WDMデバイスドライバプログラミング完全ガイド(上)(下)


Edward N. Dekker/Joseph M. Newcomer著
株式会社クイック 訳
544ページ(上巻)、694ページ(下巻)
発行日:2000年3月31日
価格:4000円(上巻)、4800円(下巻)
ISBN 4-7561-3395-9(上巻)
ISBN 4-7561-3396-7(下巻)
アスキー発行


 Windows NT/Windows 2000向けのデバイス・ドライバの開発方法を解説した書。原書タイトルは『Developing Windows NT Device Drivers A Programmer's Handbook』であり、基本的に原書は、Windows NT 4.0をベースとして執筆されたものだ。しかしWindows 2000で変更されたポイントやWDM(Windows Drivers Model)、単純なWindows 2000用ドライバのプログラム例などが下巻にまとめられている。邦訳が刊行される時点では、すでにWindows 2000が発売されていることから、このようにタイトルが変更されたのだろう。もちろん、Windows 2000も視野に入れながら執筆されているので、上巻での解説も基本的にはWindows 2000でもそのまま通用する。Windows 2000のデバイス・ドライバでは、従来のWindows NTのデバイス ドライバに、新たにプラグ・アンド・プレイやパワー・マネージメント、USB、IEEE-1394などの機能を追加しただけだからだ(本書内の表記によれば、「書籍の執筆開始時点では、Windows NT 5.0のベータ1が手元にあった」と記述されている)。

 上巻は、「デバイス・ドライバとは何か?」という一般論から始まり、Windows NT用デバイス・ドライバの開発に必要な開発環境の構築法、デバイス・ドライバのデータ構造、デバッグ方法、デバイス・ドライバにおけるメモリ管理の方法や割り込み処理など、それぞれのトピックについて、予備知識を得るための「基礎編」と、この基礎編での知識を応用して、具体的にデバイス・ドライバを開発するための「実践編」に分け、デバイス・ドライバ開発の方法を具体的に解説している。上・下巻を合わせると、トータルでは1200ページを超える大作だが、飽きることなく読み進むことができる。この理由は、単なる技術解説だけでなく、実際の開発経験を持つプログラマならではの苦労話や、OSのバグの指摘、明確に定義されていない互換性問題、検出しにくい障害などの落とし穴、さらに著者自身の意見など、実際にプログラマが感じたことや、無用なトラブルを避けるためのノウハウが適宜紹介されているからだろう。

 基本的なC言語の知識などは前提となっているが、デバイス・ドライバ開発を手始めから解説しており、これから新たにデバイス・ドライバ・プログラマを目指す人に最適な仕上がりとなっている。またデバイス・ドライバ・プログラマばかりでなくとも、「基礎編」の部分を拾い読みしていくことで、ソフトウェア側から見たハードウェア(USBなど)の構成やその可能性と限界、Windows NT/Windows 2000カーネルの構造と機能などを知ることもできる。

 

「Book Review」


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