存している技術者、少しは考えよう。ちなみに、み。はコマンドラインの方が好き。GUIはMacのみだな。

 慌しくBOFへ参加。Linuxの可能性とかを語り合うBOF。いつの間にかたくさんの人が集まって語り合う。濃い人しか集まってないので、ホント、面白い話になった。いつかこの成果はまとめたいなあと思う。ビデオに撮られていたので、そのうちRealVideoで公開されるかもしれないので、楽しみ。

 夜はSamba関係の飲み会へ。相変わらず2次会、3次会と続く。京都の夜は熱い!

12月1日

 今日は二日酔いはしていない(笑)。最終日なのでセッション数が少ない。

 Larry Wall氏の講演を聴く。Perl6の話題だったが、その仕様決めのプロセスが面白い。RFCの形でいろいろとユーザーから意見をもらうのだそうだ。それをLarry氏が懐かしの欽ちゃんよろしく、「ばかうけ〜」「ややうけ〜」などと分類して、最終的に決めていくとのこと。これもまたオープンソースかな? けど、この方法ってやっぱり伽藍形式だと思うよ。

 夜は「京都研究会」なる集まりへ参加。テーマがオープンソースということで参加したが、オープンソースについてはほとんど語られず。一般的な感覚ってそんなものか、というか、オープンソースって単純なソフトウェアの開発手法(あるいは流通手法?)だと思えば、その言葉が一人歩きにしろこんなところまでやってきたことを驚くべきか。いろいろな意味で勉強させられた。

 来週、再来週となぜかイベントで講師をすることになっているので、次はそのあたりのお話を。それでは。

「宮原徹的Linux生活」

筆者紹介
宮原徹

株式会社アクアリウムコンピューター代表取締役社長/Project BLUE/日本Samba ユーザ会 広報。データベースの活用を中心としたLinuxによるビジネスソリューション構築のため、公私にわたり日々活動している。Linux Squareフォーラムのガイドとして、記事の執筆などを行う


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