Insider's Eye マイクロソフト、史上最大の早期評価プログラム作戦 ――　あらゆるチャネルを使ってWindows Server 2003 RC2を10万コピー配布。評価プログラムの賢い使い方　――
デジタルアドバンテージ 2003/02/08

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　IT投資への減速感がますます深刻さを増す2003年初春、サーバ向けWindows OSの新版、Windows Server 2003の開発がほぼ完了し、マイクロソフトは本格的なマーケティングに向けて1歩を踏み出した。マイクロソフトの説明によれば、評価版のWindows Server 2003 RC2を、実費配布の評価キットやマイクロソフト主催のカンファレンスでの提供物、雑誌添付の付録CD-ROMなどとして、都合10万コピーを配布する予定という。「過去最大のマーケティング・ベータの配布数」だとマイクロソフトの鼻息は荒い。単純に数の問題というものではないにせよ、Windows Server 2003のマーケティングに背水の陣で臨むという意気込みの表れであることは間違いない。

　マイクロソフトのマーケティング戦略がどうあれ、Windowsサーバの導入や運用を担当する技術者にしてみれば、いよいよWindows Server 2003の本格的な評価を行えるときがやってきたわけだ。Windows Server 2003は、既存のWindowsシステムを進化させるうえで、どのような移行パスを提供してくれるのか？ 移行することによって、システムはこれまでになかったどのような価値を得るのか？ UNIXやLinuxなど、サーバ分野で競合するほかのオープン・システムOSと比較して、Windows Server 2003にはどのような長所があるのか？ こうした疑問に対し、実際の製品を使って確かめられるときがきた。

　本稿では、導入担当者や管理者の方々に向けて、この新しいサーバOSを評価するためのWindows Server 2003の早期評価プログラムに関してまとめる。

Windows Server 2003 RC2日本語版の入手方法

　さすがに10万コピーを配るとあって、Windows Server 2003 RC2日本語版を入手するのは容易である。ただし入手方法によって、手に入るOSのバージョンが異なったり、追加の技術資料や関連ソフトウェアが付属しなかったりという違いがある。

■早期評価キット
　最も確実にWindows Server 2003 RC2を入手する方法は、マイクロソフトが2003年1月末から実施している「早期評価プログラム」を利用することだ。これには大きく2つのオプションがあり、1つは「早期評価キット」と呼ばれるCD-ROMを実費で郵送してもらうもの、もう1つは、ユーザー登録をした後、インターネットからWindows Server 2003 RC2のインストール・イメージをダウンロードするものである。

• Windows Server 2003早期評価プログラムの申し込みページ（マイクロソフト）

　早期評価キットは、2枚のCD-ROMで構成されるもので、1枚にはWindows Server 2003,Enterprise Edition 32bit RC2日本語版のインストール用CD（360日間限定評価版）、もう1枚にはWindows Server 2003に関連する各種技術資料や、Windows Server 2003について、PowerPointのスライドと音声ストリーミングで解説した「オンライン・セミナー」が収録されている。このオンライン・セミナーは、かなり本格的なもので、Windows Server 2003の概要から、Active Directoryの新機能、セキュアなネットワークの構築術、IIS 6.0（Internet Information Services 6.0）など13のセッションからなり、総計約11時間に及ぶ解説が収録されている。すべてをくまなく見るのは一仕事だが、説明自体はポイントがよくまとめられているので、Windows Server 2003の気になる部分について、手っ取り早く要点を知りたいときに役立つだろう。

Windows Server 2003早期評価キット

Windows Server 2003,Enterprise Edition 32bit RC2日本語版を収録したCD、技術資料やオンライン・セミナー（ストリーミング）のデータを収めたCDがセットになっている。急な名称変更に手配が間に合わなかったようで、パッケージの名前は「Windows .NET Server 2003」のままだ。

　またこれ以外にも、早期評価キットで申し込んだユーザーには、Windows Server 2003に対応したサードパーティ製ソフトウェア（トレンドマイクロのセキュリティ・ソフトウェアServerProtect体験版、ベリタスのバックアップ・ソフトウェアBackup Exec v9評価版）が併せて送付される。いまやウイルス・チェック・ソフトウェアは企業コンピューティングには欠かせないものであり、Windows 2003 Server環境で利用するアプリケーションとの相互運用性をチェックしやすくするために、これらも提供されるのだという。

　Windows Server 2003早期評価キットの実費配布料金は1050円（消費税込）である。ただし希望すれば、1260円（同税込）を支払うことで、Windows Server 2003対応ソフトウェアを開発するための開発環境の新版、Visual Studio .NET 2003日本語ベータ版CDも併せて入手できる。このVS .NET 2003を使えば、Windows Server 2003に同梱される最新の.NET Framework 1.1に対応したソフトウェアを開発できる。

Visual Studio .NET 2003ベータ

Visual Studio .NET 2002からのマイナー・バージョンアップとなる開発ツール。これを使えば、Windows Server 2003に同梱される最新の.NET Framework 1.1に対応したソフトウェアを開発できる。こちらも広く配布される（有償送付の場合は、税込みで1260円となる）。

