Windows 2000 Insider 編集後記 2001年8月

このページは毎月末に更新します
 


少額課金のハードル

 中小企業の社長の大きな仕事の1つは、銀行まわりだ。従業員の給料や月末の支払い時期になると、銀行に出向いて振り込み手続きをする。あいにくこの時期は、どこの会社も銀行手続きを行うから、窓口はたいへんに込み合う。運が悪いと数十分から1時間くらい待たされる場合もある。

 幸い、最近では、パソコンを使ってダイヤルアップなどで銀行のサーバに接続し、振り込み手続きを行えるサービスを利用できる(個人向けにはホームバンキングと呼ばれるが、企業向けのサービスはファームバンキングと呼ばれる)。これを使えば、込み合った窓口まで出向かなくても手続きが行えるし、窓口手続きが終了する午後3時を過ぎても、手続きを行えるというメリットがある(弊社が利用しているサービスでは、21:00までに手続きすれば、翌日の振込が可能である)。弊社デジタルアドバンテージも、さっそく申し込んでこれを利用できるようにした。

 実に便利でありがたいサービスなのだが、難点は手数料が割高なことだ。弊社の場合、従業員も少なく、取引先もそれほど多くないという理由から、最も低機能で使用料も安いサービスを選択した。月額使用料は5000円である。5000円なら安い、と思うかもしれない(実は私も最初はそう思った)。しかし実際には、これ以外にも、振込手数料は通常どおりにかかる。振込金額や、振込先の銀行(自行か、他行かなど)にもよるが、1件あたりの振込手数料は400円〜700円程度。塵も積もれば山で、年間を通して見てみると、かなりの手数料を銀行に支払っている。

 考えてみれば、ファームバンキングを使って手間が減るのは、利用者だけではない。銀行側にしても、窓口の負担は軽減するわけで、微々たるものかもしれないが、彼らのコスト削減にも貢献しているはずだ。それなのに、振込手数料は窓口を使った場合と同じ料金を取られるわ、そのうえ月額使用料は取られるわという、「盗人に追銭」的な状態にある。世は銀行淘汰の時代。個人向けでは、各行がそれぞれ独自色を出したサービスの充実や料金設定などが活発になりつつあるが、こと企業向けについては出足が非常に鈍いようだ。個人向けサービスでは低利益競争を仕掛けても、手数料収入の「聖域」である企業向けサービスは、得意の横並びで高利益率を維持しようとしているような気がするのは私だけではないだろう。

 話題は変わってWeb出版について。ITバブル崩壊の余波で、ネット広告に依存するWebマガジンなどはかなりの打撃を受けていると聞く。広告だけでは経営が立ち行かないと考えたWeb出版社のなかには、既存のペーパー雑誌モデルと同じく、課金によって読者からも直接売上を得ようと試みる向きもあるようだ。しかし、たいていはうまくいっていない。その最大の理由は、扱いやすくコストも手頃な少額課金の方法が確立されていないからである。「100円課金するのに200円のコストがかかる」という笑い話は、今なお現実のもののようだ。

 システムの開発に膨大な費用がかかるのに、利用者数はまだわずか。少額の手数料収入ではシステムはとても維持できない、ということだろう。しかしこのところのADSLやCATVインターネットの薄利多売により、多くの人にとって「ネット」はますます「当たり前」の存在になりつつある。100円、200円の週刊誌を売る現実の出版物流通が存在しうるわけだから、利用者さえ増えれば、Web出版における少額課金ビジネスも成立しうるのではないかと思える。

 だがこのためには、金融機関に健全な競争が持ち込まれなければならない。前出の出版物流通は、書店や流通業者の過酷な競争によって支えられている。表面上はともかく、本質的なところで、金融機関が護送船団の伝統を守ろうとするならば、「黒船が到来しないとラチが明かない」ニッポンの古き悪しき伝統は、ネットの発展においても守られることとなろう。

 Web出版を生業とする一編集長としても、中小企業の一社長としても、IYバンクやソニー銀行などの新参銀行に期待を寄せる今日このごろである。End of Article

(Windows 2000 Insiderガイド 小川誉久

 

 編集後記

■事務所が手狭になったので、引越先を物色中。不景気なのだから、さぞ事務所も空きがあるだろうと思いきや、なかなか手頃な物件が見つからない。一説によれば、大企業のリストラの影響で、独自に会社を起業する人が増えているからだとか。それはともかく、物件探しではインターネットがおおいに役立っている。ネットの浸透をますます実感。(小川

