Windows 2000 Insider 編集後記 2001年2月

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変化する利権構造

 企業は、競争を有利に展開するため、競合の参入障壁を高めるためにスケールを拡大する。たとえば大手新聞社は、大量の新聞を一晩で印刷できる高性能な輪転機を持っており、印刷した新聞を全国の家庭に届けるための配送システムを備えている。仮に大手新聞社より魅力的な記事を作れたとしても、こうしたスケールがなければ、記事の善し悪しを多くの読者に評価してもらうことはできない。

 出版社もしかり。どんなによい原稿を書いたとしても、これを大量に印刷して製本し、全国の書店に流通させる手段がなければ、多くの読者に読んでもらうことはできない。こうしたルートを持っているのが出版社の強みだし、それを維持・強化すべく大量の出版物を流し込むことが出版社の日常の仕事だと言ってもよい。同じようなことは、音楽産業などについても言えるだろう。

 自動車に例えれば、エンジンの排気量をどんどん上げていくようなものだ。エンジンの排気量が上がれば、それだけパワーも向上して、重い荷物を積んでも力強く走れるようになる。つまり商品をより大量にさばけるようになるというわけだ。しかし逆に、こうした強みを維持するためには、大量のガソリンを投入して、大排気量のエンジンを回し続けなければならない。

 インターネットの登場と普及によって、印刷や流通のコストをまったくかけることなく、記事を読者のみなさんにお届けできるようになった。私が主宰する(有)デジタルアドバンテージの仕事は、今ご覧いただいているアットマーク・アイティのいくつかのフォーラムに記事を提供することだ。社員はたったの5名。外部の筆者の方々や、デザイナの方にお力添えいただいているとはいえ、簡単に数えられるほどの人数である。大排気量の大手出版社に比べれば、原付自転車程度のエンジンといったところか。それでも読者の皆さんに支えられ、何とか会社を維持している。

 大手出版社もWebでの情報サービスを手がけるケースが一般化しているが、ビジネス的に成功している例は少ないと思う。古巣の出版社にいる編集者に言わせれば、理由は単純、「バナー広告なんかじゃやっていけない」ということだ。確かに、雑誌広告に比べれば、Webのバナー広告は安上がりなものだし、ほとんどのWeb情報サービスは無料だから雑誌のように誌代を頂戴するわけにもいかない。売上金額だけに着目すれば、雑誌とWebでは比べ物にならないだろうと思う。

 しかし大手出版社と私たちでは、エンジンの排気量が違う。大排気量エンジンでは話にならないようなわずかなガソリンでも、原付エンジンならある程度は走ることができるだろう。売上はわずかでも、必要となるコストも小さければ、ビジネスとして成り立つチャンスはある。

 パラダイム・シフトとは、言い換えれば、既存の利権構造が変化するということだと思う。たとえばインターネットの普及によって、中間コストを一切排除して、読者に記事をお届けできるようになった。こうした新しいサービスが既存のサービスに取って代わるとすれば、それはすなわち、そのサービスを支える利権構造が変わるということだ。Napsterなどの新しいパラダイムが音楽業界を揺るがしているが、音楽産業についても同じようなことが言えるだろう。

 とはいえもちろん、Web情報サービスがビジネスとして成立するかという確固たる答えは得られていないし、利権を失う人にしてみれば、必死でそれを守ろうとするだろう。最終的な着地点がどのあたりになるか、既存メディアと新興Web情報サービスの綱引きはまだ当分続きそうだ。 End of Article

(Windows 2000 Insiderガイド 小川誉久

 

 編集後記

■前々から欲しいと思っていたデジカメ(Olympus C990 ZOOM)をついに購入。自分専用のカメラを買うなど、高校時代に買ったCANON AE-1以来だ。ちょっとサイズは大きいし重いけど、「持ち歩いて何でも撮りまくるゾ!」という感じで、こういう気持ちも高校以来ではないかと思う。ということで今度からは、デジカメで撮影した写真をネタにして編集後記を書こうかと考えている。はてさてどうなることやら。小川

■このたび、調布に新しく『東京スタジアム』というのが完成して、その内覧会が開催された。サッカーは特に好きというわけではないが、とりあえず地元民としては参加せねばなるまい、ということでちょっと見てきた。うーん、でかい。無駄にでかい。もともと陸上競技のトラックも作る予定だったらしく、ピッチとスタンドの間が中途半端に空いているのがちょっとヘン。座席の上には屋根がついているけど、柱がない構造になっているのは、観戦しやすくていいかも。天然芝もなかなかいいです。でもこんな立派な施設なのにメインの用途はサッカーが年間30試合程度で、(予定では)あとはアメフトとかラグビー、コンサートがちょびっとというのは、あまりにも無駄すぎ。FC東京東京ヴェルディ1969もここへは試合のときだけしか来ないらしいし、サッカー関係の店とかもないようなので、どちらのチームにもあんまり愛着は沸きそうにないです(ヴェルディなんて、地元民裏切ってまたどっか行っちゃいそうだしね)。あえていうなら、地元の商店街にたくさん応援用のノボリが立っている(調布市商店街は大々的にFC東京を応援しているらしい)、FC東京でも応援するかな(ヴェルディはここ調布では完全に無視されてます)。でも、ちょっと高くないですか、チケット代。こんな人気ないスポーツなのに…。(打越
  ■トップページのニュースにもあったが、検索エンジンgoogleは確かにすばらしい。検索結果の順位は他のサイトからのリンク数を基準にしているらしい。一見単純なやり方だがこれまでの検索エンジンにはなかったものだ。googleの前はgooを主に使っていたが、当時はそれはそれで便利だなと感じていた。しかし今思い返せば、検索結果を100や200も見ることがよくあったように思う。日常的に使っていると、たとえ不便でも(便利でない部分があっても)それに気づきもしないことがよくある。WindowsもInternet Explorerもきっとそうである。実はgoogleもそうかもしれない。現状に満足していてはいけない。とりあえずWindows 2000 TIPSでも読もう(遠藤

■先月、PHSを買い換え、パナソニックのHS100のラベンダーにしました。発表時からこの色が出たら買おうと思って待っていたのですが(ずいぶんと待たされました)、発売日の直前になって前のPHSの電源が入らなくなってしまいました。2年2ヶ月と結構使ったほうですが、捨てられると知ってへそを曲げたのでしょうかねぇ。そのHS100ですが、PCM音源で着メロがきれいで、ダウンロード・サービスからお気に入りの曲を何曲かダウンロード楽しんでます。でも、普段はバイブにしてるので聞くのは目覚ましのときだけです(^^; (井口

■私は雪女説:最近スキーに燃えている私は、暇があればスキー場に行っている。自分でも上達しているのが分かってとても楽しいのだが、ちょっと気になることが1つ…。今シーズン、滑り始めから終わりまで、ずーっと晴れていたことは一度もないのである。スキー場につくまでは晴れていても、いざ滑り出すと小雪が降りだし、1本滑り終わるころには前が見えないほど吹雪く。もしくは、滑り終わるころになると急に晴れだす。一緒に行く友達は「何かパワー出してる?」って言うが、私としては何も出してないような気がするが、何かでてるのかなぁ。
(銭高)
 

 Windows 2000 Insider STAFF

   
 
ガイド(編集人・編集長) 小川 誉久
タイトル
デザイン
谷原 正則
ガイド(副編集長) 打越 浩幸
制作
河本 茂美
構成エディタ 塩田 紳二
編集 井口 圭一
銭高 順
編集・著作 Digital Advantage
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