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MDACのバージョン調査ツールを利用する

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デジタルアドバンテージ
2004/01/31
 
対象OS
Windows 9x
Windows Me
Windows NT
Windows XP Professional
Windows 2000 Professional
Windows 2000 Server
Windows Server 2003
MDACは、さまざまな種類のデータベースにアクセスするための、汎用的で統一的なインターフェイスの総称である。
MDACには多くのバージョンが存在し、さまざまな製品とともに出荷されているので、システムにインストールされているMDACのバージョンも多岐に渡る。
MDACのバージョンを調査するにはComponent Checkerツールが利用できる。
 
解説

 MDAC(Microsoft Data Access Components)は、アプリケーション・プログラムからデータベースにアクセスするために用意された、汎用的で標準的なインターフェイスの総称である。Windows OS環境において、アプリケーションがデータベースへアクセスするためのインターフェイスとしては、過去にさまざまなものが開発され、提供されてきた。代表的なものとしては、ODBC(Open Database Connectivity)やADO(ActiveX Data Object)、OLE DBなどがある。これらを統合し、データベースの種類やアクセスするテクノロジに依存しない、汎用的なインターフェイスを提供するものである。MDACはOSだけでなく、Service Packや各種のアプリケーションなどとも同時に出荷され、システムにインストールされるので、ユーザーや管理者が知らないうちに、さまざまなバージョンのMDACがシステムにインストールされている可能性がある。

 通常はMDACの細かいバージョンを意識する必要はない。だが、MDAC関係のセキュリティ・ホールを防ぐための修正プログラムを適用するには、現在どのバージョンがインストールされているかを正しく把握する必要がある。いままでにもMDAC関連のセキュリティ・ホールは何度も見つかっており、そのたびに修正プログラムが提供されている。だがMDACのバージョンによって適用するパッチ・プログラムが異なっていたり、古い特定のバージョンに対しては修正プログラムが用意されていない場合があったりするので(その場合はまず新しいMDACにアップグレードする)、MDACのバージョンを確認するのは重要な作業である。

 しかしMDACをインストールしても、[コントロール パネル]の[プログラムの追加と削除]の一覧には表示されず(アンインストールできないので、ここには表示されない)、ユーザーが簡単にバージョンをチェックできるような標準ツールも用意されていない。MDACのバージョンを正確に調査するには、レジストリに格納されている情報だけではなく、システムにインストールされているMDAC関連のDLLファイルのバージョンを直接調べる必要がある(「TIPS―バイナリ・ファイルのバージョンを調べる」参照)。

 だがこれでは非常に面倒で、煩雑である。そこで、MDACのバージョンを簡単に調査するためのツールがマイクロソフトから提供されている。本TIPSではこのツールについて解説する。


操作方法

 MDACのバージョンを調査するツールは、単に「Component Checker」という名称で呼ばれている。

 このツールは、日本語版MDACのバージョンを調査するためにも利用できるが、本来は英語版のソフトウェアである。そのため、英語版で利用できるMDACのアンインストール機能などは利用できない。だが、バージョンを調査するだけなら日本語OS環境でも問題なく利用できる。

 このComponent Checkerを利用するには、以下のダウンロード・ページを開き、cc_pkg.exeというインストール・プログラムを入手する。このチェック・プログラムはMDACのバージョンとともに更新されているので(MDACのファイルとそのバージョンが書き込まれたXMLファイルが含まれている)、常に最新のツールをダウンロードして実行していただきたい。2004年1月現在では、MDAC 2.8までのバージョンを判定することができる。

 ダウンロードしたcc_pkg.exeを実行すると、インストールするフォルダを入力するダイアログが表示される。デフォルトでは、C:\ComponentCheckerというフォルダにインストールされる。Component Checkerツールをインストールしても、[スタート]メニューには何も表示されないので、実行するには、インストールしたフォルダの中にあるcc.exeというファイルをダブルクリックするか、[スタート]メニューの[ファイル名を指定して実行]ダイアログで、「C:\ComponentChecker\cc.exe」などと指定する。

