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2003年注目の無線LAN技術を理解するためのキーワード

IEEE 802.11a

デジタルアドバンテージ
2003/02/13


 5GHz帯を利用して、最大54Mbits/sの転送レートを実現する無線LAN規格。変調方式として、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)を採用することで、データ転送レートを向上させているのが特徴である。

 すでにIntelやソニー、アイ・オー・データ機器、NECなどからIEEE 802.11aに対応した製品が発売されている。また、Wi-Fi Allianceによる相互接続性の検証も開始されており、Wi-Fiロゴの付いた製品同士の接続性が保証されるようになった。

 米国では5.150G〜5.250GHz、5.250G〜5.350GHz、5.725G〜5.825GHzの周波数帯の合計300MHz、日本では5.150G〜5.250GHzだけで100MHz、ヨーロッパでは5.150G〜5.250GHz、5.250G〜5.350GHz、5.470G〜5.725GHzの周波数帯の合計455MHzがそれぞれ利用できる。チャネルは、5.000G〜6.000GHzにわたって5MHz単位で割り当てられるため、5.150GHzは第30チャンネルとなる。IEEE 802.11bと同様、近接したチャネルはオーバーラップするため、IEEE 802.11aは20MHz以上離して設定する。そこで、オーバーラップしないようにチャネルを割り当てた場合、次の表のようになる。

チャネル 中心周波数
第34 5.170GHz
第38 5.190GHz
第42 5.210GHz
第46 5.230GHz
第50 5.250GHz
第54 5.270GHz
第58 5.290GHz
第62 5.310GHz
第149 5.745GHz
第153 5.765GHz
第157 5.785GHz
第161 5.805GHz
表区切り
米国におけるオーバーラップをしない場合の中心周波数
このように米国では、12チャネルが確保できる。ヨーロッパでも同様に12チャネル以上の確保が可能だ。IEEE 802.11bで確保できるチャネルが少ない欧米では、この点においてもIEEE 802.11aにメリットがある。

 欧米においてIEEE 802.11aは、IEEE 802.11bに比べて多くのチャネルが割り当て可能であり、転送速度に加えてチャネル数の面でもメリットがある。日本では、前述のように5.150G〜5.250GHz帯しか許可されていないため、表のうち第34〜46の4チャネルだけが利用可能である。オーバーラップせずに確保できるチャネル数という点では、IEEE 802.11bと同じでメリットとはならない。

 また、日本ではこの周波数帯は、衛星携帯電話や気象レーダーのアメダス(AMeDAS)、高速道路の自動料金徴収システム(ETC)などでも利用されているため、法律的に屋外では利用できない(欧米では一部周波数が屋外でも利用可能)。屋外利用に関しては、総務省の情報通信審議会・情報通信技術分科会の「5GHz帯無線アクセスシステム委員会」で検討が行われ、4.900G〜5.000GHz、5.030G〜5.091GHzの2つの帯域が2007年まで暫定的に利用可能になっている。小電力のものに限っては、2007年以降も免許不要で屋外で利用できるようになりそうだ。ただし、この周波数帯は現在のIEEE 802.11aの規格外であり、日本独自の拡張となる(将来的には日本向け規格として正式に追加承認される可能性もあるが)。すでに、一部の無線LANチップ・ベンダは、この周波数帯をサポートした製品を発表している。記事の終わり

 
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