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VistaのReadyBoostの動作状態をモニタする

解説をスキップして操作方法を読む

デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2008/10/31
対象OS
Windows Vista
ReadyBoostメモリの状態をモニタするには、パフォーマンス・モニタを利用する。
モニタするカウンタのセットを保存しておくと、次回から素早くモニタできる。

解説

連載Vistaの地平「カーネルの改良による性能とスケーラビリティの向上」

 Windows VistaにはReadyBoostと呼ばれる仕組みが用意されている。USBメモリなどにスワップアウトするメモリ・ページの内容を保存しておくことにより、ハードディスクにアクセスするよりも高速にメモリへロードし、プログラムの実行速度を向上させるという技術だ。詳細については関連記事を参照していただきたい。

 Windows VistaシステムにReadyBoost用のUSBメモリをインストールしておくと、システムの起動時にディスクからUSBメモリのへの転送(準備)が行われるため、しばらくディスクへ激しくアクセスすることになる。また新しいプログラムをロードしたり、利用したりすると、やはりReadyBoostメモリへのアクセスが発生する。このアクセスが発生していると、システムの応答が遅くなったり、パフォーマンスが低下したりする(ような気がする)ので、(いつ終わるのかなどが)気になるユーザーもいるだろう。

 また、ReadyBoostによって本当に何らかの効果があるのか(ReadyBoost用のメモリからの読み出しが多いのか)も気になるところだろう。

 このような場合は、ReadyBoostメモリのアクセス・パターンをしばらくモニタしてみるとよい。Windows Vistaのパフォーマンス・モニタを使うと、どのくらいUSBメモリが使われているのか(どこまで書き込みが完了したか)、どの程度の読み書きがUSBメモリから行われているのか(これが多いほど、ディスクへのアクセスが抑制され、システムのパフォーマンスが向上していると考えられる)、などが分かる。本TIPSではその方法について紹介する。

操作方法

 ReadyBoost用のメモリの動作状態をモニタするには、パフォーマンス・モニタを利用する。まず[スタート]メニューの[管理ツール]−[信頼性とパフォーマンス モニタ]を起動する([コントロール パネル]の[管理ツール]−[信頼性とパフォーマンス モニタ]でもよい)。そして左側のツリーから[信頼性とパフォーマンス]−[モニタ ツール]−[信頼性モニタ]を選択する。するとパフォーマンス・モニタのグラフが表示される。

パフォーマンス・モニタの起動
ReadyBoostメモリの状態をモニタするにはパフォーマンス・モニタを利用し、ReadyBoost用のカウンタを追加する。
[パフォーマンス モニタ]を選択する。すると右側にパフォーマンス・モニタのグラフが表示される。
これをクリックして(もしくは[Ctrl]+[I]キーを押す)、新しいカウンタを追加する。
デフォルトではCPUの使用率(タスク・マネージャで表示されるものと同じ)のグラフが表示されている。

 次に、パフォーマンスのグラフの上部にあるツール・バーにある緑色の[+]マークをクリックする(もしくは[Ctrl]+[I]キーを押す)。すると追加するカウンタの選択画面が表示されるので、[ReadyBoost キャッシュ]を選択して追加する。

ReadyBoostカウンタの追加
ReadyBoostのモニタ用カウンタを追加する。
[ReadyBoostキャッシュ]を選択する。
この下向きのマークをクリックすると、追加するカウンタを個別に選択できるが、通常は全部まとめて追加しておけばよいだろう。
これをクリックして追加する。
追加されたカウンタはここに表示される。
これをオンにすると、カウンタの説明文が表示される。
カウンタの説明。
これをクリックすると、パフォーマンス・モニタの画面に追加される。

 カウンタを追加すると、デフォルトでは折れ線グラフ形式で表示されるが、このカウンタの場合は単なる数値形式のレポートの方が見やすいだろう。グラフの表示形式を[レポート]に変更しておく。

ReadyBoost関連のカウンタの例
ここでは数値形式で表示させている。数値は1秒ごとに更新されるので、しばらく見ていると、その動作状態が分かる。
これをクリックして表示形式を変更する。ここでは[レポート]形式で表示させている。
ReadyBoostキャッシュに保存されているページ容量の総サイズ。このシステムでは1GbytesのUSBメモリをReadyBoost用に割り当てているが、データは圧縮されているので、実際には1Gbytes以上のメモリ・ページが保存されている。
圧縮されたページのサイズ。圧縮されているページ数と圧縮されていないページ数の比率(圧縮率ではない)。
ReadyBoostメモリにヒットして、(ディスクではなく)ReadyBoostメモリから読み出されたデータの1秒当たりのサイズ。
読み書きされたデータの1秒当たりのサイズ。

 それぞれのカウンタの値が何を意味しているかについては、先ほどのカウンタの追加画面で表示されるカウンタの説明文を参照していただきたいが、主要なものをまとめると次のようになる。システム起動直後はディスクからReadyBoostメモリへコピーが行われているが、その間は「Bytes Cached」の値がだんだん増えていくのが分かるだろう。そしていっぱいになればアクセスはほぼ停止し(何回かモニタしていれば、どのくらい使われるかが分かる)、後はプログラムの起動などに応じてReadyBoostメモリへのアクセスが行われるようになる。ヒット読み出し速度が高く、それが長く続くほど、効率よくReadyBoostが機能していることになる。

項目 意味
Bytes cached ReadyBoostメモリ内に保存されている、メモリ・ページ・サイズの総量(データはページという単位サイズに分けて格納されている)。一部のデータは圧縮されて保存されているので、USBメモリの実サイズを超えているのが普通である
Cache reads/sec ReadyBoostメモリから読み出し速度
Compression Ratio ReadyBoostメモリ内の総サイズ÷非圧縮のデータ・サイズ
Hit read bytes/sec ReadyBoostメモリにヒットして、(ディスクではなく)ReadyBoostメモリから読み出されたデータの速度。大きい数値が長く続くほど、効率よくReadyBoostキャッシュが効いていることになる
Total read bytes/sec ReadyBoostメモリからの読み出し速度
Total write bytes/sec ReadyBoostメモリへの書き込み速度
主要なReadyBoostカウンタの値
詳細はカウンタの追加画面に表示される説明文を参照していただきたい。

カウンタの設定を保存する

 一度追加したカウンタの組(設定)を保存しておくと、次回からは簡単にカウンタの値を表示できるようになる。このためには、カウンタを表示した状態で、[ファイル]メニューの[名前を付けて保存]を実行すればよい。これを例えば「ReadyBoostカウンタ.msc」という名前で保存しておけば、この.mscファイルをダブルクリックしただけで、ReadyBoostカウンタが表示されるようになる。End of Article

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