MNP (Microcom Networking Protocol)
【エム・エヌ・ピー】
米Microcom社が開発したモデム用の通信規格。モデムの世界標準規格としては、ITUによって制定された規格(V.32など)があるが、これらと並行する形で、米Microcom社もデータ転送方法やエラー検出/エラー訂正、データ圧縮用プロトコルを策定した。基本的にMNPはMicrocom社の独占規格だったが、一部は一般に公開され、誰でもこれに準拠したモデムを製造できるようになったことから、対応機能をオプションの1つとして組み込むメーカーが広がった。
MNP規格には、MNP1〜MNP10(MNPクラス1〜MNPクラス10と呼ばれることもある)まであり、各クラスで、それぞれ次のようなプロトコルを規定している。
■MNP1(MNPクラス1)
半二重の非同期データ通信プロトコル。現在は使われていない。
■MNP2(MNPクラス2)
全二重非同期データ通信プロトコル。このMNP2では、受信側が受信データをそのまま送信側に送り返すことで、データが正しく送受信されていることを確認する。
■MNP3(MNPクラス3)
MNP2を改良し、同期通信を可能にした全二重同期データ通信プロトコル。64bytesブロックでHDLCフレームを使用する。スタートビット、ストップビットを省略し、データの転送効率を向上させた。
■MNP4(MNPクラス4)
エラー訂正、データ圧縮用プロトコル。フレーム単位にエラーチェックを行う。最大フレームサイズは256bytesまで拡大された。ヘッダー情報の短縮や、重複する制御ビットを省略することで、最大で20%データ転送効率を向上させる。
■MNP5(MNPクラス5)
データ圧縮プロトコル。データを最大で1/2に圧縮できる。
■MNP6(MNPクラス6)
ITUが規定したV.22bis(全二重同期2400bps通信プロトコル)から通信を開始し、回線状態をモニタしながら、可能ならより高速なV.29(最高9600bpsでの通信が可能な全二重通信プロトコル)に変調方式を変化できるようにしたプロトコル。
■MNP7(MNPクラス7)
データ圧縮プロトコル。ハフマン符号化により、データを最大で1/3に圧縮できる。
■MNP8(MNPクラス8)
未定義。
■MNP9(MNPクラス9)
さまざまなリンクをサポートし、さらに性能を向上させたプロトコル。エラーが発生した部分だけを再送できるように、エラーからの復帰処理を効率的に行えるようにした。
■MNP10(MNPクラス10)
ノイズなどが多く、通話品質があまり優れない移動体通話や国際電話などの回線を使用して、効率よくデータ交換を行えるようにしたプロトコル。
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