■インターネットからのダウンロード
　Windows Server 2003のインストール・イメージだけを無償で入手したければ、マイクロソフトのWebサイトからダウンロードすることもできる。ただしこれにはユーザー登録が必要で、登録が完了すると、インストール用のプロダクト・キーがメールで通知される。マイクロソフトの説明によれば、登録完了までには数週間かかるという。

　ただし、上記の早期評価キットでは、32bit版のEnterprise Editionのみの提供だったが、このダウンロードでは、Standard Edition（32bit版）に加え、64bit版のWindows Server 2003 Enterprise Editionも入手できる。また必要なら、ダウンロード時に日本語以外のバージョン（英語、ドイツ語、中国語など）を選択することも可能だ。登録は無料で、Standard Editionや64bit版、他言語版も入手できるので、早期評価キットを申し込んだユーザーでも、必要ならこちらのダウンロードにも登録するとよいだろう。

■雑誌付録CD-ROM

『Windows Server 2003テクノロジ徹底解剖』 （日経BP発行 ISBN4-8222-2336-1 1900円）	『Windows .NET Server World特別編集号』 （アイ・ディ・ジー・ジャパン発行 ISBN4-87280-174-1 1600円）
Windows Server 2003のインストール用CDが添付されている。	CDは間に合わなかったようだが、引き換え用のハガキが付いている。

　さらに手軽に、いますぐにWindows Server 2003のインストールCDが必要というなら、雑誌（ムック）の付録CDとしても提供されている。これらは、『Windows Server 2003テクノロジ徹底解剖』（日経BP発行 ISBN4-8222-2336-1 1900円）と『Windows .NET Server World特別編集号』（アイ・ディ・ジー・ジャパン発行 ISBN4-87280-174-1 1600円）の2冊である。ただし、雑誌にCD（早期評価キットと同じWindows Server 2003,Enterprise Edition 32bit RC2日本語版、360日限定評価版）が添付されているのは日経BP発行のものだけで、収録が間に合わなかったのか、アイ・ディ・ジー・ジャパン発行のものにはCDは添付されておらず、代わりに引き換え用のハガキ（無料提供クーポン）が綴じ込まれている。このハガキを送れば、CD-ROMが送られてくる。

RC2に関するサポート情報

　Windows Server 2003のRC2では、単にCDを提供するだけで、あとはすべてユーザーまかせというわけではなく、マイクロソフト自身による、メールやニュース･グループなどによるサポート・プランが用意されている。

• Windows Server 2003 のサポート
• RC2に関する一般的な話題を扱うニュースグループ
• RC2のセットアップに関する話題を扱うニュースグループ

　これらの窓口に対する問い合わせは、Windows Server 2003 RC2に関する技術的な質問などに限定されるし（メールを出す場合は、所定の書式にしたがってシステム構成なども報告すること）、必ずしも回答が得られるというわけでもないのだが（マイクロソフト自身は「ベストエフォート」で対応としている）、評価中に重大な問題が発生した場合には利用するとよいだろう。特にニュースグループは、ほかのユーザーがすでに遭遇した問題や、RC2ユーザーの生の意見などが聞けるので、ぜひ参加するとよいだろう（ただしあくまでもRC2に関する技術的な意見の交換場所であるので、問題点を報告したりする場合は、なるべくほかのユーザーにも分かるように、詳しく状況説明などを行うこと）。

.NETの行く末を占うWindows Server 2003

　これら以外にも、Windows Server 2003 RC2は、マイクロソフトの有償情報サービスであるMSDNやTechNet Plusでも提供される。また2003年2月13、14日にマイクロソフトが主催するEnterprise Deployment Conferenceを始め、さまざまなイベントなどでも配布される模様だ。

　マイクロソフトが発売した初のサーバ向けOS「Windows NT Advanced Server 3.1」が1993年に登場してから10年。この春にも登場するWindows Server 2003は、.NET構想が目指すネットワーク・コンピューティング時代の幕開けを担うサーバOSとして市場に問われることになる。ポイントの1つは、これまではメインフレームやUNIXシステムが中心だったエンタープライズ分野において、どれだけシェアを高められるかということだ。この領域では、64bitプロセッサ対応を含め、Linuxベースのシステムと激しく衝突することになるだろう。

　またその一方で、ファイル／プリンタ共有のための単機能部門サーバとして使われている既存のWindows NT 4.0／2000サーバは、Linux＋Sambaをベースとする安価なソリューションへの置き換えの危機に直面している。こうしたユーザーは、Windows Server 2003が価格に見合った新しい価値を提供してくれるかどうかをシビアに検討するだろう。

　Windows Server 2003がどう転ぼうとも、企業コンピューティグにおいて、Webサービスを利用した情報システム連携が進むだろう。Windows Server 2003は、この未来のコンピュータ環境において、マイクロソフトがどれだけイニシアチブを握れるかを決定付ける大きな要因になるはずだ。最終的にWindows Server 2003に進むにせよ、そうでないにせよ、評価版をさっそく入手、インストールして、将来のコンピューティングに備えよう。

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