ビジネスソフト ヒント×テクニック
マーケティング


セミナーアンケートの結果が、偶然かどうか判断するには?

ビーコミュニケーション
加藤 恭子

2006/8/22

セミナー満足度を測るため、アンケートを実施したところ、「良かった」がわずかに多かった。これでセミナーは成功と結論を出してよいのだろうか? それとも偶然なのだろうか?
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 IT業界をはじめ各種業界ではセミナーなどのイベントを催し、見込み客を募るという手法が用いられています。

 マーケティング担当者としては、自分が企画・運営したセミナーが参加者に満足してもらっているかどうか、非常に気になるところです。そこで来場者にアンケートを取るということがよく行われます。例えば、都内ホテルの会議室を借りて、ちょっとしたセミナーを実施したとしましょう。参加者111名のうち、アンケートで「満足」「とても満足」と答えたのが65名、「不満」「とても不満」と答えたのが46名だったとします。

 「過半数の65人もの参加者が満足したので、満足度の高いセミナーでした」と上司に報告したところ、「こんなの、誤差だよ。65名と46名じゃほとんど差がないもの」といわれてしまいました。さて、これは単なる偶然で満足度に差が出たのでしょうか? それとも明らかに満足度の高いセミナーだったのでしょうか?

 そんな判断をしたいときに使えるツールが、「JavaScript-STAR」です。

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 今回のようなケースの場合は、「直接確率計算1×2」を用います。

分析手順

 画面上の観測値1、2の枠内にそれぞれ46、65と入力します。そして、下にある[計算!]というボタンを押すと以下の結果が表示されます。

片側検定 : p=0.0435 * (p<.05)

画面1

 Pというのは、Probabilityの略です。この結果が示しているのは、偶然に起こる確率(偶然確率)はたったの4.3%ということ。111名のうち、65名が(本当はどちらともいえないのだが)たまたま「満足」と答える確率は4.35%しかないということです。つまり、満足した人が多いのは単なる偶然ではなく、何らかの必然的理由があってのことだと判断できるというわけです。

 実は私もつい最近まで、この方法を知りませんでした。お世話になっているある大学教授に教えていただいた方法です。ついつい、直接的な参加人数だけで「このセミナー、皆が満足していたみたいだ」「こっちはダメだ」などと判断してしまいますが、この方法を使えば合理的な判断が下せます。

 ちなみに不満足が48名、満足が57名だった場合は、偶然確率が21.75%もあります。この手のセミナーを5回やったら、うち1回はこのくらいの差が出る可能性があるわけです。それなのに「ああ、明らかに満足度が高かった」と判断してしまうのは危険だといえるわけです。

筆者プロフィール
加藤 恭子(かとう きょうこ)
横浜市大卒。青山学院大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。アスキー、ソフトバンクなどを経て、ナスダック上場外資系企業のPR/マーケティングマネジャーを歴任。また雑誌などでIT系、資格系の執筆を行う(日経BP社、ダイヤモンド社、ソフトバンクパブリッシング、翔泳社など)。現在、IT系企業、ベンチャー企業のマーコム・PRコンサルティング、テクニカルライティングの仕事を行う「ビーコミュニケーション」という屋号で活動。

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