Ajax うきうき Watch


第32回 Google App EngineはAjaxへのハードルを下げるか?

株式会社ピーデー
川俣 晶

2008/4/24


 ハイライトにはもれてしまいましたが、注目すべきなAjaxとそれに関連する話題を紹介します。

マイマップEXPO受賞作発表

 筆者はウォッチャーに徹していますが、珍しく参加したのがマイマップEXPOです。といっても、手持ちの東京23区の歴史資料館の情報をまとめただけで、手間も時間も掛けておらず、当然受賞を期待してのものではありません。しかし、エントリーした人は授賞式に出席できるということで、参加を申し込んで見てきました。

ベストマイマップ最優秀賞したVirtual Osaka Projectさん

  SeaGateさんによるベストマイマップ最優秀賞「Virtual Osaka Project」は、Google Earthの大阪に多数の3D建築物を追加するものであり、非常に優れた力作です。ベストマイマップ優秀賞の作品群も、いずれも手間が掛かり、地域に根差した力作ばかりです。

 これらの作品と発表を見ていて強く思ったことが2つあります。

 1つは、参加者の年齢層が予想以上に高く、文化的であることです。漠然とした私の予想では、「あらゆるラーメン店を食べ尽くした僕がお勧めする東京ラーメン地図」のようなマイマップが受賞作の主流になると思っていました。

 つまり、比較的多数の人が利用する地域(例えば東京)を対象とし、誰でも分かる目線(ラーメン店)を持つマイマップが主だろうと思っていたわけです。しかし、実際に蓋を開けてみると、石橋、石仏、沈み橋、いぼ神様、沖縄そば、カップ酒……と地域的にもテーマ的にも、多数派にとって「身近」ではない作品が多かったと感じます。

 そして、そのようなテーマは意識的に長年追求されねば成立しません。ブームに乗った勢いで、短時間で作れるものではありません。地道な取り組みが必要とされます。これは、最近のネット上の「即座に成果を求める」風潮とは異質だと思います。

 そして、そのような地道な積み重ねは大変に貴重なものです。マイマップEXPOで思ったのは、そのようなタイプの人々が確かにネット上に存在すると同時に、彼らを評価する視線も確かに存在するという一種の喜びです。

 もう1つ思ったことは、そのような状況が微妙にGoogleという企業文化とかみ合っていないように見えたことです。Googleは若い企業であり、授賞式の会場となったGoogle社内の部屋も原色で彩られた若々しいムードの部屋です。

 しかし、そのムードと受賞者たちの持つ老成した文化的なムードがどうもうまくかみ合っていないような印象を受けました。これは、Googleという企業が、新興の追撃者という立場を超えて、社会全体を担っていけるのか、という問い掛けに対する1つの論点になるかもしれません。

Adobe - EDGE Now!

 「デザインがイケテル!」「この企画はヤラレタ!」など、あなたが、どこかで見つけ、ブログに書いた、クリエイティブ性の高いすてきなウェブサイトの情報を集めて紹介する、ウェブ・ポータルサイト、それが“EDGE Now!”……だそうです。

エッジが立ったデザインのWebサイト

 見ていると、何か格好良いもの、美しいもの、見事なものを見られるかもしれません。実際にそれが得られるかは参加ブロガー次第でしょう。見守っていると何か面白いことがあるかもしれません。

Suicaの情報をマッシュアップする

 以前、NTTインターコミュニケーション・センターでSuicaをかざすと移動経路を地図上でプロットして描く作品があって興味を持ったことがあります。しかし、これがGoogleMapsやGoogleEarth上で表示できるとなれば、面白さの質が変わります。

自分の移動経路が示せるPasori

 自分の移動経路をグラフィカルに地図上で見ることが容易にできるわけですから。しかも、GPSのようなデバイスを持ち歩く必要はありません。単にSuicaで電車に乗り降りしているだけで移動先の位置情報が得られるわけです。

C#やVBのプログラムをJavaScriptにできる「jsc」

 知っている人は知っていると思いますが、筆者は同じ@IT上でC# 3.0入門の連載を行っています。その立場からいえば、C#いう言語は言語仕様のレベルでさまざまな機能性を取り込んでいて、容易に解析したり変換できるものではありません。

C#のソースコードをコンパイルしてMSILのレベルまで変換できる

 しかし、実際に配布される際に使用される仮想マシン語であるMSILのレベルまで降りると、それほど複雑というわけではありません。C# 3.0の構文の複雑さは、ほとんど「シンタックスシュガー」的なものだからです。ということは、C#のソースコードをコンパイルしてMSILのレベルまで降りれば、それを別の言語に変換するコンバータを作成することは現実的なレベルで挑戦可能な問題になるでしょう(例えば、Reflector for .NETは実質的にMSIL経由の異言語コンバータとして機能している)。

 もちろん、ライブラリの互換など、容易に解決できない問題もありますが、それでも何かの成果を出せる水準には達すると思います。

JavaScirptオフの理由をアンケート!

 前回、開始した「あなたがJavaScriptをoffにする理由を教えてください」について、多数の皆さまの投票とご意見をありがとうございます。

 この件に関しては、ここから第2段階に入ることを宣言したいと思います。それは、ここに書かれた理由が本当に正当であるかの検討です。例えば、「JavaScript被害に遭った」はわずか9.09%にすぎないのに、「被害に遭いそうで怖い」は71.43%もあります(4月23日時点)。

JavaScriptをオフにする理由へのご協力ありがとうございました

 これは、「JavaScriptをオフにしたから被害を回避できた」のでしょうか? それとも「危険がないにもかかわらずあると思い込んだ」のでしょうか? あるいは実際に書かれた被害事例にしても、それらは本当にJavaScriptをオフにする以外の対策はなかったのでしょうか?

 ユーザー側の緊急避難としての回避策としてJavaScriptをオフにするしかないという事実はあったとしても、そもそもシステム構築の段階で回避のための方策はなかったのでしょうか?

 現在のシステムやユーザーの持つWebブラウザの制限から「そうするしかない」と結論して終わるのではなく、システムやWebブラウザに問題があるならそれを指摘して改善することが求められます。

 われこそはと思う論客の皆さんがブログやAjaxメーリングリストなどで激しい議論を戦わせることを期待します。



1-2
 

 INDEX
第32回 Google App EngineはAjaxへのハードルを下げるか?
Page1
ハイライト1・Ajaxに挑戦するハードルを下げるか? Google App Engine
ハイライト2・新しい段階に踏み込むtwitterとついったー川柳
ハイライト3・元データを加工して新しい価値を創出するブクシィ
  Page2<そのほかのみどころ>
マイマップEXPO受賞作発表
Adobe - EDGE Now!
Suicaの情報をマッシュアップする
C#やVBのプログラムをJavaScriptにできる「jsc」
JavaScirptオフの理由をアンケート!







HTML5 + UX フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

HTML5+UX 記事ランキング

本日 月間