システムインフラベンダ ブリーフィング(5)
シスコはデータセンターをどう変えられるか
三木 泉
@IT編集部
2009/1/28
シスコシステムズが2008年に展開を開始したNexusシリーズはどういう方向に向かおうとしているのか。データセンター運用の自動化にどのように貢献するようになるのだろうか。米シスコシステムのデータセンターソリューション担当者に聞いた |
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シスコは2008年、Nexusシリーズを提供開始し、データセンタースイッチという新たな世界に足を踏み入れた。サーバやストレージを直接つなぎ込む製品として投入されたのが「Nexus 5000」、そしてデータセンターのバックボーンとしての機能を果たすのが「Nexus 7000」だ。同社はさらに、VMware ESXの一部として動作するソフトウェアスイッチ「Nexus 1000V」を2009年前半に提供開始する。Nexusシリーズが、単にデータセンターで使われるスイッチに留まらない部分とは何か。データセンターの進化にNexusシリーズが与えられる付加価値とは何なのか。
以下は、シスコのデータセンター ソリューションズ グループ シニア ディレクターであるダグ・ゴーレイ(Doug Gourlay)氏へのインタビュー内容だ。取材は2008年10月末に行った。太字は編集部による質問である。
マイクロソフトとも仮想化で組まない理由はない
シスコは、マイクロソフトのServer Virtualization Validation Programの認定を受けたようだが、狙いは何なのか。
マイクロソフトとはまず、WAN最適化製品に関連した関係がある。
2つ目に、VNLinkと呼ぶ一連の技術についての可能性がある。VNLinkはネットワークとハイパーバイザの間に緊密な連携をもたらす技術だ。1つの例はヴイエムウェアと提携したNexus 1000Vだが、ほかのハイパーバイザベンダと、同様な製品をつくらない理由はない。マイクロソフトとこうした製品をつくるかつくらないかを、いま明言することはできないが、当社がヴイエムウェアに投資しているからといって、ほかの仮想化ベンダと組む障害にはならない。
3つ目は当社の持つサーバベースのアプライアンス、例えばCall Managerや無線ロケーションサービスなどだ。これらは一般的にアプライアンス的にパッケージ化されて販売されている。多くのお客様がこれらを仮想マシンとして動かしたいと考えている。もちろん大部分はヴイエムウェアのハイパーバイザとその仮想アプライアンスだが、マイクロソフトのHyper-Vへの関心も高まってきている。当社はマイクロソフトの技術を認定して、例えばCall Manager 7をVMwareあるいはHyper-Vの仮想マシンとして提供するということが考えられる。
しかし、Server Virtualization Validation Programとは、マイクロソフトがサードパーティのハイパーバイザ上でマイクロソフトのサーバOSを動かす場合に、サードパーティのハイパーバイザを認定する仕組みだ。
それなら、おそらくWAN最適化アプライアンスが対象だろう。WAAS(Wide Area Application Services)ではKVMを使っているからだ。自社で独自のハイパーバイザを開発していることはないと断言できる。
Catalyst 6500を使ってきた顧客は、どういう理由でNexus 7000を採用しているのか。
理由は3つある。1つはポート密度だ。Nexus 7000には10Gbpsイーサネットを256ポート搭載でき、2〜4台のCatalyst 6500を代替できる。電力消費が抑えられ、パフォーマンスは向上し、管理対象も減る。
2つ目はOSだ。1000、5000、7000、そしてMDSラインに搭載されているNX-OSは完全にモジュラーでマルチスレッドであり、保護メモリ領域を持ち、プロセスを個別に再起動可能だ。例えばNexus 7000の最初の顧客は、同時に100万ユーザーがアクセスするビデオゲームを対象として本番稼働させている。Nexus 7000はそのネットワークの中核に配置されている。ある日そこでOSPFプロセスの障害が発生した。Nexus 7000はプロセスを再起動し、最新の正常なメモリ状態を別個のメモリ領域から読み込み、サービスを65マイクロ秒で再開した。パケットロスはなしだ。従来のルータでは6〜7分のサービス停止が発生するだろう。
3番目の理由は管理機能にある。統合されたケーブル管理、世界初のLights out management(LOM)ポート、フロントからバックへのエアフローなどだ。運用担当者レベルでは非常に歓迎されており、一度試した人が再オーダーしてくるケースが多い。
アグリゲーションが目的のNexus 7000で、これほどの密度を必要とするユーザーはどれくらいいるのか。
密度は1つの理由だが、唯一の理由ではない。Nexus 7000で(2008年10月までに)125〜150社の顧客を獲得した。これは出荷後6カ月としては悪くない数字だ。会計事務所、通信事業者、検索エンジン、大規模なWebサイト、ヘルスケア、ヘッジファンド、個人向け銀行、投資銀行、製造、自動車、防衛、公共団体など、幅広い顧客が採用している。つまりわれわれはInfiniBandのように孤立した技術を扱っているのではなく、幅広い市場、幅広い顧客が理解し、採用してくれるものを提供している。
ヴイエムウェアの導入ガイドにも述べられているように、平均的なVMwareのサーバでは、基本的にサーバ当たり4つのギガビットイーサネットポートが推奨されている。1サーバ当たり4つのギガビットなら、どんどん数は増えていく。10Gbpsのコスト効率も同程度になってくる。いったんサーバが10Gbps接続するようになると、次にはこれを集線する方法が必要になってくる。さらにこれをまとめ上げる必要性が増してくる。すると(アグリゲーションスイッチにおいても)密度は重要性を帯びてくる。これが起こりつつある。
これまで2〜3年にわたり、シスコはネットワーク集線のデフォルト技術として10Gbpsイーサネットを使ってきた。2005年以降、われわれが販売した50%以上のアップリンクポートは10Gbpsイーサネットだ。
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Index | |
シスコはデータセンターをどう変えられるか | |
Page1 マイクロソフトとも仮想化で組まない理由はない |
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Page2 誰がFCoEを管理するのか ネットワークサービスと仮想マシンの親和性 |
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Page3 インテリジェンスをどこに置くか タグを活用する意味 |
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