Insider's Eye

Windows Vista/Windows Server 2008 Service Pack 2がリリース

Microsoft MVP
Data Center Management - Update Services
創報 山近 慶一
2009/06/17

 Windows VistaとWindows Server 2008向けのService Pack 2(以下単にSP2と表記)が2009年5月27日にリリースされた。これはWindows VistaとWindows Server 2008の両方に適用可能な単一バイナリの更新プログラムで、英語、ドイツ語、フランス語、日本語、スペイン語の5言語版Windowsに対応している。本記事ではこのSP2の概要と適用方法についてまとめておく。

 SP2の本体は、Windows Updateとダウンロード・センターで公開されている。ダウンロード・センターでは、CPUアーキテクチャ別の3種類のほか、そのすべてをDVD-ROMイメージにまとめた.ISOファイル形式でも公開されているので、適切なものをダウンロードして利用する。

 SP2のリリースノートや修正点の一覧などは次のリンクを参照していただきたい。

SP2における変更点/修正点

 SP2では、以下のようにBlu-rayなど新しいハードウェアへの対応が行われているが、基本的には既知の問題の修正と既存機能のパフォーマンス向上に注力したリリースとなっている。ただしWindows Vista SP1に相当する修正は含まれていないので、Windows VistaにSP2を適用するためには、事前にSP1を適用しておく必要がある。

新しいハードウェアのサポート

 SP2は既知の問題の修正がメインで、新機能はあまり含まれていないが、以下のようなハードウェア・サポートが追加されている。

  • Blu-rayサポート
     SP2では、Blu-rayメディアをWindows単体で読み書きできるようになった。BD-REメディアでは消去とフォーマットもできるので、CD-RWやDVD-RWメディアのように何度でも読み書きできる(画面1)。
画面1 Blu-rayメディアのサポート
SP2では、Windows単体でBlu-rayメディアに対する読み書きをサポートしている。Blu-rayドライブにファイルをドラッグ&ドロップするだけで、簡単にBlu-rayメディアへの書き込みができる。
ファイルをBlu-rayドライブ(この例ではG:ドライブ)にドラッグ&ドロップすると、Blu-rayメディアへの書き込み処理が開始される。
  • Bluetooth 2.1サポート
     「Windows Vista Feature Pack for Wireless」としてリリースされた機能を取り込んで、Bluetooth 2.1に対応した。Windows Vistaのリリース時にはBluetooth 2.1の仕様が確定していなかったため、SP2でようやく対応した形だ。同時に「Windows Connect Now(WCN)Wi-Fi Configuration」も搭載して、ワイヤレス接続の設定が簡単になっている。

  • VIA CPUのサポート
      VIA Technologies社の新しい64bit CPU「VIA Nano」に正式対応した。

既存機能の強化とパフォーマンス改善

 SP2では、既存機能の強化やパフォーマンスの改善なども行われている。

  • デスクトップ検索機能の最新版である「Windowsサーチ4.0」を搭載した。インデックス作成対象などをグループ・ポリシーで制御することも可能だ(画面2)。
  • スリープ状態や休止状態から通常状態に復帰したときの、Wi-Fi接続のパフォーマンスが向上した。
  • Windows VistaのWindowsサイド・バーで実行する、RSSフィードのパフォーマンスが向上した。
  • Windows Media Centerで、著作権保護された録画データを他のデバイスと共有可能にした。
  • プリント・サーバおよびスプーラの印刷パフォーマンスが向上した。
  • Windows Server 2008用の正式版Hyper-Vを搭載した。従来のRTM版のWindows Server 2008(SP1相当)には、正式版のHyper-Vが搭載されておらず(ベータ版を同梱していた)、後でリリースされた正式版をインストールする必要があった。
  • 電源管理機能を強化して、グループ・ポリシーで制御可能にした。
  • WebDAVリダイレクタに認証オプションを追加した。
  • ターミナル・サーバのライセンス・キーで、以前のバージョンのWindowsと互換性を持たせた。
画面2 「Windows サーチ 4.0」とその設定グループ・ポリシー
SP2には「Windows サーチ 4.0」と、詳細な動作を設定するグループ・ポリシーが搭載されている。ローカルまたはドメインのグループ・ポリシーを使って、Windows VistaやWindows Server 2008のデスクトップ検索機能を細かく制御することができる。
「Windowsサーチ 4.0」用のグループ・ポリシーは、「コンピュータの構成\管理用テンプレート\Windowsコンポーネント\検索」および「ユーザーの構成\管理用テンプレート\Windowsコンポーネント\検索」に用意されている。
デフォルトではすべてのポリシーが「未構成」に設定されている。検索環境の設計に応じて、必要なポリシーを有効または無効にしよう。

