PC Insider 編集後記 2001年6月
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オリンパス XA
1979年にオリンパスが発売したコンパクト・カメラ。写真のストロボは本体横に取り付けて一体化することができる。レンズ・カバーを外すことで、ファインダーが開くという画期的な構造を採用している。距離計は、この当時のコンパクト・カメラには珍しい、二重像合致方式を採用している。そのため、XAは少々マニアぽく、当時はそれほど評価されなかったようだ(むしろいまになって評価が高まっている)。

本、ラジオ、テレビ、インターネット

 メディア論的には正しくないのかもしれないが、「本」「ラジオ」「テレビ」「インターネット」と順に情報のエントロピーが高くなるのではないかと思っている。「本」はもちろん文字だけのメディアであり、読むためにはある程度の知識や想像力が必要となる。「ラジオ」になると「本」を話者が読むことで感情という情報を付加したり、音楽(これは本では伝えにくい)を流したりできる。「本」に比べて、知識レベルも必要とされなくなってくる。

 さらに「テレビ」では、「ラジオ」の要素に映像という大きな情報を付け加えることが可能だ。テレビが偉大なのは、「本」が視覚、「ラジオ」が聴覚という1つの感覚のみを刺激していたのに対し、視覚と聴覚という2つの感覚を占有することを可能にしたことにある。

 では、「インターネット」は? インターネットでは、「本」「ラジオ」「テレビ」のすべての要素を提供できる。というか、これまでのインターネットは、こうした既存メディアの延長でしかなかった。例えば、我々の提供しているコンテンツもハイパーリンクという要素はあるものの、ベースには雑誌メディアがある。同様にインターネット・テレビも、既存のテレビ放送の延長というか、流用でしかなく、伝送メディアとして電波がインターネットになっただけだ。

 インターネットがメディアとして優れているのは、さらに「プログラム」を加えることができることにあると、最近考えている。「当たり前」というかもしれないが、インターネットに流れる情報の中にプログラムの比率はそれほど多くない。JavaスクリプトやFlashなども使われているが、文字や映像とリンクした「プログラム」であることは少ない。インターネットというメディアに適した情報は、まだまだ模索段階にあると思う。

 かくいうPC Insiderにおいては、インターネットで「文字」情報を提供するという段階で、すでに暗中模索の状態にある。インターネットがメディアとして飛躍できるのは、たぶんそういった模索段階から抜け出したときなのだろう。そのとき提供されるコンテンツは、文字や音楽、映像、プログラムが混然一体となり、読者(視聴者)に視覚と聴覚、さらにインタラクティブな要素(触覚ともいえるかもしれない)を加えたものになるかもしれない。早くそういったコンテンツに触れてみたいし、自分達でも提供したいものだ。

(PC Insiderガイド 小林章彦)

 
  編集後記
今月の怒り:某サイトのユーザビリティ
 ある直販Webサイトで書物を購入しようとしたときのこと。住所の指定で「会社・部署名を含めて全角45文字以内に収めてください」というエラーで、先に進めなくなってしまった。結局、このメッセージの真の意味が「(半角文字をすべて全角に変換して)45文字以内」ということだと気付くのに、10回ほど試行錯誤を要した。仕事でどうしても必要な書物でなければ、2回目ぐらいで諦めただろう。
 Webサイトで何か入力する際、こうした不可解あるいは理不尽な要求をされることは多い。「半角カナは絶対不可」「郵便番号にハイフンは入れるな」「機種名は英数大文字」…。まったくふざけている。プログラム側で何とかしろよ!と言いたくなる。
 このようにちょっとしたユーザビリティの問題で顧客が離れていくことは、サイト運営者が想像するよりずっと多いに違いない。頭に血を上らせつつ、我々のInsiderシリーズはどうなのだ? と考えさせられた出来事であった。 (島田)
 
最近行ってみたいところ
 支持率が80%を超え、メール・マガジンも大盛況の小泉内閣。首相のお膝元の横須賀には、小泉内閣にちなんだ(?)メニューを出す飲食店が増えているそうです。自宅の最寄駅から快速特急で1駅なので、一度話のタネに行ってみようと思うのですが、なかなか暇が作れず残念ながら未だに実現していません。
 そういえば、横浜の関内にある横濱カレーミュージアムにも行こう行こうと思いつつ早半年…。どっちも自宅から遠くないんですけどね… (平野)
 
今月買わざるを得なかったもの:IBM IC25N020ATDA04
 先月の後記では、Pentium 4を買ったけど、速いと感じることができないと嘆いたが、1カ月使っているうちに、やっぱり速いんじゃないかな、と思えるようになってきた(ちょっと成長)。何か処理中で応答しなくなったプログラムが、待てる時間内に処理を終わらせて復帰することが多くなったし、大量のファイルを扱ってもストレスを感じない。まぁ、これはPentium 4の効果というより、Intel 850+Direct RDRAMのおかげという気がするけど。
 最近になって、目論見どおりPC800 RIMMの価格がだいぶ安くなってきたので(128Mbytes×2枚で1万8000円ならば全然OKでしょう)、一気にメモリ容量を増やして快適PCライフを手に入れてやろう…と思っていた矢先、私のノートPCが急に不調をきたし、もう再インストールをするしか選択肢のない状況に陥ってしまった。そう何度もインストール作業をしている時間もないし、この際RIMMの購入はあきらめて、容量不足気味のハードディスク交換もあわせて行うことにした。
 というわけで買ったのが、冒頭に記したIBM製2.5インチ・ハードディスクである。舌を噛みそうな型番だが、これは最新のTravelstar 30GNシリーズの20Gbytesモデルを指す。転送速度は速いし、流体軸受けを採用したためか動作音も静かだ。予算に余裕があるなら(もちろん私にはなかった)、30Gbytesモデルのほうがお薦めかも。 (澤谷)
 
今月の小旅行:ホタル
 先日、ちょこっと田舎が恋しくなり、突如3日間ほど帰省することにしました。突然、自分の彼女が「ホタルを見に行こう」と言うので、初めて目にするであろうホタルを想像しながらたくさん自然の残る山奥へ行くことになりました。山道から山道へ、いくつかの集落を越えていくと山が突然開け、よく物語に登場するような田園風景が広がっていました。
 川面の近くの茂みをよく見ると、淡く緑色に光るホタルたちがそこにはいました。「車のウインカーつけると、ホタルがよってくるよ」と言って彼女がハザード・スイッチを入れてしばらくすると、いつの間にか数匹のホタルが頭の上をふわりふわりと漂っているのです。ホタルは光で会話をすると言われているそうですが、訳のわからない黄色の明滅に好奇心を抱いて近寄ってきたところを、すかさず彼女が捕えてしまいました。
 ホタルをよく観察してみると、まず米粒ほどの大きさしかない体から出る光の強さに驚かされました。捕まえられたことにびっくりしたのか、今までと周期を変えて訴えるように光り、闇に消えていきました。
 ホタルの数も、年々減少しているようで寂しいことだと感じます。しかし、たまたま人間に愛されて保護される運命になったホタルのことより、見かけが悪くて何の特徴もなく、人間に知られぬところで絶滅していった他の虫たちの人生(虫生?)が気になる梅雨時の午後8時でありました。やっぱり人間は勝手だなあ。 (清水)
 
 
  PC Insider STAFF
 
編集人 小川 誉久 Art Director 谷原 正則
ガイド(編集長) 小林 章彦 制作 河本 茂美
ガイド(副編集長) 島田 広道    
構成エディタ 元麻布 春男    
編集 澤谷 琢磨    
  平野 謙    
  清水 庸介
編集・著作 Digital Advantage
   
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