基礎解説:フィッシング詐欺

いまさらフィッシング詐欺にだまされないために

星澤 裕二
株式会社セキュアブレイン
2004/12/25



 自衛手段とその問題点

 フィッシング詐欺に引っ掛からないためには次のような自衛手段がある。

  • メール中のリンクはクリックしない
  • 個人情報をメールで送信しない
  • Webブラウザには最新のパッチを当てる
  • サーバ証明書で本物のサイトかどうかチェックする
  • 目的のサイトにはWebブラウザのブックマークからアクセスするか、直接アドレスを入力してアクセスする

 これといった特別な対策が必要なわけではない。インターネットを利用する上での基本的なセキュリティ対策である。これらの自衛手段を取れば高い確率でフィッシング詐欺の被害に遭うことを未然に防げる。ぜひ実践してもらいたい。しかしこれらの自衛手段に問題がないわけではない。

 多くのメールマガジンでは本文中に見出しや要約のみを掲載している。記事全文を読むためにはリンクをクリックしてWebサイトにジャンプしなければならない。このようなメールマガジンに慣れているせいかメール中のリンクをクリックすることに抵抗を感じないユーザーが多い。どんなメールでも何の疑いもなくリンクをクリックするのが習慣化してしまっている。

 また、注意していたとしても巧みに仕組まれた偽メールにだまされ個人情報を送信してしまうこともある。個人情報をメールで送信してはいけないと分かっていても手口が巧妙であれば意外と簡単にだまされてしまうのだ。

 前述のようにフィッシング詐欺の中にはセキュリティホールを悪用するものがある。こういった手口には最新のパッチの適用が不可欠だ。しかし、パッチに対する個人ユーザーの意識は低い。また、企業ではすぐにパッチを当てることが難しいケースもある。システム管理者が十分にテストを実施してから全社に配布するということは珍しくない。このすき間に付け入られると被害に遭う可能性は高い。

 多くのWebサイトにおいて、個人情報を送信させるような場合はSSLによる暗号化通信を利用している。ユーザーはWebサイトが本物かどうかをサーバ証明書の内容で確認することができる。SSL暗号化通信中、Webブラウザに鍵マークが表示されるようになる。サーバ証明書はこの鍵マークをクリックすることで簡単に表示できる。

 しかし、現時点では、サーバ証明書に表示される組織名は英文である。使用するWebサイトの運営会社の正しい社名(英文の)を知らなければならない。また、Webサイトの運営を別の会社に任せているとアクセスしているWebサイトとサーバ証明書に表示される会社名が一致しないこともある。

 アドレスバーに直接URLを入力して目的のサイトに移動したり、ジャンプしたサイトが本物かどうかをアドレスバーに表示されているURLで確認したりすることは重要である。しかし、正しいアドレスをいちいち記憶するのは骨が折れる。アドレスが会社名と一致していれば覚えやすいかもしれないが、実際にはそうでないケースも多い。フィッシング詐欺のターゲットとなっている銀行やクレジットカード会社のドメイン名にも銀行名や会社名と一致しないものが多く存在する。

ドメイン名 企業名
www.boy.co.jp 横浜銀行
www.a-bank.jp 青森銀行
www.first-bank.co.jp 富山第一銀行
www.t-card.co.jp タカシマヤカード

 また、visa-secure.com、www.yahoo-billing.comなどのように紛らわしいドメイン名を取得し偽サイトを構築するという手口も存在する。

 フィッシング詐欺防御ソリューション

 最近になってフィッシング詐欺を防御するソリューションがいくつか登場している。フィッシング詐欺ソリューションは大きく2つに分けることができる。

●メールにおけるフィッシング詐欺対策

アンチスパム技術でフィッシングメールを検出する
メールの送信元が信頼できるものかどうか確認する

●Web におけるフィッシング詐欺対策

偽装サイトに訪問させない
本物のサイトであることを確認する

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Index
いまさらフィッシング詐欺にだまされないために
  Page1
フィッシング詐欺とは
フィッシング詐欺による被害
フィッシング詐欺テクニック
Page2
自衛手段とその問題点
フィッシング詐欺防御ソリューション
  Page3
メールにおけるフィッシング詐欺対策
Webにおけるフィッシング詐欺対策
いまさらフィッシング詐欺にだまされないために

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フィッシング詐欺対策として企業が負うべき責任

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