第4回 VMwareでLIDSに触れてみよう
面 和毅サイオステクノロジー株式会社
インフラストラクチャービジネスユニット
Linuxテクノロジー部
OSSテクノロジーグループ
シニアマネージャ
2006/2/23
VMwareイメージでLIDSを体験しよう
そろそろ、実際にLIDSの入ったシステムを触りたくなってきた読者もいるかもしれません。LIDS-JPでは、LIDSをインストールしたVMwareイメージを以下のURLに用意しています。LIDSを導入したシステムを触りながら、いままで説明してきたLIDSの効果を体験してみましょう。
【LIDSをインストールしたVMwareイメージ】 http://www.selinux.gr.jp/LIDS-JP/vmware |
VMwareイメージを使っていますのであらためてLIDSをインストールすることなく、簡単にLIDSの動作を見ることができます。現在、
- LIDS-1系列(2.4.31カーネル)
- LIDS-2系列(2.6.15.2カーネル)
という2つのイメージがダウンロードできます。
両者とも、Debian(sarge)の基本的なシステムがインストールされ、基本的なACLが設定されている状態になっています。基本的なパッケージ類しか入っていませんので、カーネルを再構成したい場合やApacheなどのサービスを立ち上げたい場合には、別途aptを用いてパッケージをインストールする必要があります。
なお、パッケージをインストールした際やアップデートした際には、LIDSのACLを新規に調整しないとプログラムが動作しません。アップデート方法やACLの調整方法などに関しては、次回以降に説明します。
以下、LIDS-1.2.2(snort)のイメージを例に説明します。ほかのイメージに関しても同様の手順で起動から停止までを行うことができます。
VMwareイメージの使い方
VMware PlayerがVMware社から無償で公開されていますので、これを使用しましょう。VMware Playerのインストール方法などは省略します。
LIDS-JPサイトからVMwareイメージをダウンロードして、適当なディレクトリで解凍/展開します。tar.gz形式になっていますので、Windows上で使用するには特別なアーカイブ展開ソフトを利用します。
VMware Playerを起動します。イメージは、解凍/展開したディレクトリ内の「sarge_lids_(バージョン番号).vmx」を選択します。
図3 「sarge_lids_(バージョン番号).vmx」を選択 |
ネットワークは、NATを使用することになっています。ホスト名は「lids」です。rootアカウントのパスワードは「lids」です。また、一般ユーザーとして「lids」というアカウントを作成しています。こちらのパスワードも「lids」です。さらに、lidsadmコマンドを使用する際のパスフレーズも同じく「lids」になっています。
システムの起動からログインまで
通常のシステムと同じようにシステムを起動します。このシステムではLIDSが有効になった状態で起動されます。LIDSを無効にしたい場合には、GRUBで「lids=0」というパラメータを入力して起動します。システムがうまく起動しない場合には、LIDSを無効にしてシステムが起動するかどうかをチェックしてください。
図4 LIDSを無効にしたい場合 |
システムがブートしていくと、「Linux Intrusion Detection System started」というメッセージが表示された後に、initによりサービス類が起動していきます。
図5 システムブート |
サービスがすべて起動すると、ログインプロンプトが出てシステムにログインできるようになります。この辺りはLIDSをインストールしていないシステムと変わりません。
なお、本来は前半で説明したように「lidsadm -I」コマンドを入力しない限り、システムはBOOTステートのままなのですが、このイメージでは「S99zzz-bootup-end」として「lidsadm -I +TPE」コマンドを実行してステートの移行とTPEスイッチのONをするようにしてあるため、ログインの時点でシステムはPOSTBOOTステートになっています(LIDS-2系列では、TDE/TPE機能がないため、「lidsadm -I」コマンドのみでステートの移行を行います)。
以降、LIDSによるシステム保護の効果を実際に見るために、rootでログインして作業を行います。一般ユーザーでログインしてもLIDSによる保護は同じになります。
設定用スクリプト
/root/scriptsディレクトリ以下に、LIDSのACLを設定するスクリプトが置いてあります。LIDSの設定を行うには第2回でも説明したように、
- lidsconf
- lidsadm
という2種類のコマンドのみを使用します。
特にACLに関しては、lidsconfコマンドを用いて設定していくことになりますが、毎回コマンドから設定を行うことは煩雑であるため、シェルスクリプトにしてあります。簡単なスクリプトですので、ACL設定の参考にしてください。詳細は次回以降に説明します。
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Index | |
VMwareでLIDSに触れてみよう | |
Page1 セキュリティ強度とシステム動作の相反 ステートという考え方 |
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Page2 VMwareイメージでLIDSを体験しよう VMwareイメージの使い方 システムの起動からログインまで 設定用スクリプト |
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Page3 デモ1:ファイルACLを試してみる デモ2:プロセスの保護を試してみる デモ3:プロセスの隠ぺいを試してみる システムの停止/再起動 |
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