SP2のインストールとブロック

 SP2は、Windows Updateや自動更新、Windows Server Update Services(WSUS)を通じて配布されるほか、マイクロソフト・ダウンロード・センターでスタンドアロン版の実行ファイルを入手できる。自動更新でSP2の配布が開始される時期は未定だが、Windows Vista SP1と同様に一定の猶予期間が設けられる。その間に「Windows Service Packブロッカー・ツール・キット」を実行しておけば、自動更新を通じてSP2が適用されることを1年間ブロックできる()。なお、Windows Vista SP1とWindows XP SP3のブロック期限はそれぞれ2009年4月28日、2009年5月20日まですでに過ぎており、現在はブロックできなくなっている。

SP2のブロッカー・ツールはSPのバージョンによらず、すべて同じものが提供されており、その使い方も同じである。TIPS「Windows Vista SP1の自動更新をブロックする」も参照のこと

Windows UpdateによるSP2インストール

 さて、SP2を適用したいPCが少ない場合は、以下の手順でWindows Update経由でSP2を適用するとよいだろう。ただし、SP2と互換性のないデバイス・ドライバなどがインストールされていると、Windows UpdateではSP2が提示されないことに注意しよう。

■手順1.インストール前の準備
  SP2を適用する前に、万一に備えてバックアップを作成したり、「Chkdsk」コマンドなどを実行して、システムが健全な状態であることを確認したりする。また、必要であればディスク・クリーンアップ(Cleanmgr.exe)を実行して、十分な空きディスク容量(1Gbytes程度)を確保する。

■手順2.事前の更新プログラムの適用
  Windows Updateを実行して、KB955430の更新プログラム(サービス・スタック更新プログラム)を適用する。

 Windows Updateを実行したとき、KB947821の「システム更新準備ツール」が表示された場合は、修正可能な軽微なトラブルがシステムに発生しているので、必ずこのシステム更新準備ツールを実行して問題を修正しておこう。

■手順3.Windows UpdateによるSP2のインストール
  再度Windows Updateを実行してSP2をインストールする。「Windows Vista Service Pack 2へようこそ」画面または「Windows Server Service Pack 2へようこそ」画面が開いたら、「次へ]ボタンをクリックしてライセンス条項をよく読み、同意できたら「次へ」ボタンをクリックする(画面3)。

画面3 SP2インストールの開始(1)
「Windows Service Packのインストール」ダイアログが開いたら、「次へ」ボタンをクリックする。Windows Updateの進捗が長時間停止したままになったら、SP2のダイアログがWindows Update画面の後ろに隠れていることがあるので、注意する。
Windows Server 2008では「Windows Server Service Pack 2へようこそ」と表示される。
「次へ」ボタンをクリックして、SP2の適用を開始する。

■手順4.インストールの開始
  「Windows Vista Service Pack 2のインストール」または「Windows Server Service Pack 2のインストール」画面が表示されたら、「インストール」ボタンをクリックしてSP2の適用を開始する(画面4)。

画面4 SP2インストールの開始(2)
[インストール]ボタンをクリックすると、SP2の適用が開始される。
これをクリックして、SP2のインストールを実行する。

■手順5.再起動
  「Windows Service Packのインストール」ダイアログが自動的に閉じられて、Windows Update画面に「今すぐ再起動」ボタンが表示されたら、ボタンをクリックしてWindowsを再起動する(画面5)。Windowsの起動中にステップ1からステップ3までの更新プロセスが実行されて、次にログオン可能になったときにSP2の適用が完了する。

