e-文書法とは
e-文書法施行が企業活動に与えるインパクト
出本 浩、井山 泰裕株式会社NTTデータ
ビジネスソリューション事業本部
セキュリティサービスユニット
2005/7/20
2005年4月1日にセキュリティに関する2つの法律が施行された。1つは「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」。連日のように顧客情報紛失のニュースが流れているが、その都度名前を耳にするので認知度も高い法律である。さて、もう1つの法律をご存じだろうか。
答えは「e-文書法」。
一見、個人情報保護法に比べると注目度は低いように思われるが、e-文書法に関するセミナーは毎日のように開催されており、どのセミナーも非常に盛況である。ペーパーレス化による紙文書の保管コストの削減や検索効率の向上などによるビジネスプロセスのスピードアップなど企業活動にインパクトを与える注目すべき法律であることが分かる。
では、e-文書法によってもたらされるメリットを、企業はどのようにして実現すればよいのだろうか。実は、技術的には既存のセキュリティ技術の組み合わせによって実現が可能であり対策ソリューションも登場している。本稿では、e-文書法の技術要件と実現方法とを事例を交えて紹介する。
そもそもe-文書法とはどんな法律なのか |
e-文書法は、正式名称を「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」「同法施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という。この法律の施行により、民間企業の紙による文書保存業務について“原則すべての電子保存が容認”されることとなった。これまでに制定された電子文書関係の法律との関係を図に示す。
e-文書法と電子文書関係の法律の関係 |
e-文書法の対象書類は限定的な範囲ではなく、251本の法律を対象にする広範囲な取り組みとなっている。そのため、電子保存容認に関する共通事項を定めた「通則法」と、通則法のみでは手当てが完全でないものなどについて個々に所要の規定整備を行う複数の「整備法」とに分かれて制定されている。なお、電子保存の条件は、個別法令ごとに「原本の正確な再現性の要請」が異なるので、具体的な保存方法などについては主務省令で定められる。
e-文書法が企業活動に与えるインパクト |
e-文書法の立法化は、もともと「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)」(1998年施行)の対象外である領収書や納品書など“紙で受け取る書類”も電子化を容認し、文書保管コストを削減しようという日本経済団体連合会(日本経団連)の要望が発端の1つである。日本経団連は具体的な文書保管コストとして、税務文書の保存コストが経済界全体で年間約3000億円に達していると試算している(日本経団連の2004年3月1日の「税務書類の電子保存に関する報告書」)。
しかし、電子文書化の本質は紙代や保管代のような直接的なコスト削減ではない。e-文書法によって企業活動における“原則すべての文書の電子化”が認められることで、業務の最初から最後までを一貫して電子文書で遂行することができる。そして紙文化から電子化へのパラダイムシフトが始まり、企業間の電子商取引の拡大を含んだ「ビジネスプロセスのスピードアップ・効率化の実現」が可能となることが最も大きなインパクトであるといえる。
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Index | |
e-文書法施行が企業活動に与えるインパクト | |
Page1 そもそもe-文書法とはどんな法律なのか e-文書法が企業活動に与えるインパクト |
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Page2 スキャナ保存における入力に関する技術要件 スキャナ保存における真実性に関する技術要件 |
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Page3 スキャナ保存における可視性に関する技術要件 機密性の確保による利点とリスク 電子化が想定される業務とシステム事例 |
関連リンク | |
e-文書法(情報マネジメント用語辞典) | |
「e-文書法」で夢のペーパーレスオフィスが実現? |
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