 Component Checkerを実行すると、次のような画面が表示される。

Component Checkerの実行
Component Checkerを実行すると、このようなGUI画面が表示される。このまま[OK]をクリックすると、システムを解析して、MDACのバージョンが表示される。
  デフォルトの選択。システムを解析して、該当するMDACのバージョンを表示する。
  指定されたバージョンのファイルやレジストリ・エントリが存在するかどうかの判定。
  バージョンの判定は行わず、ファイルやレジストリに記録されているバージョンを表示するだけという指定。
  このボタンをクリックしても、この解析の選択ダイアログが表示される。

 このまま[OK]をクリックすると、次のように該当するMDACのバージョンが表示される。

判定されたMDACのバージョン
この例では、このMDACのバージョン2.8(RTM版)であると判定されている。[はい]をクリックすると、もう一度、解析オプションの選択ダイアログが表示され、再実行することができる。
  判定されたバージョン。

 この例では、「MDAC 2.8 RTM」であると判定されている(RTMは最終製品版であるという意味)。このツールで判定可能なバージョンは次のとおりである。それぞれのバージョンごとに、どのようなファイルやレジストリ・エントリが存在するかという情報がXMLデータベース・ファイルとして用意されており、このツールでは、それらのXMLファイルを参照しながらバージョンを判定している。

バージョン
MDAC 2.1 SP2
MDAC 2.5
MDAC 2.5 SP1
MDAC 2.5 SP2
MDAC 2.5 SP3
MDAC 2.6 RTM
MDAC 2.6 SP1
MDAC 2.6 SP2
MDAC 2.6 SP2 Refresh
MDAC 2.7 RTM
MDAC 2.7 Refresh
MDAC 2.7 SP1
MDAC 2.7 SP1 Refresh
MDAC 2.7 SP1 on Windows XP SP1
MDAC 2.8 RTM
Component Checkerツールで判定可能なMDACバージョン
これらのバージョンを判定することができる。RTMは正式に出荷されたバージョン、SPはRTM版に対する修正Service Pack版、RefreshはSPに含まれていたささいなバグなどを修正した、再リリース・バージョン。このツールは新しいMDACが出荷されると更新されるので、常に最新のバージョンを入手して、利用していただきたい。ちなみにWindows 2000以降のOSであればMDACのバージョンは2.5以降なので、Component Checkerツールで判定可能だ。

 なおこのツールでは、ツールを起動したシステム(ローカルのシステム)しか判定することができない。ほかのシステムのMDACバージョンを調査するには、そのマシンにもComponent Checkerツールをインストールするか、ツール・フォルダ全体をコピーして実行するか(個々のマシン1つ1つにインストールする必要はない)、ネットワーク経由でインストールしたフォルダ(デフォルトではC:\ComponentChecker)を共有して、その中にあるcc.exeを実行すればよい。End of Article

  関連リンク
  ISA Server 2000の脆弱性により、コンピュータの完全な制御が奪われてしまう危険性、ほか(MS04-001/MS04-002/MS04-003)(Windows Server Insider)
  MDAC セキュリティ修正モジュールの適用に関連する補足事項(サポート技術情報 835173)
  MDAC のバージョンを確認する方法(サポート技術情報 301202)
  MDAC 2.6 Component Checker を使用すると、エラー メッセージが表示されることがある(サポート技術情報 294374)
  [Component Checker] 問題の診断と MDAC インストール環境の再構成(サポート技術情報 307255)
  [MS02-040]MDAC 機能の未チェックのバッファにより、システムが侵害される(TechNetセキュリティ情報)
  [MS02-065]Microsoft Data Access Components のバッファ オーバーランにより、コードが実行される(TechNetセキュリティ情報)
  [MS03-033]MDAC 機能の未チェックのバッファにより、システムが侵害される(TechNetセキュリティ情報)
  [MS04-003]MDAC 機能のバッファ オーバーランにより、コードが実行される(TechNetセキュリティ情報)
  [MS06-014]Microsoft Data Access Components (MDAC) の機能の脆弱性により、コードが実行される可能性がある(TechNetセキュリティ情報)
  [MS07-009]Microsoft Data Access Components の脆弱性により、リモートでコードが実行される(TechNetセキュリティ情報)
     
「Windows TIPS」


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