第7回 読者調査結果
― 読者のWindowsロードマップとは? ―

@IT マーケティングサービス担当
小柴豊
2002/10/10

 Windows OSの新バージョンは、2000年以降だけ見てもWindows 2000、Me、XPと頻繁にリリースされてきた。そして2002年8月からは、Windows .NET Serverの日本語版RC1の提供も始まり、そのリリース速度はますます加速しているように思われる。だが果たしてユーザーは、このままベンダの描くロードマップに沿ってドライブを続けていくのだろうか? Windows Insiderフォーラムが実施した第7回読者調査から、読者のWindows導入状況と今後の予定を検証してみよう。

デスクトップOS:Windows 2000が主流だが、過去バージョンも依然現役

 まずは読者がかかわるシステムのデスクトップOSについて、現在の使用状況と今後1年以内の導入予定を聞いた結果が図1である。現在は全体の8割以上が「Windows 2000」を使用しており、Windows 2000が企業デスクトップの標準的なOSとなっていることが分かる。ただし2003年6月末をもって非サポート対象フェイズに移行する「Windows 98/98 SE」や「Windows NT 4.0」の使用率も、5割前後と依然高い。一方今後の導入予定を見ると、最新OSである「Windows XP」を挙げる人が比較的多いものの、絶対的なポイントは低く、まだ予定を決めかねている企業も多そうだ。過去バージョンをどうアップグレードするか/しないかは、今後1年間の企業デスクトップの注目点といえるだろう。

 マイクロソフトのデスクトップOSに関するサポート・ガイドラインの詳細については、マイクロソフトが公開している以下のドキュメントを参照されたい。

図1 デスクトップPCのOS使用状況/導入予定(N=406)

サーバOS:岐路に立つNT Server 4.0ユーザー

 続いてサーバOSの動向を見てみよう。現在の状況では、ここでも「Windows 2000 Server」の使用率がトップとなったものの、僅差で「Windows NT Server 4.0」が続く結果となった(図2)。サーバOSの変更は、デスクトップに比べて企業情報システムへの影響が大きいだけに、アップグレードにもより慎重な姿勢が表れているのだろう。とはいえ、NTサーバはすでにパッケージ販売が終了し、2003年1月からはサポート範囲も限定されることが決まっている。近い将来発売が予想される「Windows .NET Server」を待つのか、SP3がリリースされたWindows 2000 Serverを導入するのか? NT Serverユーザーにとって、これからの半年ほどは、次のサーバ・プラットフォームを考える重要な時期となりそうだ。

 Windows NT Server 4.0に関するサポート・ガイドラインや.NET Serverへの移行に関するQ&A(英語)について、マイクロソフトはそれぞれドキュメントを公開している。

図2 サーバのOS使用状況/導入予定(N=406)

 では今後のWindows環境を考える上で、読者はどのようなトピックに興味を持っているのだろうか? 複数回答でたずねた結果、全体の半数以上が「Windows 2000 SP3の公開時期/内容」および「Windows .NET Serverの発売時期/内容」の2点を挙げた(図3)。またそれらに次いで「NT/2000の販売/サポート終了時期とその後の対応」への興味度が高いことからも、OS選択の判断材料を探す読者の姿がうかがえる。ベンダ側には、このようなユーザーの状況を踏まえた、より詳細な情報提供が望まれるだろう。

図3 今後のWindows環境を考える上で興味あるトピックス(N=406)

今後のWindows導入方針:厳しさを増すユーザーの選択眼

 次に、読者のかかわるシステムにおける、今後のWindowsサーバ導入/アップグレード方針を聞いた結果が図4だ。「最新のWindowsが発売され次第、導入/アップグレードする」との回答が13%に留まったことから、現在“新OSを出せば売れる”状況ではないといえそうだ。また「Microsoft .NETテクノロジの必要性/浸透度を見極めてから考える」「最新のWindows発売後、サービスパックが公開されてから考える」といったポイントが高い点を見ると、Windows .NET Serverが早期に出荷されたとしても、その導入には十分な検討期間が必要とされそうだ。

図4 今後のWindowsサーバ導入/アップグレード方針(N=406)

HotFix適用状況:後手に回るネットワーク・レベルの対処

 さて今回の読者調査では、Windowsのセキュリティ・ホールやバグなどを修正するHotFix(修正プログラム)の適用状況についても聞いているので、後半ではその結果を紹介しておこう。

 まず読者自身が使っているコンピュータについて、HotFixへの対処状況を聞いた結果が図5だ。「HotFixが公開されたらすぐに適用する」との回答が4割に達したのに加え、「定期的にチェックし、それまでに公開されたものをまとめて適用する」「重大なHotFixが公開されたら適用する」との回答を合計すると、全体の9割が何らかHotFix対応を意識的に進めていることが分かった。

図5 個人利用PCへのHotFix適用状況(N=406)

 次に回答者の中からWindowsネットワーク管理者を対象に、エンドユーザー用PCのHotFix管理状況をたずねたところ、「自分のコンピュータ同様、鋭意HotFixを適用する」と答えたのは該当者の約1割に留まった(図6)。それに加え「重大なHotFixが公開されたら適用する」「Service Packが公開されたら適用する」を合計した“ネットワーク・レベルのHotFix対処率”は合計56%であり、読者個人のPCに比べて対処が遅れている様子だ。

 次々に公開されるHotFixを、すべてのネットワーク・クライアントに適用するには、管理者に負荷がかかりすぎる。とはいえ、セキュリティ更新をエンドユーザー任せにすることの危険性は、昨今のウイルス/ワーム被害から明らかだ。この問題を解決するツールとして、マイクロソフトからSoftware Update Services(SUS)が提供されているが、現時点では図1でまだ利用率の高かったWindows 9x系クライアントをサポートしていないなどの問題点がある(SUSの詳細については別稿「運用:Microsoft Software Update Servicesの実力を探る」を参照)。セキュリティはOSのバージョンにかかわらずクリティカルな課題であるだけに、企業のOS利用実態に対応したサポートツールの提供が望まれる。End of Article

図6 Windows管理者のHotFix管理状況(N=190)
 
調査概要
調査方法
Windows Server Insider フォーラムからリンクした Webアンケート
調査期間
2002年7月8日〜8月7日
有効回答数
406件
 
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