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電子透かし (digital watermark/electronic watermark)

【デンシ・スカシ】

最終更新日: 2001/04/20

 音声や画像などのデジタル・データの中に、著作物に関する情報やその他の情報(所有者や使用許可者、流通経路の情報など)を埋め込む技術。無断引用や改変など、そのデータが著作権者に無断で使用されたとしても、オリジナル・データに埋め込まれた出所情報や著作者情報などを取り出すことができるので、著作権保護管理のために使用することができる。現在では、電子透かしを埋め込んだ写真データなどの販売も行われている。

 音声や画像などのデータは、その一部の値がほんのわずかだけ違っていたとしても、人間の感覚ではほとんど認知することはできない。これを利用して、著作者名や著作権表示などのデータを符号化して、オリジナルのデータ中に電子的に、人間には分かりにくい形で埋め込むことができる。電子透かしでは、人間の聴覚や視覚の生理学的な特性を考慮して、符号化したデータをオリジナル・データの全体に渡ってまんべんなく、その影響が非常に少なくなるように埋め込んでいる。データが埋め込まれると、わずかだが音質や画質が劣化するが、詳細に聞き比べたり、見比べたりしない限り、ほとんど気づかれることはない。データの埋め込みや取り出しは、音声/画像処理アプリケーションのプラグインなどとして提供されているツールを使って行うのが一般的である。

 符号化したデータは、オリジナル・データの全体に渡って繰り返し記録されているので、オリジナル・データの一部だけを取り出して使用しても、ほとんどの場合は埋め込んだデータを取り出すことができる。また、音声や画像に修正や変更(レタッチや変形、拡大/縮小、フィルタ処理など)を加えたり、ノイズに埋もれたとしても、元のデータを取り出せるように、冗長化して書き込まれている。さらに、いったんアナログ信号に変換されたものを再度デジタル化しても取り出せるし、例えば印刷物になった状態でも、スキャナなどでスキャンすれば元のデータを取り出すこともできる。ただし修正や変更、ノイズの度合いなどが強くなると、埋め込まれたデータが読み出せなくなる可能性が高くなるので、より強力に(より多くの)情報を符号化して埋め込む必要があるが、その分、品質の劣化の度合いも大きくなるので、目的に応じて埋め込む度合いを決める必要がある。

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