PC Insider 編集後記 2001年1月
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京セラ Tproof
Carl Zeiss T* Tessarレンズを採用する世界で最も安価なカメラ(2万円もせずに購入可能)。プルーフの名前のとおり、生活防水となっているので、気兼ねなく使える。そのうえ、さすがCarl Zeissとも言うべきか、写りはヘタな一眼レフよりもいい。海外出張のバックアップ・カメラとして使っているが、このカメラに救われたこと数知れず。ヘタをすると一眼レフで撮影した写真よりも、このカメラで撮影したものの方が雑誌に掲載された数は多いかもしれない。

インターネット接続共有への道

 年末から年始にかけて(といっても1月中旬までかかってしまったのだが)、自宅のPC環境の再構築を行った。Windows 2000でホーム・サーバを立ち上げ、既存のISDN TAによるフレッツ・ISDNの接続を複数のPCで共有する計画を立てた。インターネットの接続共有は、Windows 2000のインターネット接続共有機能を利用することにし、無線LANでリビングのノートPCからもインターネット・アクセスが可能なようにするつもりであった。

 この程度の設定ならば1日もあればできると踏んでいたのだが、思いのほか時間がかかってしまった。というのも、Windows 2000のインターネット接続共有が、上述の環境でうまく動作しなかったためだ(フロッピードライブやネットワーク・カードの故障が相次いだということもあるが)。理由ははっきりしないのだが、なぜか無線LANを経由したノートPCでは、インターネット接続共有機能の簡易DHCPによるIPアドレスの自動取得が行えず、インターネットの共有ができなかった。そのため、他のDHCPユーティリティやインターネット接続共有ユーティリティを試すなど、トライ&エラーを繰り返すことになってしまった。途中、インターネット接続共有ユーティリティが、フレッツ・ISDNではない番号で接続していることに気付かずに2日間ほどつなぎっぱなしになる、という痛い経験もした(NTTとプロバイダの請求書はすごい金額になっていた。これならば既存のISDN TAを捨て、新規にISDNルータを導入したほうがよかったくらいだ)。

 結局たどり着いた解決策は、フリーソフトウェアのDHCPユーティリティを使ってノートPCにIPアドレスの自動取得を行わせ、その後にそのDHCPユーティリティを停止、それからインターネット接続共有機能を有効にするという方法だ。あまりスマートな方法とは思えないが、とりあえずインターネット共有が実現したことで満足している。ISDNルータを導入するか、サーバをLinuxにするなどすれば、もう少しスマートな解決が可能だろう。また、Windows 98のインターネット接続共有機能ならば、静的IPアドレスによる接続共有の設定も可能なのだが、Windows 2000は対応していないようだ。

 残念ながらフレッツ・ISDNの場合、一方通行の擬似的な常時接続環境(フレッツ・ISDNは常時接続の保証がなく、固定IPアドレスの割り当てを行っているプロバイダも少ない)のため、ホームページを立ち上げることや、今後登場すると思われるPeer-to-Peerのサービスを使うことは難しい。また、通信速度の面でも、これらのサービスをフレッツ・ISDNで行うことは現実的ではない。それでも、料金を気にせず、常にインターネットへのアクセスが可能なのは便利だ。今では、朝起きてからニュース・サイトでニュースを読み、帰宅してから趣味のカメラ関係の販売店のサイトを見る、といったように生活の一部になっている。

 できれば、もう少しネットワークの速度が向上してほしいが、わが家のような集合住宅では今のところ難しいだろう。電力線ネットワークやFTTHなどを早期に立ち上げ、CATVインターネットやADSLが導入できない家庭でも、高速なインターネット接続を早く使えるようにしてほしいところだ。電力線ネットワークは、すでに九州電力や北海道電力がフィールド・テストを行っており、実用化も近いようだ。このフィールド・テストの結果は、できれば取材して報告したい。

(PC Insiderガイド 小林章彦)