■なんだか知らないうちに夏が終わって、世間にはすっかり秋の気配が。いや、本当はこれを書いている今は9月の頭だったりするので(8月の編集後記なのに ^^;;)、夏のうちに書かなかったのがいけないのだが。自宅にはクーラーを付けてないので、夏がさっさとどっかへ行ってくれたのはありがたいです。でも、海にも行ってないし、山にも行ってないし、花火も見てませんし、夏らしいことは何もしなかったのは残念ですが、とりあえず蕎麦だけはいっぱい食べました。うーん、夏は蕎麦に限るね(夏だけじゃないけど)。会社では、夜食は(といっても生活パターンが夜型なので、単なる夕食ですが)冷やしとろろそばを食べ、自宅でも蕎麦に野菜をたくさんのせて(そばで作る冷やし中華という感じか)食ってました。さてさて季節は秋ですが、秋はおいしいものがいっぱいあるので、何を食べるべきか、非常に迷います。とりあえず梨100個、柿200個は最低限の目標として、あとはブドウか栗かキノコか鮭あたりと、プラス、温泉あたりでどーーんと秋を堪能することにするかな……。

閑話休題――ノートPCのハードディスクを入れ換えました。機種はPanasonicのCF-M2ですが、これはPC Insiderチームがさじを投げ出すくらい、交換が面倒な機種です(「ノートPCのディスク環境まるごとアップグレード」で、いちばん右端に写っているのが問題のPC)。ディスクはPCカードスロットのさらに下にあるので、キーボードを外し、液晶を外し、上部カバーを外し、さらにヒートシンクもマザーボードもすべて外さないとHDDが交換できません。ネジの総数も40本以上はあっただろうか。案の定、組み立てに失敗した模様で、スピーカーから音が出ません(^^;;)。もっと交換しやすくしておいて欲しいぞ。というか、こんなに面倒では、組み立てだって大変だろうに。(打越
  今月のWebサービス:
WebService.jpという仰々しいドメイン名で始めたNetDictionaryプロジェクトだが、その影でIWebMethod.NETというクールな(はずの)ドメイン名のサイトも立ち上がっている。こちらは主にプログラマがVisual Studio .NETからアクセスするためのサイトで、Insider.NETでどんどん開発したXML Webサービスを配置するためのものだ。辞書Webサービスに加えて、実はすでにWebサービス第2弾「アクセス・カウンタWebサービス」をテスト運用している。これはその名前からもわかるように、よくホームページで使用されるアクセス・カウンタをWebサービスとして提供するものである。使い方は参照用ページに並ぶメソッド名を見ていただければだいたい想像つくだろう。単純なWebサービスだが、その中身はかなりリッチである。何がリッチかというと、たかがアクセス・カウンタにSQL Serverを使用しているからだ。しかし、GetCreateDateTime メソッドはカウンタを生成した日時を返すので、「Since YYYY/MM/DD」といった表記をカウンタのそばにつける場合には便利だ。遠藤

■ 8/27日にオープンしたNetDictionary、もう使っていただけましたでしょうか? 今回はここのサンプルの一部を担当したのですが、ソースも公開するなんて初めてなもので気を使いました。中括弧"{"をどこに書くとか、インデントはいつ何文字とか、いろんな流派がありますよね。今回はVisualStudioのエディタ推奨の形にのっとった上で、なるべく読みやすいエレガントなソースにしたつもりなのですがいかがなものでしょうか? こうした方がいいなどのアドバイスがございましたら掲示板にでも書き込んでいただけるとありがたいです。 (井口

■最近、携帯メールにくるスパムメールが1日あたり約7〜8通、多いときでは10通を超える。使用している携帯アドレスは、番号ではなく文字列に変えてある。当初は「メール指定拒否」を使って1件づつ拒否していたのだが、最近送られて来るメールは、アドレスそのものが表示されていない。拒否しようにも拒否できないようになっているのである(最大10件までしか拒否できないので、今の状態では全部拒否しきれないのだが)。スパムメールにお金を払っているのかと思うと、無性に腹ただしい。ということで、近々メールアドレス変更します。 (銭高)

■「初登場! テディベアが大好きで、遺跡発掘にはまっている変な女(の子)です。自宅には、林檎マークのついた四角い透明の箱を所有。この場にいて良いのか悪いのか……。ということで、実は私、恥ずかしながらWindows初心者。ついついマウスにボタンがふたつ付いているのを忘れ、「右クリック」という便利な機能を使いこなせていない……。 只今、右クリ練習中!? こんな未熟者ですが、頑張りますのでよろしくお願いいたします。(松永)
 

 Windows 2000 Insider STAFF

   
 
ガイド(編集人・編集長) 小川 誉久
タイトル
デザイン
谷原 正則
ガイド(副編集長) 打越 浩幸
制作
河本 茂美
構成エディタ 塩田 紳二
編集 井口 圭一
銭高 順
編集・著作 Digital Advantage
松永 純子 Copyright(C) 2001 All Rights Reserved
 
Editor's Noteバックナンバー

 



Windows Server Insider フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Windows Server Insider 記事ランキング

本日 月間