昨年末、西暦2000年問題対応にを乗り超えたプログラマは、「まさか2000年まで自分のプログラムが使われるとは」という近視眼的な発想でプログラムを設計することが、後にどのような結果を招くのかを目の当たりにしたはずだ。しかしこうした教訓は活かされているだろうか? 普段何気なくプログラムを組んでいるとき、日付表示や通貨記号などの処理を何気なくハード・コーディングしてしまってはいないだろうか? 一時的に使うような簡単なプログラムならそれでもよいとして、広く第三者に提供するようなプログラムでは、プログラマの利用環境とは異なる、他国語環境での利用も念頭に置いてプログラムを設計しなければならない。Javaの大きな特徴の1つである「Write
Once,Run Anywhere(一度作成したプログラムは、どこでも実行できる)」という思想を達成するには、機種の違いやOSの違いばかりではなく、言語の違いについても考慮して慎重にプログラムを設計しなければならない。
本書は、Javaプログラマに向けて、Javaプログラミングのポイントを1つ取り上げ、サンプル・プログラムなどを例示しながら解説していくという「Javaプログラミング・ノート」シリーズの第一弾となるものだ。今回の第一弾のテーマは「国際化」である。本書では、JDK1.1で導入され、JDK1.2になってさらに改良が加えられたJavaの国際化フレームワークにのっとったI18N(Internationalizationの略。最初の「I」と最後の「N」の間に18文字あることからこのように略記される)について、Unicodeやロケール、インプット・メソッドの制御などについて、子細に解説している。
ただしこの「Javaプログラミング・ノート」シリーズは、Javaプログラミング全般を体系的に解説しようとするものでない。このシリーズでは、類書の多いJavaプログラミング全般ではなく、特定の話題に特化する代わりに、より深い解説を加えることを差別化のポイントとしている(つまりJavaプログラミング全般について知りたければ、別の解説書を購入する必要があるということだ)。
シリーズの第一弾が「国際化」という渋いテーマであるというあたり、ユニークな存在として今後に期待したい。ともかく本書は、本当の意味で国際化されたプログラムを設計したい第一線のJavaプログラマに最適な一冊である。
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