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第4回 AIRとGearsの連携で注目のオフラインWebアプリ集
須賀正明
ベンチャーキャピタリスト
2007/7/3
Apolloが正式名AIRとなってGoogle Gearsと連携できるようになり、オフラインWebアプリがいま注目だ。Flashでも面白いものがあるので紹介しよう(編集部) |
今回のピックアップトピック オフラインで使いたいFlashアプリ集 YouTubeはもはや見るだけではない ― YouTube Remixer |予算で旅の目的地を決める ― How Far Can I Go? |Give&Take型のソーシャルミュージックプレーヤ ― Ezmo|番外編:Salesforceアプリとの連携 ― Salesforce.com for Flex/AIR |
Adobe AIR、Flex 3、Flex Builder 3の発表
■ オン/オフラインWebアプリはGoogle Gearsだけじゃない!
6月の大きな出来事として、アルファ版だったApolloが正式名称Adobe Integrated Runtime(以下、AIR)としてベータリリースされました。今回のリリースの目玉はなんといっても、Apollo発表当初からの公約の1つであったオフライン機能でしょう。
先日発表があったGoogle Gearsでも使われているSQLiteが採用され、構造化されたデータを格納するローカルストレージ機能が、ActionScriptで実装できるようになります。Google GearsとAIRがオフラインストレージにSQLiteを選んだのは偶然ではないようで、今後もオフラインデータへのアクセス、シンクロナイズ用のAPIなどを共通化していく取り組みが行われていくようです。
■ Google、Firefox、Flex/AIRがSQLiteで連携?
Firefoxも次期メジャーリリース(バージョン3)でオフライン機能を実装することをうたっていますが、GoogleやAdobeと同じく、SQLiteを使って実装するようなので、Google、Firefox、AIRとシームレスにデータのやりとりができるアプリケーションも将来登場するかもしれません。
すでにGoogle GearsのSQLite、Database APIやLocalServer APIを使って、Flexから利用するデモアプリケーションも登場し、Google GearsとFlex/AIRの親和性の高さ、RIAアプリケーションの可能性を垣間見ることができます。例としては、Salesbuilder Applicationがあります。
Salesbuilder Applicationの画面(画像をクリックすると拡大します) |
■ Flexがオフラインで使えるRIAの開発フレームワークとして進化
また、AIRのベータリリースに合わせて、4月にオープンソース化のアナウンスがあったFlex次期バージョン3.0のSDKのベータリリースもありました。言語体系的には1.xから2.0のバージョンアップ時ほどの大きな変更はなく、下位互換性が重視されている一方、AIR用のコンポーネントがフレームワークに追加され、パフォーマンス向上を図り、共有ランタイムライブラリの機能が加わっています。このバージョンで、名実ともにFlexがオンラインでもオフラインでも使えるRIAの開発フレームワークとして進化しています。
FlexのIDE環境Flex Builder 3もベータ版が同時にリリースされています。こちらもコンポーネントのスタイルをラウンドトリップ編集できるビジュアルエディタやリファクタリングなど、開発者にはうれしい機能が追加されました。特に、プロファイラはメモリ、メソッドのコールを詳細に見ることができ、パフォーマンス向上、メンテナンス、デバッグに威力を発揮しそうです。
■ 開発者とデザイナーの問題をいかに解決するか?
さらに、DreamweaverのAIRエクステンションやFlash CS3のファイルをインポートするFlex Component Kit for Flash CS3などもAdobe Labsに上がっていて、開発者とデザイナーのワークフローを意識している片鱗がうかがえます。
HTMLベースのWebアプリケーションでも、ASP、ColdFusionやPHPというサーバサイドの開発者と、ユーザーインターフェイスを担うデザイナーのワークフローがプロジェクトチームの大きな課題となっていましたが、RIA、デスクトップアプリケーションへと移り変わっても、このテーマは課題となるでしょう。マイクロソフトもExpression Studioで、チームワークフローには力を入れているので、このあたりが今後の大きな差別化要因になってくるものと思います。
オフラインで使いたいFlashアプリ集
ということで、今月は「オフラインでも使えたらいいなぁ」と思わずつぶやいてしまうアプリケーションを集めてみました。
■ YouTubeはもはや見るだけではない ― YouTube Remixer
YouTube Remixer |
先日英語以外の10カ国語に対応したYouTubeはビデオの閲覧だけではなく、編集にも力を入れ始めています。YouTube RemixerはAdobeが作ったFlexアプリケーション、Adobe Premier Expressの1つでもあります。本格的な映像編集ツールとはいえませんが、カジュアルユーザーには取り扱いやすい編集ツールです。編集系のツールはローカルのコンテンツとの相性がばっちりですので、AIRアプリケーションになるのは、時間の問題でしょう。
YouTubeとしては、閲覧だけではつなぎ留められないユーザーをこれで取り込もうという作戦なのでしょう。閲覧するという行為は一過性が強く、コンテンツ人気にトラフィックが左右される場合がありますが、編集ツールはコンスタントにトラフィックが稼げ、しかもサイト滞在時間を延ばすメリットがあります。
ちなみに、MTVやPhotobucketでオンラインビデオ編集ツールとして登場していたものも、Adobe Premier Expressです。UGM(ユーザー生成メディア)サイトで編集機能が重要視されていることがうかがえます。
MTV Video Remixer |
Photobucket Remix |
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