インスタントメッセージング (instant messaging)
別名
・IM (Instant Messaging) 【アイ・エム】
現在インターネットに接続しているユーザーを一覧し、その中の任意のユーザーとリアルタイムにチャット(会話)できるようにしたアプリケーションの総称。またはこうしたサービスや、サービスを実現するためのしくみを指す場合もある。
インターネットを介した個人対個人のコミュニケーション方法としては、電子メールが代表的である。この電子メールでは、送信側がメッセージを送ると、それがインターネットに接続されたメールサーバーに保持され、受信側のユーザーがこれにアクセスしてメッセージを取り出す。このため電子メールでは、送信側のユーザーも、受信側のユーザーも、自分の都合のよい時間にメッセージを送信したり、受信したりできるという長所がある。一方で電子メールは、受信側のユーザーがメールサーバからメッセージを取り出してくれなければ、メッセージが相手に届かない。このため緊急の連絡には向かないし、リアルタイムで会話することもできない。
このような電子メールに対し、チャット(chat)と呼ばれる通信方法があり、インターネットがこれほど普及する以前のパソコン通信の時代から利用されていた。このチャットでは、チャットを管理するサーバが現在システムに参加しているユーザーを把握し、それらのユーザー同士がリアルタイムでメッセージをやり取りできるようにする。チャットに参加するユーザーは、まずチャットサーバにアクセスして、現在の参加者を一覧し、会話を行いたい相手がいたら、会話に参加するというしくみである。チャットシステムの管理方法は、サーバシステムによってもまちまちだが、一般的には「会議室」などと呼ばれるグループがあり、ここに数人のユーザーがアクセスしてグループメンバの間でメッセージを交換するようになっていた。
このパソコン通信におけるチャットと同じリアルタイムのメッセージ交換を、インターネット上で行うことも可能である。インターネット上の代表的なチャットシステムの1つとして広く利用されていたものにICQがある。このシステムを開発したICQ社は、1999年にアメリカ最大のインターネット プロバイダであるAOL(America Online)に買収され、その後ICQシステムは、チャットの機能を土台として、AOLの情報サービスを提供するためのシステムとしてさまざまな機能が追加され、新たに生まれ変わった。この情報サービスにアクセスするためのクライアントはAIM(AOL Instant Messenger)と呼ばれた。
AOLに買収された時点で、ICQのユーザーは2800万人とも言われていたが、AOLはこのAIMを、同じく買収したNetscape社のNetscape Navigatorに無償添付することにより、ユーザー数を一気に4000万人に拡大したと言われる。AIMは、ICQをベースとするチャット機能だけでなく、株価情報をリアルタイムで入手できる機能などが追加された。AIMとサーバーとの通信プロトコルは独自仕様で、基本的にAIMユーザーと会話するには、AIMを使用しなければならない。
このAIMによって、インスタントメッセージングが広く普及しだしたことから、Microsoftが運営するプロバイダのMSNでは、AIMと同等の機能を持ったインスタントメッセージング・ソフトウェアとして、MSN Messengerを開発、無償公開した。このMSN Messengerで注目されたのは、MSN Messengerクライアント同士が通信できることはもちろん、AIMとの互換機能が組み込まれ、AIMユーザーとも会話できるようにされたことである。こうしてMSNは、MSN Messenger独自の小さなコミュニティから出発するのではなく、4000万ともいわれるAIMユーザーをも取り込もうとした。
これに対しAOLは、AIMのバージョンを更新すると同時に、一部のプロトコルを変更し、MSN Messengerからアクセスできないように対抗した。「インスタントメッセージング戦争」の始まりである。Microsoftは、「より多くの人が利用できるサービスこそ求められるもの」だとして徹底的に争う構えをみせている。
AIMやMSN Messengerとは別に、主要なディレクトリサービスの1つであるYahoo!は、機能的には両者と同様のインスタントメッセージング機能を提供するYahoo!ページャーを無償公開している(ただしYahoo!ページャーはAIMやMSN Messengerとの互換性はない)。
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