本書は、Windows 2000 Serverの熟練管理者を対象として、システムの性能上のボトルネックを分析し、システムを最適化するさまざまな方法について詳細に解説した書である。

　多くの企業において、ITの積極的な導入と活用が生命線になりつつある現在、サーバ・システムやネットワークにかかる負担は日々増加しているに違いない。IT管理者は、業務に支障をきたさないのはもちろん、できるだけ効率的な業務運用ができるように、システムを最適な状態に保ちたいと考えるだろう。しかしこの作業は簡単ではない。複雑なシステムのどこに性能上のボトルネックがあるのか、そのボトルネックを解消するために最も有効で、コストパフォーマンスの高い方法は何かを知る必要があるのだが、これにはシステムのさまざまな部分に対する深い知識と理解が必須であるし、現実には試行錯誤の連続から得られる経験がものをいうことが少なくない。

　Windows 2000 Serverシステムについてより深く理解し、効率よくシステムのパフォーマンスを最適化するためのテクニックやノウハウについて勉強したい管理者にとって、本書は心強い1冊となるだろう。ただし本書は管理経験が豊富なWindows 2000またはWindows NT管理者を想定しており、基本的な管理作業については解説していない。したがってWindows 2000の利用経験が浅いユーザーはもとより、初心者管理者が1冊目に読む本としては難解にすぎるだろう。

　本書の前半では、プロセッサやメモリ、ディスク、ネットワーク、Active DirectoryサービスといったWindows 2000 Serverシステムのポイントごとに章を分け、ボトルネック診断の具体的な方法や、明らかになったボトルネックの解消法を丁寧に解説している。

　また後半では、既存システムのパフォーマンス向上だけでなく、将来的なニーズを予測しながら、スケーラビリティを備えたシステムを設計するために、管理者が検討しなければならないポイントや、そのために必要な知識（SANやクラスタリング、Windows 2000 ServerとAdvanced Server、Datacenter Serverの違いなど）を指南している。そして最後の2つの章では、Windows 2000リソースキットに付属する各種パフォーマンス・ツールの活用法、サードパーティ製パフォーマンス・ツールの活用法をそれぞれ解説している。

「Book Review」

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