XenServerを極める(2)

第4回 XenServerの持つ機能とツール群


シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2008/9/29


 Storage Delivery Service

 仮想化ソフトウェアは、仮想マシンを動かすためのOSと呼ぶことができる。XenServerの場合にはXenハイパーバイザとコントロールドメインが仮想マシンを動かし、ゲストOSのI/O処理については、コントロールドメインの中からゲストOSに代わって実際のI/O処理を行う。多くの仮想化ソフトウェアの場合、その仮想化ソフトウェアがファイルシステムを持ち、そのファイルシステム上で仮想マシンが使用する仮想ディスクファイルを管理している。

 XenServerの場合にはコントロールドメインがLinuxのため、ext3でディスクのフォーマットを行い、仮想ディスクはVHD形式のファイルで管理していた。例えば、WindowsのゲストOSを使用している場合、ゲストOSからはNTFSとしてフォーマットし、ファイルを管理しているが、実際のデータはXenServerがext3でフォーマットしたディスク上にファイルとして保存される。このファイルの中身がNTFSでフォーマットされたディスクなのである。現在のXenServerは論理ボリュームを使用し、ファイルシステムではなくrawイメージを仮想ディスクに割り当てているため、このような複雑な処理を行っていない。

 昨今のストレージはスナップショット、ファーストクローン、シンプロビジョニングなどさまざまな機能をストレージ自体に持っており、そのような機能を使っているユーザーは多いと思われる。むしろ、このようなインテリジェントな機能を利用するために高価なストレージを購入しているのではないだろうか。しかし残念なことに仮想化ソフトウェアではそれらインテリジェントな機能は使用することができない。利用するためには、ストレージとのインターフェイスを司る管理ソフトウェアをコントロールドメインにインストールするとともに、仮想ディスクをストレージの管理単位であるLUNに割り当てる必要がある。

 例えば、スナップショットを撮る場合を考えると、1つのLUNの中に複数の仮想ディスクが存在する現在のXenServerの実装方式の場合には、ストレージのスナップショットはLUNの中のすべての仮想ディスクのスナップショットとなってしまい、スナップショットとしての機能を果たすことができない。

 XenServerではこれらストレージの機能をXenServerから使用するための機能としてStorage Delivery Service (SDS)を開発し、XenServerに組み込んでいる。SDSではストレージAPIをコントロールドメイン内に持ち、XenServerの機能と連動して動くようになっている。例えば、XenServerからスナップショットのコマンドを実行した場合には、ストレージAPIを経由して、ストレージのスナップショットを実行する。また、仮想マシンのテンプレートから新しい仮想マシンをデプロイする際には、テンプレートが持っている仮想ディスクのクローンを行う必要があるが、この処理もストレージの内部で行う。これらストレージの機能を使用するために、XenServerでは仮想ディスクの作成はストレージでLUNとして作成され、スナップショットやクローンはLUN単位で実行される。

 このSDSを使用したストレージ連携機能により、利用者は本来持っているストレージの機能をXenServerから使用できるようになる。現在、このSDSの機能はネットアップのData ONTAPにのみ対応しているが、次のバージョンではDELL EqualLogicに対応する予定である。

図2 コントロールドメインにONTAP APIを持ち、XenAPIとONTAP APIを接続するNetApp Adapterをネットアップと共同開発した

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第4回 XenServerの持つ機能とツール群
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XenMotion
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Storage Delivery Service
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