運用 Windows 2000 LAN防衛術ファイアウォール・アーキテクチャとISA Server(第2回)2.ISA Serverのファイアウォール機能(2) デジタルアドバンテージ |
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ファイアウォール・クライアント
ファイアウォール・クライアントは、ファイアウォールのアーキテクチャ的にいうと、いわゆる「サーキットレベル・ゲートウェイ」に分類されるものである(同様の機能を持つファイアウォール・アーキテクチャとして、SOCKSがある)。クライアントのマシンにはISA Server専用のクライアント・プログラムを導入する必要があるが、その分より細かい制御ができ、ISA Serverの機能をより活用することができる(このクライアント・プログラムをインストールすると、Internet ExplorerでWeb Proxyを使うための設定も自動で行われる)。
「サーキット・レベル・ゲートウェイ(circuit level gateway)」とは、簡単に言うと、TCPやUDPといった(OSI参照モデルでいうところの)トランスポート層レベルで通信の中継を行うファイアウォールのモデルである。TCPなどによって実現される通信モデルを「バーチャル・サーキット(仮想回線)」というが、このレベルで通信を中継、代理するところからこう呼ばれている。
具体的には、WinSock APIのインターフェイスをオーバーライドする形で通信要求を捕捉し、ISA Serverへと振り向けている。クライアント・マシン上で発行された(WinSockに対する)TCPやUDPの通信要求はISA Serverへと送られ(転送され)、そこで実際にTCPやUDPのオープン処理や送受信のための呼び出しが発行される。インターネット上のアプリケーションから見ると、ISA Serverのマシン上でアプリケーション・プログラムが稼働していて、そこから直接、通信要求が出されているように見える。パケット・フィルタ+NATでもほぼ同じ効果が得られるが、それは「NATエディタ(通信内容を理解して、パケット中に含まれるIPアドレスやポート番号などを書き換える機能のこと)」が通信パケットの内容を解釈して、そのプロトコルに応じてパケットの修正を行っているからである。だからNATエディタでサポートされていない未知のパケットではこの機能が働かず、うまくNATが動作しなくなる可能性がある。例えば実行時に動的に変化するポート番号を使うようなアプリケーションや、複数のTCPやUDP通信を(複雑に)組み合わせて使うようなアプリケーションでは(NetMeetingなど)、実装されているNATの機能によっては利用することができない。
これに比べるとサーキットレベル・ゲートウェイでは、アプリケーションが仮想的にISA Server上で実行されているように振る舞うため、アプリケーションごとのNATエディタという機能を用意せずとも、さまざまなアプリケーションをサポートする事ができる。ただしアプリケーションによっては何らかの制約があるかもしれないので(例:常に固定的なポート番号を使用するアプリケーションなど。同時に複数のクライアントではポート番号が競合するので利用できない)、どのようなアプリケーションでもLAN上の複数のクライアントから使えるわけではない。
ファイアウォール・クライアントを利用するためには、各クライアントのマシンに、以下の「ファイアウォール クライアント」という専用ソフトウェアをダウンロードしてインストールしておく必要がある。これにより、クライアント・マシン上のアプリケーションから発行された通信要求を捕捉し、ISA Serverへ転送して、そこで改めて通信要求を実行するのである。このような専用ソフトウェアを導入しなければならないが、その分、より多くのアプリケーションでインターネットを透過的に利用することができる。
同様の機能を持つファイアウォール・アーキテクチャとしてSOCKSもあるが、ISA ServerではSOCKS(SOCKS V4)もサポートされているので、SOCKS対応アプリケーションを使うだけならば、この専用クライアント・プログラムを導入しなくてもよい。
ファイアウォール・クライアントの設定画面 | ||||||||||||
クライアント・マシン(Windows 9x/Me/2000)上でこの「ファイアウォール・クライアント」ソフトウェアを実行しておくと、クライアント・マシンからインターネットへ向けて送受信されるパケットの要求は、すべていったんこのISA Serverのクライアント・ソフトウェアで捕捉されて、ISA Server上へとリダイレクトされる。そして、ISA Server上で改めて発行されることになる。そのためアプリケーションごとのNATエディタを用意せずとも、多くのアプリケーションをサポートすることができる。 | ||||||||||||
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今回は、ファイアウォールの基本的な分類と、ISA Serverにおけるクライアントの種類の概要について説明した。次回は、Web Proxyサービスの設定と運用について解説する。
INDEX | ||
[運用]Windows 2000 LAN防衛術 | ||
第2回 ファイアウォール・アーキテクチャとISA Server | ||
1.ISA Serverのファイアウォール機能(1) | ||
2.ISA Serverのファイアウォール機能(2) | ||
運用 |
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