システムインフラベンダ ブリーフィング(3)
日本CA、バックアップはどう変わるべきか
三木 泉
@IT編集部
2008/9/23
リストアの迅速化ニーズにどう対応するか
では、ソフトウェアによる支援を、ARCserveではどのように強化しているのだろうか。
以前から、ディスク上のバックアップデータとテープ上のバックアップデータを同じように扱い、ARCserve上で管理しているバックアップカタログを基にデータを戻せるという機能は以前から搭載している。
最新バージョンでは災害復旧機能を強化した。システム全体をリストアする際に、フルバックアップに加え、必要な差分データを最初に選択して、1度の操作で望む時点のデータまで自動的に戻せるようにした。
情報漏えい対策ではバックアップデータの暗号化で、従来のTriple DES 168bitからAESの256bitに強化した。AESは強度があり、しかもTriple DESよりパフォーマンスがいいといわれている。しかし、多少なりともサーバのリソースを使ってしまうこともたしかだ。いままではサーバのエージェントで暗号化し、ネットワークを経由してバックアップサーバでバックアップするという方法を提供していた。しかしデータが多くなってくると、暗号化によるパフォーマンスの低下を避けたいというニーズも出てくる。最新バージョンではバックアップサーバが肩代わりして暗号化してからテープに落すということもできるようにした。
しかし、バックアップ対象のサーバが増えてくると、今度はバックアップサーバの負荷も高まってくる。バックアップサーバにおける暗号化の負荷も避けたいのであれば、LTO4などのテープ側の暗号化機能を使うこともできるようにした。お客様の要件で安全性を重視するかパフォーマンスを重視するかで選択できる。
バックアップソフトウェアベンダとして、データの増加問題についてはどう考えているのか。
大きなディスクを用意し、そこにデータを一括配置するストレージ統合の動きもある。しかし、統合してしまうと非常に大きなデータ量になってしまい、バックアップが1日で終わらないといった、相反する問題が生じてしまう。リスクの点からも、そのストレージがつぶれてしまうと大きな問題になる。
従って、データの価値を見極めたうえで、従来と同様、分散型というか、ある環境ごとにバックアップをしていくことが必要だ。ネットワークの帯域もデータの増大に追いついていかないので、サーバ100台のデータを全部一括でバックアップするなどするのではなく、ある程度分散すればリスク分散にもなる。
ただし、管理者を各拠点に1人置けるわけでもないので、かえって手間がかかったり、そこにいる人間のオペレーションミスが発生したりということも起こる。
最新バージョンからはオプションではあるが、お客様の環境が大規模な場合、「セントラルマネジメント」という機能で、管理者が各拠点のバックアップサーバを1カ所からすべて管理できるようにした。従来も似たような機能はあったが、どこでどういうバックアップジョブが動いていて、失敗したなどが分かるといった、監視がメインだった。今回は各拠点のバックアップサーバに接続されているテープがどういう状態か、テープに問題があればそれをリモートで操作したりなども1カ所からできる。また、ジョブの作成や修正もできる。
これには大きな運用上のメリットがある。例えばAというバックアップサーバの下にバックアップするべきサーバが3台くらいあり、日々バックアップジョブを走らせているとする。ある日、そのAのテープドライブにエラーが発生して、バックアップの時間になっても動かなかった。この場合、Aのテープドライブのある場所に行って修理をするのが間に合わなくても、その日のバックアップができる方法がある。ほかにBというバックアップサーバを運用していて、そのテープがあれば、これにバックアップジョブを振り分けられる。
仮想化対応も強化している。例えばヴイエムウェアのVCB(VMware Consolidated Backup)を使ったバックアップをサポートしている。従来から仮想マシンごとにエージェントを入れて使ってもらうこともできたが、ヴイエムウェアはVCBを推奨している。今回は専用のエージェントを搭載したため、従来スクリプトなどを書くなどが必要だった部分を、すべてARCserveのGUIでできるようにした。これはSANストレージだけでなく、NASにも対応している。物理サーバのバックアップデータから仮想サーバとしてリカバリすることもできるようになった。物理サーバのハードウェアが壊れてしまうと、部品を調達するなどで何日間か掛かってしまうこともある。これは、部品などが来るまで業務を継続するために役立つ。
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日本CA、バックアップはどう変わるべきか | |
Page1 ディスクとテープの使い分けを改めて考える |
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Page2 リストアの迅速化ニーズにどう対応するか |
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