 
  編集後記
今月の(個人的な)驚き:家族や親族のIT普及度 年末年始に帰省して驚いたのは、60歳過ぎの母親が(それなりに)PCを使い込んでいたこと。同年代の知り合いと一緒にパソコン教室へ通い、電子メールのやり取りや年賀状の印刷などを覚えたという。もう1つ驚いたのは、新年会で顔を合わせた従妹が、とあるインターネット掲示板の利用者だったこと(「逝ってよし」「(藁)」といった用語が飛び交うあの「板」である)。彼女達は、ほんの1年前までPCなぞ触りもしなかったのに、今や電子メールや掲示板などを利用すべく、PCを「道具」として使い始めている。意外に高かった周囲のIT普及度に驚くとともに、彼女達にPCを「使わせた」キラー・アプリケーションの存在がいかに重要か、再認識した次第である。
 さて、GHzプロセッサや数十Gbytesのハードディスクなどを詰め込んだ最新の高性能PCを「使いたい」と思わせるキラー・アプリケーションは? ゲームなどコンシューマ向けではなく、ビジネス向けのキラー・アプリ登場を期待したい。 (島田@でも去年も同じ期待をしたような……)
今月思案しているもの:ノートPCのアップグレード 昨年来ノートPCのメモリとHDDを換装しようかしまいか思案しています(本体の保証期間も過ぎたことだし……)。しかし、ようやく買おうかなと思っていた某周辺機器メーカーのメモリがどこを探してもない!(売り切れかしら?) 他の周辺機器メーカーでも販売しているのですが、それだとHDD(IBM 20Gbytes)と合わせて7万円近くなってしまうような感じなので、それだけの投資をするならば、現在使っているのを中古で売って、ちょっとがんばると1シーズン前くらいの新品が買えてしまいそうです。さてどうしたものか。 (と悩んでいるうちが華!? 平野)
今月の買い物:VMware for Windows/Linux 今月は「祝!ADSL導入」記念企画として、ADSL導入記を予定していたのだが、諸般の事情により(要はまだ開通していないのだ)、来月へ延期することになった。乞うご期待!
 …これだけで終わるわけにもいかない。先月購入したVMwareの代金引き落としがちょうど今月だったので、今回はVMware購入顛末記を書くことにしよう。2000年12月4日をもって、VMwareのホビースト向け価格(98ドル)が廃止される(つまり、その後はより高い価格で買わざるを得なくなる)とのニュースを目にしたのは、確か2000年11月頃だったと思う。いい機会だから買っておこうと思いつつ、気が付いたら12月3日になっていた。ちょうどその日は仕事で徹夜していたため、4日の朝にVMware社のサイトにアクセスしたのだが、必要もないのに慌てていたため、間違ってLinux版を選んでしまったのだ。
 返品しようにも、ユーザー登録用のキーは電子メールで申し込み直後に届いてしまったし、もう時間もないし、Linux版もあって不便じゃないし(と徹夜明けの私は思ったのだ)、Windows版も同時に買ってしまった。後からホビースト向け価格の廃止が12月中旬まで延期されたことを知り、地団駄を踏んだのは言うまでもない。しかも、せっかく買ったLinux版は、カーネル2.4の環境にインストールできなかったので、まだ実際には使っていない。 (澤谷)
今月の「圧倒的にヨロシイ」風景:初日の出 そういえば「初日の出」というものに会ったことがないなぁ……と思った瞬間、僕はすでに地図を眺めていた。思い立ったのは昨年12月31日のことである。よくよく考えてみると、初日の出を見に行くなんてものは「旅感覚な」と言うより、むしろ「習慣的」な、例えば「家族の行事として毎年正月にはモチツキしてマス」的な要素を持ったものだと思い込んでいたのである。小さなころから毎年「紅白歌合戦」が終わると同時に初詣に行っており、1月1日に行こうが3日に行こうが初詣という事実を初めて気付かされた少年の頃にはえらく驚いたものだ。あるいは初日の出を見に行くことが眼中に無かったのかも知れない。それに今更気付いてしまったのだ。未体験な物を思わぬ所で発見し、嬉しさのあまり発狂した(ウソ)僕は家の中をウロウロしまくって悩んだ挙句、(1)適度に遠い  (2)海が無ければ意味がない  (3)田丸屋のわさび漬け(新幹線の中でも販売している)が食いたい  (4)富士山もあるし 、という理由から静岡県清水市に行くことを決意した。(中略)美保の松原の浜辺に行くとたくさんの人たちが自分たちで作ったのか、数十個の焚火の周りにばらばらと集まる、という格好でいた。海にはたくさんの漁船が浜の近くまで来ており、真正面にご来光を拝むことができた。夕日とは違うあの空気の透明感。水平線のむこう側から光が漏れ始めた時の人々のざわめき、一体感。日本におってよかったと思う1月1日の朝でした。 (清水)
 
  PC Insider STAFF
 
編集人 小川 誉久 Art Director 谷原 正則
ガイド(編集長) 小林 章彦 制作 河本 茂美
ガイド(副編集長) 島田 広道    
構成エディタ 元麻布 春男    
編集 澤谷 琢磨    
  平野 謙    
  清水 庸介
編集・著作 Digital Advantage
   
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