第2回 クラウド時代のサーバ市場、プラットフォームの変化
編集部
2010/12/22
元@IT編集人で、現在はブログメディアPublickeyを運営している新野淳一氏をパーソナリティとし、ゲストとともにIT業界の注目トピックを解き明かすUstream番組!! |
Ustream番組「新野淳一の@IT Technology Key Point」の第2回が、12月14日に実施された。第1回「クラウド時代のサーバ市場に何が起きているのか?」が好評だったことを受け、「クラウド時代のサーバ市場に何が起きているのか? 第2回プラットフォームの変化」と題して、インテル 営業本部市場開発マネージャー 矢嶋哲郎氏、デル ラージ・エンタープライズ・マーケティングサーバ・ブランド・マネージャ 布谷恒和氏を招いて議論が行われた。
下記にコメントの一部を紹介する。詳細は、このビデオアーカイブをご覧いただきたい。
プロセッサに何が起きているのか
第1のキーポイントはプロセッサに何が起きているのか。クロック競争からマルチコア化が進んでいるのはなぜか。
矢嶋氏「クロック数向上に伴い、発熱と消費電力の問題が明らかになってきた。熱と電力を抑制しつつ、効率よく性能を引き出すためにマルチコア化が進んできた」
布谷氏「以前は大容量トランザクションを必要とするアプリケーション用には8 CPU、16CPUといったサーバが主流だった。マルチコア化により(例えば)8 CPU必要だったものが4CPUでできるようになり、しかも何分の1かのコストで可能になった」
布谷氏「われわれの予想よりも、多くのコアを備えたCPUをユーザーは選択している」
矢嶋氏「今後も、プロセッサを含むプラットフォームとしての機能が強化されていく。特定用途向けにはさらに多くのコアを持ったプロセッサが考えられる。一般用途には性能と省電力のバランスをとったものが使われていく」
仮想化プラットフォームに何が起きているのか
第2のキーポイントは仮想化プラットフォームに何が起きているのか。まず仮想化をすると何がうれしいのか。
布谷氏「サーバの持っている能力をフルに活用できる。ユーザーからすれば、何台ものサーバを論理的に、すぐに使える。思い立ったときにサーバを作ればいい」
矢嶋氏「仮想化で柔軟な環境が構築できるようになってきた」
仮想化とマルチコアは相性がいい?
布谷氏「コア数が多いほど、仮想サーバの統合率や快適さが高まる」
サーバの進化も仮想化に適したものになってきているのではないか。
矢嶋氏「プロセッサだけでなくチップセット、ネットワーク・モジュールを含めたプラットフォームを作っていく。プロセッサにはVTという技術を実装し、ソフトウェア処理によるオーバーヘッドを減らしている。また、チップセットを経由する部分、ネットワークカードの部分も仮想化に対応している」
布谷氏「2008年にデルは仮想化用のサーバを作った。仮想化に必要なメモリスロットやネットワークポートをマザーボード上に用意した。それは一部のモデルだったが、いまのサーバはすべて仮想化に対応している」
あらためて、仮想化のメリットとは何か。
布谷氏「検証をやっているエンジニアはすぐ分かると思うが、サーバを用意して、OSをインストールして、ケーブルをつないで、といった形で環境を作るのが大変。場所も必要になる。こうした問題が解決する」
矢嶋氏「4、5年前のシングルコアXeonを15台統合できるパフォーマンスを、最新のプロセッサは持っている。サーバ台数を減らすと、運用管理のコストも消費電力も下げられる。サーバルームにしても、同じ面積で15倍のパフォーマンスを出せる」
ここで布谷氏はデルのブレードサーバ「PowerEdge M910」のカバーを開け、内部を紹介。4CPUまで搭載可能だが、CPUを載せていないCPUスロットに無償の「Flexmem Bridge」を付けると、その先のメモリスロットが活用できる。2CPUでも32のメモリスロットが使えることになる。ネットワークポートは最大20ポートまでこのブレードに搭載できる。
クラウドに何が起ころうとしているのか
第3のキーポイントは、クラウドに何が起ころうとしているのか。仮想化とクラウドはどういう関係なのか。
矢嶋氏「ITはいまやサービスになっている。ユーザーにしてみれば、受けるサービスが固定サーバであれ、仮想サーバであれ、使えるものになる。仮想化はクラウドを有効に支えるためのアーキテクチャであるともいえる」
布谷氏「クラウドはネットワークの先にあるリソースを使う使い方。サーバが物理サーバでも仮想サーバでも、ネットワーク経由で使えばクラウド型といえる。ただ、アジリティ(俊敏性)やパフォーマンスを考えると、まず仮想化してサーバを論理的なものにしてからクラウドにいくのがいまの流れ」
クラウドの流れは本物なのか。一過性のものではないのか。
布谷氏「われわれの社内でも、知らない間にどんどんクラウドに移行している。また、クラウドのサービスをしている事業者のサーバの購入量は著しく伸びている」
矢嶋氏「インテルのIT部門も、使える部分に関してはパブリックのクラウドサービスを使っている」
布谷氏「Android端末、ケータイ、iPadなど、データが手元にあったら仕事にならない。意識することなくネットワークを使うようになっている。この流れが止まることはない」
クラウドに対する取り組みは?
矢嶋氏「クラウドに向け、どのような仕様が必要かを洗い出しするアライアンスが発足したが、インテルは技術支援している。ユーザーの声を聞きながら製品開発にフィードバックするというのはこれまでも続けてきたこと。製品開発に取り組むだけでなく、ユーザーが使えるようにしていくインテル・クラウドビルダー・プログラムも実施している」
布谷氏「IT管理のSaaSも行っているし、AndroidやWindows Mobileの端末も出している。だが、一番お客様が求めているのはサーバ、ストレージでいいものを安く出してほしいということ。最近クラウド事業者と話すと、ラック(の電力制限は)何kVAで、サーバは何台積めるか、という質問ばかりを受ける。省電力性と高密度性にかなり注目が集まっている」
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