画面5 インストール後の再起動要求
「Windows Service Packのインストール」ダイアログが消えてWindows Update画面に戻ってきたら、PCを再起動してシステム・ファイルの更新を開始する。
「更新プログラムは正常にインストールされました」と表示されたら、SP2の適用プロセスの第1段階は完了だ。システム・ファイルの更新は再起動中に行われる。
「今すぐ再起動」ボタンをクリックしてPCを再起動する。

■手順6.インストールの確認
  SP2を適用し終わったら、エクスプローラを開いて[ヘルプ]−[バージョン情報]を実行して、「Windowsのバージョン情報」ダイアログに「バージョン6.0(ビルド6002:Service Pack 2)」の表示があることを確認しよう(画面6)。


 
画面6 インストールの確認
エクスプローラの[ヘルプ]−[バージョン情報]や、「winver.exe」コマンドを実行してWindowsのバージョン情報を表示することで、SP2の適用状況を確認できる。
Windows VistaもWindows Server 2008も、SP2適用済みであれば「バージョン6.0(ビルド6002:Service Pack 2)」と表示される。

 なおSP2をアンインストールするにはコントロールパネルの[プログラムと機能]を使用する。[タスク]の[インストールされた更新プログラムを表示]で「Microsoft Windows(KB948465)のService Pack」を選択して、アンインストールすればよい(画面7)。また、SP2のアンインストール情報が不要であれば、「Windows Component Cleanツール」(Compcln.exe)を実行して空きディスク容量を広げることができる。

画面7 SP2のアンインストール
SP2をアンインストールするには、[コントロール パネル]の[プログラムと機能]から行う。SP2などの更新プログラムは「プログラムと機能」のデフォルトの画面には表示されないので、左側のタスク一覧から[インストールされた更新プログラムを表示]を実行して表示させる。
SP2をシステムから削除するには、「Microsoft Windows(KB948465)のService Pack」をクリックして選択し、アンインストールを実行する。

 SP2はすでにWSUSでもリリースされており、WSUSクライアントに自動更新で適用することができる。スケジュール・インストールを設定していれば、適用前と適用中はユーザーの操作は不要だが、次にユーザーがログオンしたときに[Windows Vista Service Pack 2がインストールされました]といった確認ダイアログが表示されるので、[閉じる]ボタンをクリックする必要がある。

スタンドアロン版のSP2インストール

 スタンドアロン版のSP2を利用する場合は、使用中のWindowsのシステム・アーキテクチャに適した実行ファイルを選択して、マイクロソフト・ダウンロード・センターからダウンロードしよう。3種類のSP2がすべて収録されたDVD ISOイメージファイルを利用してもよいだろう。

  • 32bit版(x86システム用)のWindows VistaおよびWindows Server 2008用のSP2(Windows6.0-KB948465-X86.exe)
  • 64bit版(x64システム用)のWindows VistaおよびWindows Server 2008用のSP2(Windows6.0-KB948465-X64.exe)
  • 64bit版(IA64システム用)のWindows Server 2008用のSP2(Windows6.0-KB948465-IA64.exe)

 スタンドアロン版SP2の適用手順はWindows Updateでの場合とよく似ているが、サービス・スタック更新プログラム(KB955430)を事前に適用する必要はない。実行ファイルのサイズはx86版で約348Mbytes、x64版で約577Mbytesあり、適用中はさらに2Gbytes以上の空きディスク容量が必要だ。SP2の実行ファイルを起動して「Windows Vista Service Pack 2へようこそ」または「Windows Server Service Pack 2へようこそ」画面が開いたら、「Service Pack 2をインストールする前に」リンクをクリックして注意事項に目を通しておこう。

 WSUSを使ったSP2の適用と同様に、スタンドアロン版SP2でも適用後に初めてユーザーがログオンすると、[Windows Vista Service Pack 2がインストールされました]または[Windows Server Service Pack 2がインストールされました]というダイアログが表示されるので、「閉じる」ボタンをクリックして適用プロセスを完了する。End of Article

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