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PCI DSSは“北極星”に向かうためのツールだ!


宮田 健
@IT編集部
2010/3/26



 PCI DSSとは北極星に向かうための「北斗七星」

 エンジニアや加盟店、システムインテグレータはこのPCI DSSをどう扱うべきか。矢野氏はPCI DSSを「北斗七星」に例えた。

 「北斗七星は、北極星に向かうための道しるべ。夜空に輝く北斗七星の位置さえ分かれば、北極星の位置はすぐに分かる。PCI DSSは道しるべ、“指標”として使うべき」と矢野氏は述べる。

図3 PCI DSSは「道しるべ」として使うべし(クリックで拡大します)

 ここで重要なのは、PCI DSSは“ゴール”、すなわち目的ではないことだ。PCI DSSを目的としてしまうと、なんのために準拠を目指しているのか分からなくなってしまう。あくまでシステムがPCI DSSを使うことのゴールは「セキュリティレベルの向上」であり、「セキュリティ事故をなくすこと」である。そのための道具として、PCI DSSは有効だ。

 矢野氏は、「クレジットカード業界に限らず、セキュリティ対策全般での基準のよりどころとして、例えば“PCI DSSのASVスキャンと同レベルでセキュリティ診断を行う”という利用方法が挙げられる」と述べる。PCI DSSというとクレジットカードに関係した企業しか必要がないと思われがちだが、実際にはどの企業でも有効に活用できるツールなのだ。

 そしてクレジットカードを扱う企業にとっては、PCI DSSは必達目標だ。この基準は“グローバル”であり、日本だけが例外視されることはまずないだろう。先行するアメリカと同様、準拠の期限はやってくる。そのためのセキュリティ対策を行うことで、不利益になることはないだろう。

 Verizon Businessのレポートによると、セキュリティ事故を起こした企業は、PCI DSS要件の3分の1も満たしていなかったという。PCI DSSの準拠レベルが高いほど、セキュリティ事故を起こす確率を減らせるとも考えられるだろう。日本でもPCI DSSを真剣に考える企業、団体が増えてきている。矢野氏は「もし相談相手がいないのならば、まずはJCDSCや、その参加企業に相談してほしい」と述べ、基調講演を締めくくった。

【関連リンク】
日本カード情報セキュリティ協議会

http://www.jcdsc.org/


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Index
PCI DSSは“北極星”に向かうためのツールだ!
  Page1
日本のPCI DSSを創る「日本カード情報セキュリティ協議会」
そもそもPCI DSSとは
  Page2
日本におけるPCI DSSの現状、世界における課題
品質のばらつきをどう是正するのか
Page3
PCI DSSとは北極星に向かうための「北斗七星」


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