第3回 Windows XP SP2でIEはどう変わった?
他力本願堂本舗
杉谷智宏
2004/12/15
そのほかの変更 |
IEには、さらにほかの設定項目も存在する。インターネットオプションの「詳細設定」タブで表示される項目がそれだ。ここでは、IEに限らず、エクスプローラにも影響する設定も行われる。SP2によって新たに追加された設定項目では、マイコンピュータゾーンでのアクティブコンテンツの実行に影響することになる。
Outlook Expressの変更 |
続いて、OEの変更について解説する。OEでは、大部分をIEのセキュリティ設定に依存している。ここではOEそのものの動作に関連する部分を見てみよう。
OEのオプション画面 |
図は、OEのメニューから「ツール」→「オプション」と選択して表示したオプションダイアログで「読み取り」タブをクリックした状態だ。一見するとSP1以前のものと何ら変わりがないように思えるが、ここで選択できる「メッセージは全てテキスト形式で読み取る」チェックボックスによって行われる設定の結果が変わっている。
現在、HTMLメールは迷惑メールくらいでしかお目にかかることもなく、むしろHTMLメール=迷惑メールであると考えてもいいだろう。そこで、ほとんどの方はこの「メッセージは全てテキスト形式で読み取る」機能を有効にしていることと思うが、SP2の適用によって、この機能を有効にしているとメッセージ内のテキスト検索が行えなくなってしまった。
また、標準状態ではこのチェックはオフになっているため、HTMLメールをそのまま表示してしまう。それによりスクリプトの実行や画像の埋め込みによる閲覧者追跡などが可能になってしまう。HTMLメールに埋め込まれた画像を表示してしまうことによって、メールアドレスの生死判定を行うこともできるため、HTMLメールの表示はしないようにした方がいいだろう。
OEに関しては、そのほとんどがIEの変更に影響されるため、特筆して触れるべきことはほとんどない。しかし、IEの設定がより柔軟になり、なおかつ強固な防衛が可能となったため、OEにおいても安全性は向上していると考えられる。
とはいえ、IEの設定が影響するのはメッセージをHTML形式で表示している場合である。メッセージをテキスト形式で表示する設定にしている場合は、添付ファイルの取り扱いに関してSP1環境から大きく変わっているわけではない。そのため、どちらかというとメッセージ検索ができなくなってしまったデメリットが目立ってくる。さらに残念なことに、OEの最大のウリでもあったMSN HotMailとの連携も近々終了するということもあり、乗り換え先が見つかればユーザーが流出してしまうのではないか。
もし、これから新しくPCを導入するのなら、今冬のラインアップからはWindows XPにSP2が適用された状態になっていることが考えられる。その際に、メールソフトとしてそのままOEを使っていいものかどうか、少し考えることになるだろう。
設定変更をユーザーに呼び掛ける配信者のモラル |
SP2の導入により、IEはデフォルトでかなり堅牢な設定が行われるようになった。しかし、設定を変更することでSP1環境と同様の動作をさせることも可能となっている。一方、OEに関しては、ユーザーにとって大きな変更はないように見受けられる。
話はそれてしまうが気になる点がある。それはSP2を導入することによって影響を受けるコンテンツの配信者の対応だ。多くの配信者は、サイト上で設定の変更を勧めるだけだが、なぜそうしなくてはならないのか、またそうすることによってどのような影響が出るのかといった説明が不足しているような気がしてならない。
多くのユーザーにとっては、十分な説明がないままで設定変更をさせられても抵抗が少ないのかもしれない。しかし、いきなり「インターネットゾーン」の設定を変更させるのではなく、配信者は十分な説明を行う努力が必要だろう。
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Index | |
Windows XP SP2でIEはどう変わった? | |
Page1 Windows XP SP2の標準クライアント Internet Explorerの変更点 Internet Explorerの詳細設定機能 |
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Page2 Internet Explorerにおけるセキュリティレベルの詳細設定 |
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Page3 そのほかの変更 Outlook Expressの変更 設定変更をユーザーに呼び掛ける配信者のモラル |
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