連載第10回
TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【下位レイヤ編】

arpはネットワークで何を「叫ぶ」?

福永勇二
インタラクティブリサーチ
2005/3/2


素朴な疑問
MACアドレスの正体
1 MACアドレスって何ですか?
2 MACアドレスを見てみたいのですが
MACアドレスとIPアドレス
3 データのあて先に使うのはIPアドレスじゃないのですか?
4 MACアドレスとIPアドレスの関係を例で説明してください
5 どちらに統一できないのですか?
6 ネットワークの動作で説明してください
IPアドレスからMACアドレスを見つけ出す
7 対応表を使えば簡単じゃないですか?
8 対応表を使わない方法にはどんな方法がありますか?
9 arpの動作は?
10 ネットワークで「叫ぶ」ってどういう意味?
arpパケットの構造
11 arpパケットの中身を教えてください
12 arpパケットを見るときの注意点は?
 arpパケットの構造

・arpパケットの中身を教えてください

 arpパケットの仕組みを図6に示しました。各フィールドの意味を簡単に説明します。

図6 arpパケットの構造

 「ハードウェア種別」には、ネットワークの規格を表す情報が入ります。イーサネットは16進で0001です。「プロトコル種別」には、これから運ぼうとするプロトコルの種別が入ります。IPは16進で0800です。「HLEN」は「ハードウェア種別」で指定した規格で使用するアドレスのビット数が入ります。MACアドレスは6バイトを使いますから、これをビットに直した値48が入ります。「PLEN」は「プロトコル種別」で指定したプロトコルが使用するアドレスのビット数が入ります。IPアドレスは4バイト使いますから、これをビットに直した値32が入ります。

 「動作コード」には、IPアドレスをブロードキャストする問い合わせなら1が、問い合わせへの答えなら2が入ります。

 問い合わせの場合は、「送信元MACアドレス」と「送信元IPアドレス」に問い合わせをしているコンピュータのIPアドレスとMACアドレスをセットします。また「あて先MACアドレス」は空にしておき、「あて先IPアドレス」に「MACアドレスを知りたいIPアドレス」をセットしておきます。

 一方、問い合わせへの答えの場合は、「送信元MACアドレス」と「送信元IPアドレス」には、問い合わせに答えようとするコンピュータのMACアドレスとIPアドレスをセットします。また「あて先MACアドレス」と「あて先IPアドレス」には、問い合わせ元のコンピュータのMACアドレスとIPアドレスをセットします。

・arpパケットを見るときの注意点は?

 MACアドレスやIPアドレスのフィールドの長さは、使うプロトコルによって違ってきます。具体的には、HLENとPLENで指定された長さになります。ただ、最近はイーサネットとIPを使うことが多いので、図のような形になることが多いでしょう。

 また問い合わせはブロードキャストを使って「叫んで」いますが、問い合わせへの答えはブロードキャストではなく、普通の1対1の通信を使っています。この点にも注意するとよいでしょう。

IPからMACアドレスを見つけ出す

TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【下位レイヤ編】(10)目次
1  MACアドレスの正体/MACアドレスとIPアドレス
2  IPアドレスからMACアドレスを見つけ出す
3  arpパケットの構造

関連リンク
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