Insider's EyeGUIを超えて進化するWindows管理ツール(1)―― コマンドラインとスクリプト・ベースの管理を重視したWindows Server 2003のメリット ―― |
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Michael Cherry 2003/05/27 Copyright(C) 2003, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc |
本記事は、(株)メディアセレクトが発行する月刊誌「Directions on Microsoft日本語版」 2003年5月15日号 p.9の「GUIを超えて進化するWindows管理ツール」を、許可を得て転載したものです。同誌に関する詳しい情報は、本記事の最後に掲載しています。 |
Windows Server 2003では、GUIベースの管理に対する依存度を減らし、コマンドラインとスクリプト・ベースの管理をさらに重視している。管理者はこの方針転換によって恩恵を受けることになるだろう。
管理者は、複数のデスクトップPCやノートPC、サーバのハードウェア/ソフトウェア・リソースを監視したり、設定したりする必要がある。だがこの際、GUIベースの管理ツールは反復的な管理タスクにおいてスクリプトに比べて効率的ではない。それも、管理者がWindows XPおよびWindows Server 2003用の強力な非GUIの管理手段を手にすることで変わるだろう。しかし、この新しい選択肢を利用するには、新しいスクリプト言語に対する習熟と、管理に的を絞ったさらに優れた編集ツールとデバッグ・ツールが必要である。
Windowsは、複数の管理モードを用意している。GUI(本稿では扱わない)とコマンドライン、そして2種類のスクリプティング(基本的なバッチとWindows Script Host)である(基本情報については、コラム「Windowsの管理モード」を参照)。Windows Server 2003では、コマンドライン、基本的なバッチ・スクリプティング、Windows Script Hostベースのスクリプティングによる管理がより実用的である。なぜならMicrosoftは多数の管理テクノロジ(Windows Management Instrumentationなど)を改良・追加し、新しいツール(Windows Management Instrumentation Command Lineなど)を用意し、より多くのタスク(Active Directory移行ツール経由によるWindows NT 4.0ドメインからのアカウントのインポートなど)をスクリプトで処理可能にしたからである。
Windowsの管理モード ●コマンドライン ●基本的なバッチ・スクリプティング ●WSHスクリプト ●GUI管理 |
WSHスクリプティングの改良
Windows Script HostベースのWindows管理は、Windows Script Host(WSH)とWindows Management Instrumentation(WMI)の2つのテクノロジに依存している。WSHはスクリプティング・エンジンの実行を制御し、JScriptおよびVBScriptで記述したスクリプトがOSサービスとユーティリティにアクセスすることと、COMインターフェイス経由でアプリケーション・プログラムにアクセスすることを可能にする。管理用のCOMインターフェイスの中で最も重要な一群は、WMIである。WMIは、Desktop Management Task Forceが定義した標準管理フレームワークであるWeb-Based Enterprise ManagementのMicrosoftの実装である(WMIに関する基本情報は、図「WMIアーキテクチャ」を参照)。
管理者はWMIを用いて、ファイル・システム、プリンタ、ネットワーク共有を監視・設定するとともに、パフォーマンス・データを検索できる。またWMIは、DNS(Domain Name Service)およびDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)といったネットワーク・サービスを監視するメカニズムを備え、イベント・ログ、ファイル・システム、レジストリの変化や、OSのほかのリアルタイムな変化を監視し応答する。WMIは、管理者が個々のリソースのAPI(例えばWindows OSサービスのWin32 APIなど)の詳細に深入りせずに、コンピュータを管理する手段を提供する、各種の管理アプリケーション・エージェントの基本インフラである。管理アプリケーションには、Microsoft自身のSystems Management Server(SMS)やMicrosoft Operations Manager(MOM)などがある。
■WMIの改良
Windows XPとWindows Server 2003では、WMIに2つの重要な改良が加えられた。まず、これらのOSではさらに多くのWMIプロバイダで、管理者が管理オブジェクトのプロパティ(例えばあるユーザーのディスク割り当て量)の確認だけでなく、プロパティの変更や設定(例えば新しいディスク割り当て量の設定)を行えるようになった。Windows 2000では、WMIによって管理リソースの約4000のプロパティが管理者に公開されていたが、これらのプロパティのうちWMI経由で変更・設定できるのは約40に過ぎなかった。Windows XPではWMIによって監視できる管理リソースは6000以上あり、140以上のプロパティがWMIを用いて設定できる。
次に、MicrosoftはADレプリケーションの健全性と信頼関係を監視するプロバイダや、管理者がボリューム・シャドウ・コピーを管理できるプロバイダなどの新プロバイダを開発した。新規プロバイダは管理者にとって便利だ。さらに多くのリソースが、WSHベースのスクリプトやほかの管理ツールで監視・設定できるようになるからである(既存および新規WMIプロバイダの一部は表「WMIプロバイダ」を参照)。
プロバイダ | 説明 |
Active Directory | Active Directoryオブジェクト(ユーザーとコンピュータ)をWMIに公開する |
Active Directory Replication and Trust | ドメイン・コントローラ間の複製(および信頼関係)を監視する |
Disk Quota | ドライブと特定ユーザーのディスク割り当ての監視と設定を行う |
Domain Name Service(DNS) | DNSの監視と設定を行う |
Event Log | イベント・ログの監視と設定を行う |
Internet Information Services(IIS) | WMI経由でIISの完全な管理を行う |
Performance Counter | パフォーマンス・データをそのまま、もしくは表示形式を変更して公開する |
Printing | プリンタの監視と設定を行う |
Registry | レジストリ・キーとその値へのアクセスを提供する |
Terminal Server(TS) and TS Time Zone Redirection | ターミナル・サービス(タイム・ゾーン・リダイレクションを含む)の設定の監視と制御を行う |
Volume Shadow Copy Service(VSS) | シャドー・コピーと仮想ディスク・サービスを管理する |
Win32 | コンピュータのハードウェアとOSの監視・設定を行う |
Windows Installer(MSI) | ソフトウェアのインストールを監視する |
WMIプロバイダ |
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