第12回 読者調査結果
― 読者のNT Server移行予定は?―

@IT マーケティングサービス担当
小柴 豊
2004/07/06

 2004年の情報システムを考えるうえで、地味ながら重要な意味を持つのが、Windows NT Server 4.0(以下NT Server)のサポート終了の問題だ。1996年に発売され、サーバ市場におけるWindowsプラットフォーム躍進の立役者となったNT Serverだが、ついに2004年12月31日をもってセキュリティホットフィックスの提供も終了する予定だ。現在のユーザーは、NT Serverの移行をどのように考えているのだろうか。@IT Windows Server Insiderが実施した読者調査の結果から、その状況をレポートしよう。

サーバOSの利用状況は?

 はじめに、NT Serverが企業内でどの程度使われているのか、確認しておこう。図1のとおり、現在最も利用されているサーバOSはWindows 2000 Serverだが、NT Serverの利用率も56%に上り、第2位の座を占めている。回答者全体の過半数が利用していることを考えると、ユーザーにとってのNT Serverは、レガシー(過去の遺産)というより、いまだ有効な現役資産と位置付けられるだろう。

図1 現在利用しているサーバOS(複数回答 N=565)

現役NT Serverの用途とは?

 では現在稼働しているNT Serverは、企業内でどのように使われているのだろうか。ユーザーにその主用途を尋ねたところ、「ファイル&プリント・サーバ」および「業務アプリケーション・サーバ」としての利用率が高くなっている(図2)。逆にインターネット/イントラネット=Webシステム系の利用率は低く、NT Serverが普及した時代(クライアント/サーバ型システム全盛期)を反映した結果となっている。

図2 NT Serverの主用途(NT Server利用者 N=319)

NT Serverのリプレース予定は?

 次に、サポート期限が迫ったNT Serverのリプレース予定を聞いた結果、「2004年中にリプレース予定が決まっている」のは、ユーザー全体の19%であった(図3)。仮に「2004年中のリプレースを検討中」と答えたユーザーを合計しても、サポート切れ前にNT Serverのリプレースを実施するのは、最大で現ユーザーの半数以下にとどまる見通しだ。

 ただし図2でNT Serverを「大規模なドメイン管理」に利用しているユーザーでは、2004年中のリプレース決定・検討率が68%に達している。近年ネットワーク・セキュリティ管理が注目されていることもあり、これを機にActive Directoryへの移行を考えているNTドメイン管理者は多いようだ。

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図3 Windows NT Serverのリプレース予定(NT Server利用者 N=319)

NT Serverの代替OSは?

 続いてNT Serverのリプレースを予定/検討しているユーザーに、その代替候補となるOSを尋ねた結果が、図4だ。実績あるWindows 2000 Serverと、最新でサポート期間の長いWindows Server 2003を比べると、全体的には後者を選ぶ割合が高くなった。

 ちなみにリプレース予定時期別の後継OS検討率を見ると、2004年中の代替予定者ではWindows 2000/2003が同率(ともに53%)となったのに対し、2005年以降の代替検討者では、Windows 2003(73%)が同 2000(34%)を大きく上回った。2005年には Windows 2000 Server のメインストリーム・サポート期間が終了することもあり、来年以降のアップグレード先OSは、Windows Server 2003が主体となりそうだ。

図4 NT Serverの代替予定OS(複数回答 NT代替予定/検討者 N=218)

NT Serverリプレースを妨げるものは?

 ところで先に見た図3では、ユーザーのおよそ3分の1が「リプレースは検討されていない」と回答するなど、全体的にNT Serverの更新意欲は盛り上がりに欠けている。そこには何か阻害要因があるのだろうか。現時点でリプレースを決めかねているユーザーに、その理由を尋ねたところ、「現在の用途ではNTの機能/性能で十分だから」および「リプレースに大きな費用/工数がかかるから」の2点が、同率でトップに並んだ(図5)。

 “NTで十分”という回答は、特に現在NT Serverを「ファイル&プリント・サーバ」として利用しているユーザーから多く挙げられた。確かにこの用途のためにOSを更新するのは大仰な感じがするが、Windows Server 2003ではボリュームシャドウコピーなどの機能追加により、バックアップ/リカバリといった業務の安全性/管理効率が向上しているのも事実だ。サーバ機のリース切れ/買い替えなどのタイミングに合わせて、OS更新も一考する価値はあるだろう。

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図5 NT Serverリプレースを検討しない理由(複数回答 NT代替非検討者 N=99)

 最後に、NT Serverリプレースについて読者の自由意見を尋ねたところ、

  • ホストやオフコンの時代に比べて保証期間が短すぎる。全社を考えると常にどこかのシステムをリプレースし続けなければならない

  • OSのバージョンアップが早すぎる。企業の減価償却とマッチしていない。企業統治の観点からも、ぜひ見直してほしい

など“サポート期間/バージョンアップサイクルの短さ”や、

  • 現在稼働しているアプリケーションと監視ツールなどが正常に動作するか。OS以外のソフトウェアをバージョンアップする際、影響範囲調査も含めて工数が大きくなる恐れがある

  • 次期OSはWindows Server 2003で検討しているが、現在Windows NT上で動いている業務アプリケーションがきちんと動くかの検証テストなどが大変

といった“リプレースのための調査/検証工数”への不満を訴える声が、多数寄せられた。

 こうした声は世界中のマイクロソフト・ユーザーに共通していたものと見え、2004年5月、同社製品のサポート期間を最低10年に延長する発表が行われた。しかし残念ながら、サポート延長対象製品のリストには、NT Serverは含まれていない。日本に数多く残るNT Serverユーザーが、安心/納得してリプレース計画を進められるためにも、ほかの製品同様のサポート延長が望まれるところだ。End of Article

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調査概要
調査方法
Windows Server InsiderフォーラムからリンクしたWebアンケート
調査期間
2004年3月22日〜4月16日
有効回答数
565件
 
 読者調査結果


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