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クラウドサービスの進展でIT業界はどう変わる? |
| クラウドに合わせて、多種多様なサーバマシンが販売される |
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クラウド化とは、コンピュータ・ハードウェアとソフトウェの“サービス化”にほかなりません。いままでパソコンショップの店頭に買いに行ったり、トラックで運んでもらっていたりしたものが、ボタン1つで使えるようになるわけです。従って上流から下流に至るまで流通経路が変わってきます。
クラウドコンピューティングを説明する際、よく用いられるのは昔の電力供給です。19世紀の終わりから20世紀の初め、工業化が進んでいた米国では産業界で電気の使用も始まっていました。しかし、このころは送電線なども整備されておらず、工場は川沿いに建てられ、それぞれに水力発電の装置が用意されていたといいます。つまり、各会社が発電設備を独自に保有していたのです。やがて、電力は大規模事業者が集中的に発電して、利用者に供給するやり方へと移行しました。こうなると発電機を作っていた事業者も売り先や装置のタイプを変えなければなりません。
従来、クラウドコンピューティングになったからといってコンピュータリソースとしてのハードウェアが消えてなくなるわけではありません。エンドユーザーの目から隠ぺいされる(見えなくなる)ことにはなりますが、クラウド事業者が保有・管理しているわけです。
しかし、クラウド事業者が求めるコンピュータ・ハードウェアが従来のような形をしているとは限りません。これまでデータセンター事業者は市販のサーバマシンを利用できる施設として作られてきましたが、クラウドサービスを提供する事業者にとっては市販品の形をしている必要はありません。米グーグルや米マイクロソフトなどの大手クラウド事業者は現在、コンテナ型といわれる大型の筐体を使っています。これが今後はどのような形に進化するかは予測できませんが、クラウド事業者にとってハードウェアは効率的に運用できれば形にはこだわらないコモディティ品なので、多様性よりも画一性が重視されると思われます。
また、クラウド事業者がハードウェアを調達するに当たり、完成品マシンを仕入れることは少なくなるでしょう。どういうレベルの部品・ユニットで調達するかはクラウドセンターの設計やアーキテクチャに依りますが、従来型のコンピュータ組み立てメーカーは居場所がなるなるかもしれません。
他方、クライアント端末は多種多様なものが登場する可能性があります。クラウドが完全にソフトウェアとデータをインターネット上に吸収してしまうモデルが主流となるのか、クライアント側に処理やデータを残すのかによって、市場に出回るこれからの端末の基本形が変わってきます。また、従来のノートPCのようなキーボードを持つもの、閲覧を主とするスレート型/電子ブック型、もっと小型のスマートフォン型とサイズや用途も別れていくかもしれません。
IT業界はいま、ゲームのルールが変わる端境期にあるのです。
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