システムベンダブリーフィング

システムインフラベンダ ブリーフィング(13)

データセンターネットワーキングの明日


三木 泉
@IT編集部
2009/10/27

 パートナーがビジネスをするための土台を提供する

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 ネットワンシステムズとの提携は、ブロケードにとってどのような意味を持つのか。

 当社の文化はパートナーシップにある。当社では10億ドル相当の機器を検証やソリューション構築の目的で用意している。メインフレーム、あらゆるストレージ、あらゆるサーバを備え、おそらく世界最大の検証施設になるだろう。大きなシステムベンダのほとんどがブロケードの製品を標準で採用している。IBM、EMC、HP、NEC、富士通、日立もだ。このためにストレージ接続分野で大きなシェアを獲得している。世界では70%だが、品質に厳しい日本では83%に上る。こうしたパートナーシップに関するスキルをIPの世界に持ち込もうとしている。

 当社はIPの世界で最初のパートナーシップをネットワンシステムズと開始した。ネットワンは当社のディストリビュータともなり、開発分野でも面白いことを一緒にやろうとしている。「バーチャルクラウドラボ」というものだ。

 日本は当社にとって欠かすことのできない市場だ。近年は経済停滞が続いているが、現在でも世界第2位のGDPを誇っている。当社が確実にやろうとしていることは、この市場で最大の投資回収率を実現してくれる適切なパートナーとの関係に力を注ぐことだ。ネットワンはこの市場で非常に高い存在感を示している。そして素晴らしいサポート組織を備えている。さらにネットワンパートナーズという自前のパートナー組織も持っていて、顧客へのリーチを広げている。ネットワンが長年にわたるシスコとの関係を築いていることも重要だ。当社はストレージ接続でシステムベンダのためにどれだけ優れた製品を提供できるかを実証してきた。これをいまIP製品でもやり、流通を強化しようとしている。

 当社は特に日本に注力する。そして特に日本におけるこの分野でのリーダーであるネットワンに注力する。このために同社との提携を結んだ。重要なことは製品の提供だけではない。教育サービス、テクニカルサポート、先進的なインテグレーションおよび設計も重要だ。ブロケードとネットワンは明確なターゲットを共有し、お客様にリッチな体験を提供する。

 2社はバーチャルクラウドラボという面白いコンセプトを打ち出している。クラウドには関心が集まっているが、その解釈は十人十色だ。仮想化についてもさまざまな課題が山積している。バーチャルクラウドラボではカリフォルニアにあるブロケードの物理的な資産を生かし、ネットワンシステムズの東京にある物理的な設備も生かして、ベストプラクティスの定義や、パフォーマンス、信頼性、拡張性、セキュリティ、可用性、仮想化といった、クラウドコンピューティングにおける課題に対応するとともに、マルチベンダ環境での検証を実現する。事実上、当社はどんな機器でも持っている。さらにネットワンは、ネットワークソリューションにおいて非常に大きなネットワークを構築している。

 2社はこうした設備を生かして実証済みのソリューションを構築し、場合によっては構成済みのソリューションの形で提供することで、お客様レベルでの新技術導入におけるリスクを大きく低減する。

 今回はネットワンシステムズとの提携を発表したが、同じ物理的な資産を生かして、ほかの人たちとも協業を進めていきたい。

 2社の提携で顧客にベストな価値を提供できるはずだ。2社は双方ともグリーン化に力を入れている。これを実証する活動もしていきたい。これは瑣末なことではない。私はグリーン化が重要でないと考える顧客に会ったことがない。非常に重要なのに、だれも何をどうしたらいいのか分からない状態だ。

 日本経済は底入れしつつある。顧客は予算が増えない中で、どうやって急増するデータやネットワークトラフィックに対応すべきかについて悩んでいる。顧客の間には、正直にいって変化に対する抵抗もある。しかし2社は世界一のネットワークベンダに対し、非常に優れた選択肢を提供できる。ネットワンは当社が優れた選択肢だからこそ、シスコ製品の最大の提供者の1社でありながら当社を選んでくれた。両社は流通で協力するだけでなく、新たな製品やソリューションの開発でも提携する。

 シスコとの長期にわたる関係を築いてきたネットワンが、ブロケードに対してどこまでコミットしてくれると考えているのか。

 私の理解では、両社ともある程度のリソースをコミットしている。加えて共同の事業計画を策定しており、売り上げに対するかなり大きなコミットもある。2社の協業はリスクと投資を共有し、役割分担を進めることだ。

 同様な例は米国にあるのか。

 まだない。だからいまはこれを成功させることに力を注ぐ。一番近いのは当社のIBMとのストレージ接続製品に関する長期的な関係だろう。IBMは当社のIP製品も扱ってくれることになった。シスコがサーバに進出してきていることから、IBMとしてもいい選択肢が欲しいと思ったのだろう。当社は米国の大規模なシステム企業との提携も近く発表する。

 ただしネットワンの場合は、(システムベンダと異なり)当社の製品をOEMする必要はない。ネットワン側から当社の技術へのアクセスができれば、両社は共同で日本市場に特化した製品を開発できるようになる。

 ブロケードとIBMとの関係についてはどう理解しているのか。IBMはいろいろな企業と仲良くしているように見える。

 それが現在のIBMのやり方なのだと思う。当社はIBMと15年にわたる関係を築いてきた。これはいい結婚のようなものだ。ファウンドリのIP製品についても「あなたは他社の製品も売れるし、私もほかのパートナー経由で自社製品を売れる」ということを相互に了解している。

 当社はシスコやジュニパーとの競争をまったく気にしていない。当社としては革新や製品の品質に注力し、より低いコストの製品を提供できるからだ。IBMが当社の製品を売ってくれるだけで素晴らしいことだ。

 ストレージネットワーキングに加えてIPネットワーキングを手にしたブロケードは、どのように1足す1を3にすることができると考えているのか。

 今後永きにわたり、ストレージネットワーキングは主にファイバチャネルであり続けるだろう。さらに今後永きにわたり、IPネットワーキングはイーサネットがベースになるだろう。これら2つの分野におけるエキスパートといえるのは、シスコとブロケードしかいない。

 当社はアプリケーションの変遷にあわせて技術を適用し、双方の基盤技術を最大限に活用できるようにしていきたい。

 1+1=3の要素は顧客の観点から説明できる。(一般的にいって、)顧客は技術を導入し続けながらコストを減らすことは期待できない。顧客は一歩下がってみて、うちのネットワーク技術は今後のデータ増加やネットワークの拡大への対応を、現在より低いコストで実現できるようになっているかを確認すべきだ。そうすると、ネットワーク全体を考える必要が出てくる。

 そこで1+1=3が実現する。(3にできる部分は)現在の環境には存在しないが、次世代のデータセンター環境には存在する。そこでわれわれは、パートナーと協業して、これらのパートナーのクラウド化や仮想化を助けていく。パートナーはぞれぞれ、多種多様なアプローチをとっている。しかしすべてのパートナーに対し、次世代ネットワーキングを実現する土台として使えるような機能を提供していくのが、ブロケードの務めだと考えている。

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