PDFによるJ2EEリッチクライアント計画(4) Page 2/3
PDF&Flashで強化されるJ2EEリッチクライアント
アドビ システムズ小島 英揮
2006/3/11
■Java開発者を意識した開発環境
Flashベースの開発環境として、特にJava開発経験のある方に注目いただきたいのが、この夏に日本市場への投入が予定されているFlexの次期バージョン「Adobe Flex 2.0」(以下、Flex 2.0)である。特に開発環境である「Flex Builder 2.0」は、「LiveCycle Workflow Designer」などと同様にEclipse環境に統合できるプラグインとして提供され、Java/Enterprise系の開発手法を用いながら、Flashの持つ表現力豊かなUIの開発が可能である(図2)。
図2 現在ベータ版を公開中のFlex Builder 2.0の開発環境 (画面をクリックすると拡大します) Flex 2.0 Betaサイト(英語)で「Flex Builder 2.0」をダウンロードできる。 |
Flex Builderと同時に提供される開発環境に「Flex Framework 2.0」がある。これはSDK的な存在として理解してもらえばよいが、この中にFlex Builderで開発された画面定義(MXMLファイルなど)をFlash(swf)ファイルにコンパイルする機能を持つ。つまりFlex BuilderとFlex Frameworkさえあればリッチクライアントなアプリケーションが作れるのだ。このFlex Frameworkは無償で配布される予定であり、リッチクライアント開発環境を容易に構築することができる。
■画面プッシュやデータ同期も実現するFlex Enterprise Services
Flex 2.0による開発で、一番のポイントは実はユーザーに見える部分のリッチさだけではない。業務システムを構築するうえで重要となるデータの同期や、従来のHTMLの枠を超えたユーザー画面の同期などを容易に実装可能だ。こうしたデータの同期、プッシュの機能はHTMLがクライアントからのポーリングでしか最新のデータやビューを取得できなかったものと比較して大きなアドバンテージがある。例えば、グラフやチャートと組み合わせることで、株価やさまざまなシステム稼働状況を常に最新のデータにより直感的なUIで表現することが可能となる。また複数のユーザーがマスタデータを更新するようなアプリケーションでのデータのシンクロが容易に設計、実装できるため、従来のシステム開発より大幅な工数削減、メンテナンシビリティが期待できる(図3)。
図3 Flex 2.0の製品構成 |
■補完関係にあるPDFとFlashアプリケーション
ここまで書くと、すべてFlex 2.0を使ってFlashベースで作成すればよいのではないか、と思われるかもしれないが、これまでの3回で紹介したLiveCycle=PDFの特徴を思い出してほしい。
- オフラインでの利用
- 豊富なセキュリティ機能(電子署名、タイムスタンプなど)
- ファイルそのものをデータのコンテナとして利用
- 印刷との親和性
これらは、Flashアプリケーションではあまり強みとはいえない部分である。一方、PDFにはFlashアプリケーションが持つ、
- チャートやグラフの機能
- アニメーションやドラッグ&ドロップを利用した直感的なUI
などは、ドキュメントや帳票の概念から出発しているPDFでは難しい部分である。
しかしながら、実際の業務アプリケーションでは、双方の機能が1つのプロセスの中で必要となるシーンも多く見受けられる。例えばローンの申請をするシーンを想像していただきたい(図4)。
図4 PDFとFlashの特性を組み合わせた業務プロセス (画面をクリックすると拡大します) PDFとFlashを統合すれば、ユーザーエクスペリエンスの高いユーザー環境、およびバックエンド処理とのシームレスな連携が可能になる。 |
返済期間によって、利率やボーナス月の割合で、月々の支払い額がどのように変化するか、いろいろなパターンで、グラフやチャートから比較できると利用者にとっては大変便利だろう。
しかし実際の申し込みまでは、いろいろとほかの条件も考慮するため、オンラインで一気に申し込み……とまではいかないことが多い。そうであれば、途中まで選択した情報をオフラインにダウンロードし、オフラインの状態で記入、保存が繰り返せる環境があると都合が良い。またフィッシング対策や個人情報保護の観点から、ダウンロードする情報は電子署名や暗号化が施されると、安心して利用することができる。また場合によっては情報をすべて記入した後、印刷、押印、署名をして郵送するようなシーンもまだまだ多い。このようなオフライン、セキュリティ、印刷といった要件を満たすのがLiveCycle=PDFソリューションである。このようにFlashとPDFをシームレスにつなげば、利用シーンに応じたユーザーエクスペリエンスを提供していくことが可能となる。(次ページへ続く)
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PDFによるJ2EEリッチクライアント計画(4) PDF&Flashで強化されるJ2EEリッチクライアント |
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Page1 デベロッパーへの支援を強化 PDFとFlashテクノロジーの統合 |
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Page2 Java開発者を意識した開発環境 画面プッシュやデータ同期も実現するFlex Enterprise Services 補完関係にあるPDFとFlashアプリケーション |
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Page3 PDFとFlashアプリケーションを統合するメリット デザイナーとプログラマの垣根を越えて |
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