「ネットワーク的に近い」とは何を指すのか 森下泰宏 (JPRS) |
「ネットワーク的に近い」という言葉は、主に2つの意味で使用されています。1つは「経由するルータやネットワークの数が少ない」、もう1つは「RTT(Round Trip Time:データを送ってから相手の確認応答が返ってくるまでの時間)が短い」です。
現在のインターネット上で広く使用されているBINDのDNSキャッシュサーバは、ドメインの情報を問い合わせるためのDNSコンテンツサーバを選択する際に、通信相手との間のRTTをチェックしたうえで、RTTがより短かったDNSサーバを重点的に選択するように設定されています。このようにすることで、名前検索にかかる時間の短縮を図っています。
また、ルートサーバやTLD DNSサーバなどの重要なDNSサーバでは、IP Anycastという技術を用いたDNSサーバの運用が開始されました。IP
Anycastを使用した場合は、インターネット上に設置した複数のDNSサーバのコピーに共通のIPアドレスを付与することになります。そうすることによって、DNSキャッシュサーバからの名前問い合わせに対し、経由するネットワークの少ない、すなわちRTTが短くなると期待されるDNSサーバを優先的に選択させることが可能となり、より効率的なDNSサービスの実現が可能となります。
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