連載第6回
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TCP再送は 現場で起きている |
大ヒットした映画のワンフレーズではありませんが、いうまでもなく私たちは、教科書を離れた場所で日常的にコンピュータ同士の通信を利用しています。こういった実際の様子を切り出して観察すると、これまで勉強した理屈以上に、TCP/IPのことをよく知ることができるに違いありません。
そこで今回は、これまで学んできたTCPの知識を基にして、実際の通信の様子を少し詳しく観察してみましょう。TCPについて何も知らないときと比べると、同じ通信内容を見ても、はるかに多くのことを読み取れるはずです。
道具の準備と使い方 |
TCPを使った実際の通信を観察するには、プロトコルアナライザと呼ばれるプログラムを利用するのが一般的です。ここでは、以前に本連載で取り上げたプロトコルアナライザEtherealを使うことにします。Etherealのインストール方法、使い方については、第3回「分かるスライディングウィンドウ、見えるEthereal」●どうやってプロトコルアナライザを手に入れますか?を参照してください。なおEtherealは新しいバージョンethereal-setup-0.10.6.exeが登録されています。
プロトコルアナライザは、ネットワークを流れているすべてのデータを読み取ることのできるプログラムです。そのため、原則的にはネットワークを利用しているすべてのコンピュータ同士の通信をモニタすることができます。
しかし実際にやってみると、自分がやりとりしているデータだけをモニタできるケースが多いはずです。なぜかというと、多くのネットワークでコンピュータ同士の接続に「スイッチングハブ」と呼ばれるタイプのハブを使っていて、それが自分に関係しない他人のデータを原則として送ってこないからです。
ここでは、TCPの動作を観察するのが目的ですから、これで全く支障はありません。Etherealをインストールしたコンピュータと、外部のコンピュータとやりとりする様子を観察することにしましょう。
ここで観察するのはTCPですから、その上で動いているプロトコルは、基本的に何でも構いません。ここでは、シンプルで確認しやすい方法として、HTTPでのアクセスを観察することにしました。
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