Q.4

プライベートクラウドって何?


(2) ビジネス部門のユーザー1人1人のニーズに合わせてカスタマイズされたクラウド

不正解

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 クラウドコンピューティングは、多くの人にさまざまなアプリケーションを安価に届けることができるコンピューティングパラダイムです。しかし、企業システムなどでは独自性や機密性が高く、外部に委託することがためらわれるソフトウェアやデータもあるはずです。

 そうしたユーザーは自社(委託を含む)でシステムを維持・管理する道を選ぶことになでしょう。とはいえ、完全に従来型の仕組みのままではコストや即応性の面で競合他社に後れをとることになるかもしれません。そこで自社専用のシステムにクラウド技術を適用して構築・運用する利用形態が提案されています。これが「プライベートクラウド」(「社内クラウド」「インターナルクラウド」とも)です。これはグーグルやマイクロソフトなどのベンダが提供するクラウドサービスを意味する「パブリッククラウド」と対になる言葉です。

 プライベートクラウドは、「保有から利用へ」というクラウドコンピューティングの本義に照らせば逆行するコンセプトのようにも思えますが、プライベートクラウドが想定しているのは一定規模以上の企業がグループ会社などを含めて、全社的にシステムを集約するといったものです。システム集約という面を考慮すれば、同一の流れであることが理解できるでしょう。

 一般に大企業は独自のビジネスモデルとそれを実現する複雑なビジネスプロセスを有しており、そのコアとなる部分がアプリケーションソフトやデータになっている場合があります。これは企業競争力の源泉であり、おいそれとは外部ベンダ任せにできません。これがプライベートクラウドを選択する理由です。

 セキュリティの面からプライベートクラウドを選択する場合もあるでしょう。単に委託先となるクラウド事業者の信用度の問題だけではなく、カントリーリスクなども考えられます。例えば、グローバルなクラウドサービス(パブリッククラウド)を利用すると、そのデータはおそらく日本以外の場所に保存されることになるはずですが、データセンターのある国の法律によってはデータに関する権利に制限が掛けられるといったリスクもあり得えます。

 プライベートクラウドとパブリッククラウドは相互補完するものと考えられています。大まかな使い分けとしては、独自性や機密性が高い業務プロセス(=アプリケーション)やデータはプライベートクラウド、ありふれた業務プロセスならばパブリッククラウドを使うということになるでしょう。どんなイノベーティブな業務プロセスも市場で成功すれば追随者が現れ、やがて陳腐化し、ありふれたプロセスになります。そうなればSaaS事業者が現れ、パブリッククラウドとして提供されることなるので、その段階で当該アプリケーションの自社運用を止め、パブリッククラウドに載り換える――というハイブリッドモデルが予想されています。

 プライベートクラウドは「自社で構築・運用するもの」と説明しましたが、これは必ずしもサーバやネットワークなどを自社保有することを意味しません。外部べンタが提供するHaaSやPaaSの上に自社主導で独自システムを構築することをプライベートクラウドと呼ぶこともあります。日本国内のデータセンター事業者からリソースを借り受け、クラウドを運用するスタイルも一定の需要がありそうです。

 プライベート/パブリックの違いを厳密化することにあまり意味はありませんが、考え方の方向性は理解しておくとよいでしょう。

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