[System Environment] | |||||||||||
IIS移行ツールiismt.exeでIISの設定/環境を移行させる
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解説 |
Windows 2000やWindows XPのIIS 5.xやWindows Server 2003のIIS 6.0から、新規に導入/セットアップしたWindows Server 2003のIIS 6.0へ環境(Webサイトの設定やそのサイトの管理下にあるファイル、IISのメタベースなど)を移行する場合、通常はWebサイト内のファイルなどをコピーした後、IISの管理ツールで新しいサイトを作成、設定する。さらに必要なら、ファイルのアクセス権やサイトのプロパティなどの設定、アプリケーション・プールの設定など、行うべき作業項目は少なくない。
このような移行作業は頻繁に行うものではないので、さまざまな作業を漏れなく行うには慣れが必要である。可能ならば、移行作業を支援してくれるツールを使って、なるべく自動的に移行作業を済ませたい。本TIPSでは、この目的に利用できるiismt.exeという移行ツールについて簡単に解説する。
iismt.exeツールは、IIS 6.0のリソースキットに含まれる、IIS 6.0用の環境移行サポート・ツールである。既存のIIS環境から、Windows Server 2003のIIS 6.0への移行をサポートする。このツールを新しいWindows Server 2003+IIS 6.0上で動作させることにより、既存のIISからWebサイトの設定などを移行させることができる。
移行元IISバージョン |
IIS 4.0(Windows NT Server) |
IIS 5.0(Windows 2000 Server) |
IIS 6.0(Windows Server 2003) |
移行先IISバージョン |
IIS 6.0(Windows Server 2003) |
iismt.exeによる移行がサポートされているIISのバージョン |
既存のIIS環境から、Windows Server 2003のIIS 6.0上への移行がサポートされている。Windows Server 2003以外では利用できない。 |
iismt.exeツールは、もともとは「IIS 6.0 Resource Kit」に含まれているツールである。
- IIS 6.0 Resource Kit Tools[英語](マイクロソフト ダウンロード センター)
だがこの中に含まれているiismt Ver.1.0にはいくらか問題があり、現在では、更新されたiismt Ver.1.1が公開されている。
- Internet Information Services 6.0 Migration Tool Ver.1.1[英語](マイクロソフト ダウンロード センター)
このツール自体は英語版しか用意されていないが、日本語OS環境上でも利用できる。上記のページからツールをダウンロード後、ダブルクリックしてインストールしていただきたい。このツールは、デフォルトではC:\Program Files\IIS Resources\IIS 6.0 Migration Tool 1.1フォルダにインストールされるが、この中にドキュメント(IIS6MigrationToolUserGuide.docファイル)が用意されているので、一通り目を通しておくとよいだろう。
操作方法 |
iismt.exeツールは、コマンド・プロンプト上で利用するツールである。コマンド・プロンプトを開き、ツールがインストールされたフォルダへ移動後、単にiismtを引数なしで(もしくは「iismt /?」として)実行すると、簡単な説明が表示される。
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最後の使用例にあるとおり、ツールの使い方はそう難しくない。移行元のIISサーバのコンピュータ名(もしくはIPアドレス)とWebサイト名、サーバに接続するためのユーザー名やパスワード、移行先(コピー先)のフォルダ名などを指定しておくだけである。
このツールでは、指定されたサーバに対して、Windows OSの管理共有(C$やD$など、ドライブのルート管理共有)を利用して接続し、移行元のサーバからIISの設定情報やメタベース、ファイル群などをコピーする。そのため、ツールの実行に当たっては、ローカル(移行先)のサーバ上にIIS 6.0をインストールして起動しておき、さらに必要なら移行先のファイルをコピーするフォルダを用意しておく。ドライブの構成などは移行元と同じになっていると移行作業が簡単に済むが(フォルダのリダイレクトなどが以降後もそのまま利用できるため)、異なっている場合は、後でIISの管理ツールで再設定/確認する。
iismt.exeを実行すると、指定されたサーバの管理共有に接続し、必要なファイルをコピーする。このとき、ローカルのコンピュータにログオンしたときのユーザー・アカウントとパスワードが利用されるが、/userや/passwordオプションを使って、別の管理者アカウントで接続することもできる。
iismt.exeを利用するためには、最低でも、接続先(移行元)のサーバ名(もしくはIPアドレス)と、移行させたいWebサイト名を指定する。同時に1つのWebサイトしか移行できないので、複数のWebサイトを移行させたければ、繰り返し実行していただきたい。サイトを移行させると、デフォルトでは、移行元と同じ名前(場所)のフォルダにファイルがコピーされるが、指定すれば別のドライブやフォルダにもコピーさせることができる。
以下は、旧サーバ「org-server01」のIISから、「atmarkit」という名称のWebサイトを、「c:\wmpub2\atmarkit」フォルダ以下に移行(コピー)させている。
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iismt.exeツールを実行すると、以下のような作業が行われる。
- IISメタベース/構成ファイルのバックアップ/コピー
- Webサイト・コンテンツのコピー(ルート・フォルダのみ)
- ファイルのアクセス権(ACL)の移行
- アプリケーション・プールの移行
- ログ・ファイルの記録
移行作業が正常に終了すると、新しいWebサイトが作成されているはずなので(ポート番号の重複といったエラーがなければ、すでにサイトは実行開始されているはずである)、コンテンツやアプリケーション・プールの設定、仮想ディレクトリのリンク先などを確認し、必要なら再設定作業を行っていただきたい。ただし手元で実行した限り、Webサイト内に非常に多くのファイルが存在すると、一部しかコピーされていないことがあった。ドキュメントにははっきりとは書かれていないが、フォルダの構造と、ルート・フォルダ内のファイルのみがコピーされるのが仕様のようである。つまりフォルダのツリー構造は移行先にそのまま再現されるが、フォルダ内の各ファイルは、ルート以外はコピーされないようである(実際には、一部のサブフォルダの内容もコピーされているようだが、常にコピーされるかどうか、どれがコピーされて、どれがコピーされないかは、不明である)。内容を確認後、必要なら手動でファイルをコピーしたり、バックアップ/リストアしたりしていただきたい。
これ以外にも、移行作業後にいくつか確認、再設定しなければならない項目があるが(例:コンポーネントの登録、DLLファイルのコピー、ODBCの設定、アプリケーション固有のレジストリ設定、連携アプリケーションのインストールや登録、ほか)、詳細については、iismt.exeツールに付属のドキュメント(iismt.exeをインストールしたフォルダに置かれている)を参照していただきたい。
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このリストは、デジタルアドバンテージが開発した自動関連記事探索システム Jigsaw(ジグソー) により自動抽出したものです。
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