第1回 クラウド時代のサーバ市場に何が起きているのか?

編集部
2010/11/18

元@IT編集人で、現在はブログメディアPublickeyを運営している新野淳一氏をパーソナリティとし、ゲストとともにIT業界の注目トピックを解き明かすUstream番組!!

 元@IT編集人で、ブログメディアPublicKeyを主宰する新野淳一氏が、IT業界における注目トピックを3つのキーポイントとして専門ベンダのゲストとともに解き明かすUstream番組「新野淳一の@IT Technology Key Point」。第1回は、「クラウド時代のサーバ市場に何が起きているのか?」をテーマに、デル株式会社システムズ・ソリューションズ統括本部の馬場健太郎氏、ラージ・エンタープライズ・マーケティングの布谷恒和氏と話し合った。

 以下ではコメントの一部を紹介するが、これはほんのさわりだ。ぜひ本ページ最下部のUstreamのアーカイブビデオをご覧いただきたい。

 サーバ市場にいま何が起きているのか

 第1のキーポイントは「サーバ市場にいま何が起きているのか」。オラクルがサン・マイクロシステムズを買収するなど、垂直統合が進んでいるのではないのか。

 布谷氏 「仮想化でサーバの概念が変わった。OS以上の階層とハードウェアが完全に分かれ、サーバは箱というよりも機能になった」

 馬場氏 「サーバはコモディティ化してしまった。これを仮想化やクラウドでどう使っていくかに焦点が当たっている。グーグルなどでは、多数のサーバで1つの巨大な処理をさせるようになっている。1台のサーバが壊れてもサービスに影響がないような技術が台頭してきた。しかもそれがオープンソースで提供されている」

 デルもストレージやシステムコンサルティング企業を買収しているが、買収が1つの流れになっている。なぜ起きているのか。

 布谷氏 「デルにいろいろなものを合わせてサービスしてほしいというニーズがある。また、クラウドの時代には、機能としてのサーバが求められているし、サーバはサービスに変わっていく。このためデルでも、サービスを提供する会社やインフラを構築するソフトウェアに目を向けている」

 馬場氏 「デルが買収したイコールロジックは電源を入れるだけで使えるストレージ。こういったコモディティ化を促進していくのが世の中の1つの流れ。われわれも顧客が簡単に使えるものを、今後も製品として出していく」

 クラウド時代にはサーバが売れなくなる?

 第2のキーポイントは「クラウド時代にサーバが売れなくなるのではないか」。仮想化で、必要なサーバの台数は減り、サービスを使うようになると自社でサーバを持つことが少なくなるのではないか。

 布谷氏 「サーバの市場は縮小することはない。しかし買う人が変わってくる。事業者がサービスとしてITを提供するほうに移っていく。企業は統合を目指し、事業者は拡張を目指すため、サーバの買い方はまったく違ってくる」

 馬場氏 「クラウドで場所の制約がなくなってしまう。サービスがどこで動いているかをユーザーは意識しなくなる」

 布谷氏 「デルでも、サーバを多数購入する顧客、すなわちハイパースケール・コンピューティングの顧客専用の部署をつくって、その顧客専用に設計したサーバを売っている。デルは壊れたパーツを顧客に送り、顧客自身が交換を行うというサポートの仕方も出てきている」

 馬場氏 「コンピュータは1つのブロックでしかないという使い方をする顧客が出てきている」

 クラウド時代のサーバとは

 第3のポイントは「クラウド時代のサーバとはどういうものなのか」。

 布谷氏 「社内システム提供で、統合環境における信頼性を考えていくとブレードサーバが最適。一方サービスを提供する事業者はスペース的な高密度を考える。デルも1Uサイズで何台分もの処理ができる製品を出し続け、今後も高密度化を推進していく」

 馬場氏 「分散処理がはやってきている。昔は大型の装置でしかできなかった複雑な処理が、コモディティ化されたサーバを並べてできるようになった。大事なのはオープンであること。もう1つはスペースや電力を抑える技術を追求していくことだ」

 布谷氏 「重要なのはアイディアをすぐITに反映できるという意味でのスピード。サーバ自体のパフォーマンスは一般の業務アプリケーションでは十分な状況になり、これが仮想化進展の要因になった」

 馬場氏 「効率性も大切。CPUを10%程度しか使っていない顧客が多い。このために仮想化を導入してリソースを無駄なく使うということが行われている。この無駄なく使うことと、必要なときにすぐ取り出せるということが必要。しかも、それがオープンな環境でできなければ意味がない」

 布谷氏 「すぐに使えるものである必要がある。イコールロジック製品は、IPアドレスを割り振っただけで利用できる。これはファイバチャネルでは考えられなかったこと」

 では、デルはクラウド時代に何を考えているのか。

 布谷氏 「デルはITマネジメントSaaSというSaaSのサービスをやっているが、われわれはハードウェアベンダなので、システム管理に特化している。モジュール的に、プラスで使ってもらえるようなものだ。クラウドプロバイダに多数の顧客がいるので、バッティングするようなことはしないのではないか」

 馬場氏 「数年前までは細かい機能など、テクノロジにフォーカスしていた。しかしCPUはどんどん速くなり、サーバのコストはどんどん下がっている。いま注目しているのは、サーバ・プラットフォームの標準化に加え、それを使っていく人や運用のプロセスをどう標準化していくか。標準化の手法や簡単に使えるようにする技術に注目している」

http://www.ustream.tv/recorded/10777387

 


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