C#入門


Christoph Wille著
株式会社クイック 訳
190ページ
定価:1800円
ISBN4-7561-3602-8
アスキー 発行

出版社の解説ページ


 C#は、Microsoftが提唱する次世代プラットフォーム「.NET Platform」上でアプリケーションを開発するために生み出された新しいオブジェクト指向言語である。おそらく本書は、この新しい言語処理系について記された、日本で初めての書籍だろう。

 本書の前半ではまず、C#プログラムの実行基盤であると同時に、.NET Platformの実行基盤でもあるCommon Language Runtime(CLR)という新しいしくみについて解説し、これに続き、プログラミングの解説書ではお決まりとなった「Hello world」プログラムからC#プログラミングを解説する。具体的には、C#プログラムで使用可能な型やクラス、制御文、例外処理など、C#の特徴的な機能に注目し、簡潔なサンプル・コードを豊富に交えながらそれらを説明する。本来C#はシンプルな言語処理系であるが、ごく少ないページ数(約70ページ)に盛りだくさんの説明を行っているため、少々駆け足になっている。本書だけでC#を使用したプログラミングを一から学ぶというのは不可能である。本書を読み進むには、ある程度C++やJavaなど既存のオブジェクト指向言語に対する知識が必要になるだろう。逆に、プログラミングに関してはまったくの初心者という読者は、別途これらの入門書を用意する必要がある。なお本文中では、C言語やC++言語、Visual Basic言語との比較が随所で行われているが、Javaとの比較はまったく行われていない。

 後半は、C#におけるDLLの作成方法、コード中のコメントからドキュメントを自動生成する機能、COMオブジェクトをC#から使用する、または逆にC#のコンポーネントをCOMオブジェクトとして使用する方法、Win32のAPIをC#から呼び出す方法、デバッガの使い方などをサンプル・コード付きで説明している。ちなみに、本書のサンプル・コードはすべてコンソール・アプリケーションである(1つだけWin32のAPIによりメッセージ・ボックスを開くものがある)。

 本書は、次世代の.NETコンピューティング環境に向けて、C#でのコーディングを検討しているC++、Javaプログラマが、手始めに読む入門書としてほどよくまとまっている。

 

「Book Review」

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